最新のiOS 9は旧型機iPhone 4sには少し厳しいOSであることが判明、アップデートすべきなのか?
By Matthew Pearce
日本時間で2015年9月17日の未明に、AppleがiOSの最新バージョンとなるiOS 9をリリースしました。数々の新しい機能が実装された新OSですが、2011年に登場して2014年まで販売が継続されていたiPhone 4sには厳しいOSとなっている様子です。
iOS 9 on the iPhone 4s: A stay of execution, nothing more | Ars Technica
Ars Technicaでは、旧型機種であるiPhone 4sで使えない機能や、3.5インチという小さな画面サイズから生じる問題に関する検証を実施しています。iOS 9のうち、iPhone 4sで使用できない主な機能は以下のとおりとなっています。
・新しいSpotlight検索画面、サードパーティ製のSpotlight検索機能
・AirDrop
・TouchID
・アプリケーションのHandoff機能、ただし着信を別の端末に転送する機能は動作可
・OpenGL ES 3.0、API「Metal」、64ビットARMv8アーキテクチャのアプリ、Apple Payのサポート
いずれも、なくて困る機能ではないのですが、利便性の面ではどうしてもウィークポイントになってしまう機能といえそう。特にTouchIDなどは搭載されるハードウェアに起因するものなので、こればかりはどうしようもない部分です。
画面サイズの小ささにまつわる要注意ポイントは以下のとおり。写真の編集画面をiOS 8とiOS 9で比べてみた画像だと、左のiOS 8では「Original」から「9:16」までが表示されているのに対し、iOS 9ではメニューが全体的に背高になった結果「9:16」が表示されていないことがわかります。さらにメニューが下に続くことが一目でわからないのも痛いところ。
メッセージ作成画面でキーボードを表示させると、画面の大部分がキーボードで埋め尽くされてしまい、本文の表示エリアが非常に狭くなってしまいます。長い本文のメッセージだと全体を表示させることすら難しそう。
Spotlight検索でも、他の端末だと複数のサジェストが表示されるのに対してiPhone 4sでは1個しか表示することができません。
天気を表示させても画面の狭さが影響を及ぼします。一見するとなんの問題もなく画面が表示されているように見えますが、iPhone 5やiPhone 6シリーズと比べると全体的に「詰め込み感」があって、ゆったりとした表示が損なわれていることがわかります。
このように、iOS 9では大画面iPhoneでの操作性を重視したために、結果的にiPhone 4sの画面サイズの小ささを切り捨てた形となっているといえそう。大型化する傾向のあるスマートフォンの流れの中では、これも受け入れざるを得ない流れなのかもしれません。
一方で、iOS 8からiOS 9に変わることによって生じる処理能力の違いはあまり大きくないといえそう。以下の表ではSafariやカメラ、「設定」画面、メール機能や端末の電源オフからの起動などにかかる時間をiOS 8とiOS 9で比較していますが、両OSであまり顕著な差は見られないことがわかります。とはいえ、最新の端末に比べると全体的に時間がかかっていることは否めない印象。
◆各端末でiOS 8とiOS 9をベンチマーク比較
iPhone 4sからiPhone 6と、各種iPadと使ってベンチマークを測定したした結果も公開されています。以下のグラフでは、画面の明るさを200NITSに設定し、Wi-Fiでブラウジングした際のバッテリー駆動時間が示されています。オレンジがiOS 8、青がiOS 9の結果で、おおむね駆動時間が延びていることがわかります。OSが軽量化されたことで、ほとんどの機種においてバッテリー駆動時間には良い影響が現れている模様。
JavaScriptベンチマークの「Kraken」の測定結果でも、iOS 9の方が良い結果を出していることがわかります。
一方、同じJavaScriptベンチマークのSunSpider 1.0.2で比べてみると、機種が新しくなるほど結果が良くなるという傾向が見てとれるのが興味深いところです。
◆iPhone 4sユーザーはiOS 9にするべきなのか?
4sの「S」は「スピード」を意味していたのですが、さすがに登場から4年という時間が経過するとハードウェア的に追いつかない部分が出てくるのは避けられないのは仕方がないことかもしれません。上記の結果などを踏まえ、Ars Technicaが出した答えは「アップデートすべき」というものだそうです。現時点で既にiOS 8を使っている場合は、画面の表示性悪化には悩まされることになるものの、パフォーマンスにはほとんど影響がなく、一部を除く最新の機能が使えるようになるので、アップデートを行う意味は十分あるとのこと。
一方、iOS 7を使い続けている場合でもアップデートすべきとのことですが、この場合は少し理由が異なっている模様。軽快な動作で定評のあるiOS 7から乗り換えるのは残念ではあるのですが、主にサードパーティ製アプリが古いOSへのサポート停止を加速することになるとみられるため、準備しておくのが適切であるとしています。