中国共産党中央の機関紙「人民日報」は18日、「平和を守るためには、日本人民と手を携えることも必要だ(新論)」と題する論説を掲載した。記事は冒頭で「正義は必ず勝つ! 平和は必ず勝つ! 人民は必ず勝つ! 中国人はこの道理をよく理解しているが、良識があり、遠い先を見る日本人も、同じようにこの道理を固く信じている」と論じた。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国共産党中央の機関紙「人民日報」は18日、「平和を守るためには、日本人民と手を携えることも必要だ(新論)」と題する論説を掲載した。

 記事は冒頭で「正義は必ず勝つ! 平和は必ず勝つ! 人民は必ず勝つ! 中国人はこの道理をよく理解しているが、良識があり、遠い先を見る日本人も、同じようにこの道理を固く信じている」と論じた。

 さらに「中国共産党は一貫して、日本軍国主義の侵略戦争を発動した罪悪人と日本人民を区別してきた」、「毛沢東主席も、帝国主義政府とその国の人民は区別せねばならない。政府でも、政策の決定者と一般の官僚を区別せねばならないと述べた」などと紹介。

 「われわれは今日も、日本の右翼勢力とその代表人物と、平和を愛する日本国民を区別している。日本の右傾に抵抗する統一戦線を築いている」と論じた。

 3日に行った抗日戦争と第二次世界大戦勝利70周年を祝賀する軍事パレードについても、「現在の日本を対象とするものではない。まして、日本人民を対象とするものではない」と主張。

 論説は最後の部分で、軍国主義に復活と悲劇の再演を防ぐためには、「日本人を含む世界中の人民と手を携える必要がある」と強調した。

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◆解説◆
 人民日報がこのタイミングで同論説を出した主な理由は、18日が満州事変勃発の日であることと、中国側が「新安保法案の成立が確実になった」と判断したことがあると考えてよい。

 中国でも、新安保法案を巡る日本での「攻防」が大きく報じられている。国会前のデモなど、法案反対の動きは特に、さまざまなメディアが精力的に扱っている。

 中国外交の伝統的な手法として、相手国内部に意見の相違を見出し、自らに有利な勢力を支援・提携することがある。しかし今回は、中国側が法案に反対する日本人と提携しても、具体的な効果があるとは考えにくい。

 中国としてはむしろ、国内における反日感情の「制御不能な高まり」を恐れているように見える。中国では「経済の減速」が目立つようになった。共産党への不信感を拡大しかねない状況と言える。そのため、日中関係でも「政冷経熱」はまだしも、「政冷経冷」はどうしても避けたいはずだ。

 中国は、共産党が「独裁体制」を確立した国だが、それでも民意と大きく乖離した政策を続けていくことは不可能だ。そのため、対日外交における自国の「選択肢」を多く確保するためにも、対日感情の過度な高まりは回避したいところだ。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)