浦和学院vs川越東
先発の島田(川越東)
浦和学院が17安打、川越東が13安打を放ったこの試合、試合は両チーム総動員する文字通り総力戦となり、最後は浦和学院の勝利への執念が川越東のそれを上回った。
浦和学院は、今大会調子の上がらない梶山を7番へ下げ、前田が4番に入る打順を組んできた。先発は浦和学院・榊原、川越東・島田と両エースが先発し試合は始まる。
まずは1回表、川越東は先頭の香取が四球で出塁するも、続く小泉はうまく走者を進められず、さらに一塁に残った小泉が牽制で刺されるなど三人で攻撃を終える。
その裏、浦和学院は先頭の家盛の打球が左中間へ飛ぶ。レフト青山は飛びつくが一歩及ばず二塁打となる。続く杉山はきっちりと送り一死三塁とする。だが、ここは島田が落ち着いて後続を抑え無失点で切り抜ける。大宮西戦でも書いたが、浦和学院と対戦する際には初回の攻撃が鍵だ。しかも表の攻撃がうまくいかなかっただけに、ここをきっちりと抑えたことで島田もチームも落ち着きを取り戻す。
すると2回表、川越東はこの回先頭の青山が死球で出塁すると、すぐさま盗塁を決める。ここで、ベンチは続く星野に犠打をさせるが送れず凡退し一死二塁となるが、6番・浪江が左中間へタイムリーヒットを放ち川越東が1点を先制する。二死後、田村もセンター前ヒットを放ち二死一、二塁とするが、二塁走者浪江が三盗に失敗し1点で攻撃を終了する。
2,3回と共にスコアリングポジションに走者を進めるが得点を奪えない浦和学院に対し、4回表、川越東打線があっさりと追加点を奪う。
一死から4番・青山がライト前ヒットで出塁すると、続く星野が左中間へタイムリー二塁打を放ち1点を追加する。5番・浪江もセンター前ヒットを放ち一死一、三塁とチャンスを広げるが、続く中前の一塁走者とのエンドランはピッチャーゴロとなり併殺を恐れた三塁走者が挟まれ二死一、二塁となる。8番・田村は四球を選び満塁とするが、続く島田が粘りながらも三振に倒れ1点で攻撃を終える。
一方の浦和学院も徐々に島田を捉え始める。その裏、この回先頭の幸喜がセンター前ヒットで出塁するが、続く山本が併殺に倒れる。それでも、7番・梶山がセカンド強襲ヒットで出塁すると、続く榊原もセンター前ヒットを放ち二死一、三塁とする。9番・仲田が四球で出塁し二死満塁まで攻めたてるが、後続が倒れ得点を奪えない。
すると、川越東は5回表、先頭の香取がセーフティバントを決め出塁すると、続く小泉の犠打をサードが悪送球を放り無死二、三塁とチャンスが広がる。浦和学院はここで早くも榊原を諦め左腕の大澤を送るが、3番・野口(眞)が代わり端を捉えライト前タイムリーを放ち3点目を奪う。さらに、続く青山が死球を選び無死満塁とすると、5番・星野がレフトへ犠飛を放ち4対0とするが、ここで二塁走者・野口(眞)がやや無謀なタッチアップを狙い三塁憤死する。続く浪江も四球を選び再び満塁とするが、後続が倒れ2点で攻撃を終了する。浦和学院・大澤がアップアップの状態であっただけに、川越東としてはこの無死満塁で1点しか奪えなかったことが後々大きく響く。
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マウンドに集まる浦和学院ナイン
一方の浦和学院はその裏、一死から3番・諏訪が左中間へ二塁打を放つと、二死後5番・幸喜が一塁線を破るタイムリー三塁打を放ちまず1点、さらに続く代打・小澤がレフト前タイムリーを放ちすぐに2点を返す。
さらに、投げては6回からマウンドに上がった三番手・辻が、立ち上がりこそ先頭打者に四球を与えるが、ここを牽制で刺しリズムに乗ると、その後は9回までの4イニングノーヒットピッチングと浦和学院へ流れを引き寄せる好投を見せる。
一方の島田も浦和学院打線に捕まりかけていたが、6回以降は落ち着きを取り戻し、6回、7回と相手に得点を与えず試合は8回へと進む。
迎えた8回裏、投球練習中の島田に異変が起きる。足が攣り一旦ベンチへ下がる。ここで交代かと思われたが、治療の結果、何とか投げられる状態にはなりベンチは続投を決断する。島田はその期待に応え、8回も相手打線を抑え、試合は最終回へと進む。
迎えた9回裏、浦和学院が島田に襲いかかる。この回先頭の諏訪がレフト線への二塁打で出塁すると、続く前田もライト前ヒットを放ち無死一、三塁とする。ここで5番・幸喜が三塁線を破るタイムリー二塁打を放ち1点を返し尚、無死二、三塁とする。さらに続く小澤がセンターへ犠飛を放ち浦和学院がついに同点に追いつく。さらに一死三塁でサヨナラのチャンスで7番・梶山を迎える。これに対し川越東ベンチは連続敬遠で満塁策をとり、9番・辻との勝負を選ぶ。結果はサードゴロ併殺となり浦和学院はサヨナラのチャンスを逃す。試合は延長戦へ突入する。
中盤以降押されっぱなしだった川越東が10回表、最大のチャンスを掴む。
この回先頭の野口(眞)が三番手・辻からチーム初安打となるレフト前ヒットで出塁すると、9回裏の守備固めで入った4番・野口(優)が見事なプッシュバントを決め無死一、二塁としチャンスを広げる。次打者が星野ということもありベンチは強攻に出るが、頼みの星野は内野フライに倒れるが、続く浪江がセンター前ヒットを放ち一死満塁とする。だが、7番・中前はキャッチャーファールフライに倒れると、続く田村のカウントがワンストライクワンボールとなった所で、ベンチは代打に小澤を送る。だが小澤は三振に倒れ得点を奪えない。
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浦和学院の辻
そしてマウンドには二番手・星野が上がる。
星野は、代わり端の10回裏こそ、一死から杉山に二塁打を浴びピンチを招くがここを乗り切ると、その後は降りしきる雨の中、11、12回と相手打線を抑える。
だが、13回裏、一死から4番・前田、5番・幸喜にポテンヒット二本を浴び一死一、二塁とされると、二死後、最後は7番・梶山にレフト前タイムリーを浴び万事休す。浦和学院が苦しみながらもサヨナラで準決勝へ駒を進めた。
まずは浦和学院だが、今大会の大きなヤマを越えた。この日はエース榊原が打たれ、中盤守備が乱れるなど典型的な負けパターンと思わせる雰囲気だった。だが、それでも勝つ底力はさすがだ。それは8回無失点で乗り切った三番手・辻の好投が大きい。思えば2年前のセンバツで全国優勝した代も秋の県大会準々決勝で上尾相手に最終回4点のビハインドを跳ね返したことがある。当然その頃のメンバーと比べやや小粒だが、一冬越せば仕上げてくるであろう。とはいえ現状、秋の関東大会連覇へ向けてさらに実力を高めていかなければならないと課題が明らかになった試合であった。
一方の川越東だが、浦和学院戦へ向け先週末の練習試合で日大三、桐光学園と戦った。日大三には終盤に突き放されたが、桐光学園とは苅部、島田の好投もあり2対2の引き分けと万全の状態で臨んだ。そして、この日はその島田が13安打を浴びながら本当に良く粘って投げた。打線も見事に榊原を攻略し勝てる試合であったが、勝てなかった。
この日は走塁をテーマに試合に臨んでいたのであろうが、悔やむべくはその走塁でのミスが多く出たのが響く結果となった。中盤以降あと1点取れば完全に試合を決められる試合であっただけにまさに痛恨の極みであろう。打線については一冬越えれば、旧チーム同様どの選手も外野の頭を越す打球は打てるようになるであろう。
そして投手陣は島田はもちろんだが、星野、苅部などさらに整備され、レベルアップが期待できる。攻守のレベルアップは期待できるだけに、さらに勝てるチームへなるために川越東の課題は守備と走塁の判断力であろう。幸いこのチームは、伸びしろの大きい選手が多い。それだけに関東大会へ行って実戦で経験値を高めて欲しかったが、いずれにせよこの敗戦を活かせるかどうかは彼ら自身の今後の取り組みにかかっている。最後にこの対戦は関東大会出場がかかる準決勝で見たいと思わせる熱戦だった。
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(文=南 英博)
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