リーガ・エスパニョーラ、2014-15シーズン振り返り座談会12
座談会最後は『システムは4-3-3』 、『インパクト重視』でメンバーの皆様に選出していただいたリーガ・エスパニョーラの各ポジションのMVPについて語っていきましょう。
座談会の方は9時間を超えたため、一旦終了してから皆様に選んでいただいたものを纏めて送っていただきました。よって、編集・書記・司会の方を今回担当した結城康平が、それぞれの選手について簡単なコメントを書かせて頂きました。
リーガを継続的に見ていた訳ではないというのもあり、補足的な意味でそれぞれの選手のプレー動画も貼ってあります。ではでは、最後までお楽しみください。
GK、ジエゴ・アウヴェス(バレンシア)
→驚愕のシュートストップに加え、リーガの最高PK阻止率を記録
MVP候補、リストアップ選手ヘロニモ・ルッリ(レアル・ソシエダ)
カメニ(マラガ)
ブラボ(バルセロナ)
リーガ・エスパニョーラが、多くの好選手を輩出することでも知られるGK部門。MVPはジエゴ・アウヴェス。
CBコンビと共に最後尾に君臨し、堅守バレンシアの躍進に貢献したブラジル人GKが栄冠を掴みました。怪我で出遅れることになりそうですが、来季も好プレーを期待したいところです。
プレーとしては、その抜群のシュート捌きの巧さが特徴といった感じです。特に、相手のシュートの勢いを殺しながら横に弾き出すようなプレーが多く、柔軟性に優れていることが解ります。二次攻撃を受けるような危ないセーブではなく、余裕を持って最後までボールを確認した上で、相手がいない方向にボールを逃がしているのも特徴ですね。
面白いのは、候補者リストに今シーズンはスペイン人GKが含まれていないことでしょうか。
来季、もしレアル・マドリードにダビド・デ・ヘアが加入することになれば、スペイン代表の守護神的な意味でも、彼に大きな期待がかかってくるのではないでしょうか。チリ代表のブラボ、アルゼンチンの代表のヘロニモ・ルッリのほか、カメルーン代表のカメニも、数年間リーガではトップクラスと言われ続けている守護神。
攻められる回数が比較的少ない上でGKが目立ちづらい印象があるバルセロナとレアル・マドリー。そういう観点から言えば、ブラボがリスト入りしているのはパフォーマンスの傑出具合を示しているのかもしれません。後半に近づくにつれて調子を上げ、アトレティコの守備を支えたオブラクも、来季は有力な候補になりそうです。
右ラテラル、ダニエウ・アウヴェス(バルセロナ)
→メッシとラキティッチと絡んでの、抜群のパフォーマンス
MVP候補、リストアップ選手 ロベルト・ロサレス(マラガ)
マリオ・ガスパル(ビジャレアル)
ファンフラン(アトレティコ・マドリー)
バラガン(バレンシア)
ダミアン・スアレス(エルチェ)
右サイドバックのMVPは三冠バルセロナから、ダニエウ・アウヴェス。
ここ数年、バルセロナの攻撃を影で支える世界最高の右サイドバックが衰えを見せず、リーガのサポーターからの支持を集める結果に。契約延長も決定しており、バルセロナの右サイドは危険度を保ち続けそうです。
内側へのオーバーラップでのアクセント、高精度のサイドチェンジ、絶妙なダイレクトパス。現代フットボールのサイドバックに求められるゲーム構築能力に、ブラジル人特有のテクニックと創造力を加えた彼こそ、スペインフットボールが追い求める『ラテラル』の理想像なのかもしれません。
候補者リスト入りした選手をそこまで見たことがないという問題が存在するのですが、座談会では比較的守備が堅いと言われていたチームからの選出が多いような気も。特にアトレティコ、バレンシア辺りからの選出はDFラインの一員として評価を高めた側面もありそうです。
CB1人目、ペペ(レアル・マドリー)
→マドリーの品位を保つかのように、クリーンな潰しで相手を封殺
MVP候補、リストアップ選手 ゴディン(アトレティコ・マドリー)
ピケ(バルセロナ)
ムスタフィ(バレンシア)
ホセ・マリア・ヒメネス(アトレティコ・マドリー)
アルベントサ(エイバル)
CBの1枠には、ペペが選出。数年前、メディアによって作られた感のあるラフなイメージを払拭するほどに完璧な選手になりつつあります。
身体能力頼みだった若い頃と比べると、銀河系の中で揉まれたことで全ての能力をバランス良く高めてきた印象です。恐れるべきは、その圧倒的な読み。相手がボールを放した一瞬の隙を狙い、綺麗にボールを奪い取る姿は洗練されており、アレッサンドロ・ネスタの面影すら感じさせます。
リズムを大事にするドリブラーにとっては、一瞬のノイズで全てを狂わせる天敵でしょう。特にサイド裏のカバーからのウイングとの1対1は、一見の価値あり。
CB2人目、オタメンディ(バレンシア)
→驚異的な対人戦の強さに加え、クリア能力で度胆を抜いた
ペペの相方に選出されたのは、ニコラス・オタメンディ。
生ける伝説、ディエゴ・マラドーナがアルゼンチン代表監督だった時代に見出した才能で、彼の見出した若手の中では1番の出世頭かもしれません。レギュラーとして使われた2010年W杯ではサイドバックとしての先発に苦しみ、批判を受けましたが、名門ポルトでの経験を経て才能が開花。細かいところで怪しいイメージがあるCBでしたが、今季の活躍は別格。兎に角、信じ難い出足の速さで、相手の後ろから簡単にボールを奪い取ってしまいます。
身長はそこまで高くないのですが空中戦にも強く、特に動きながらでもパワーを失わずに相手と競れるのが魅力。体勢を崩してもクリアする変態プレーも。ペペにネスタの面影を見るとすれば、こちらはカンナバロタイプでしょうか。ボール扱いは改善の余地がありますが、その圧倒的なスピードでの潰しは絶品。
アトレティコのウルグアイ代表ヒメネスは、恐らく来季のスターティングメンバー。代表でも同じチームでプレーするゴディンから、様々なものを学び取って更に飛躍してほしいところです。
候補リストにも、実力者が揃います。バルセロナを支えたピケは、座談会でも話したように、前半戦の不調が響きました。とはいえ、不調でもしっかりとシーズン中に修正出来ることで、優秀なCBであることを証明したということでしょうか
唯一GKに加え、CBコンビが候補者リスト& MVPに名を連ねたバレンシア。これだけで、恐ろしいまでの堅守が想像出来るかもしれません。エイバルの躍進を支えたアルベントサは、既にダービーに引き抜かれています。順調にプレーを続けられれば、イングランドでもステップアップが予想されますね。
左ラテラル、ガヤ(バレンシア)
→19歳の若さながら、完成されているプレーの数々で観衆を魅了
MVP候補、リストアップ選手 マルセロ(レアル・マドリー)
ハウメ・コスタ(ビジャレアル)
ホニー・カストロ(セルタ)
トレムリナス(セビージャ)
ウイングの攻撃性能を持つ、銀河系の左SBマルセロ。彼を僅差で下したのは、なんと19歳のガヤでした。
クロスの出す先を確認した上で、ポイントを狙って蹴っていることが解るような高精度で鋭いクロスは、スペインの選手には珍しい資質かもしれません。俊足を生かした思い切った攻め上がりに加えて、粘り強く身体を当てていくような守備力を完備。バレンシアの守備陣でも、圧倒的なインパクトを残した選手でしょう。
特に、マルセロを抑えての選出というのが、細かく語るまでもなく無限のポテンシャルを示しているのではないでしょうか。年齢と共に、細かな気遣いが出来てくれば世界一のサイドバックも夢ではありません。
レアル・マドリーで、今季も安定したプレーを披露したマルセロ。新星の台頭でMVPは逃したとはいえ、他の候補者と同列で語るのは難しい選手かもしれません。
CLでも、キッチリとサイドからゲームを作るプレーをこなし、そのテクニックで何度となく相手守備陣を切り裂いてみせました。ダニエウ・アウベスとマルセロ、ブラジル代表では味方となる2人が、リーガのサイドバック部門を数年に渡って牽引している印象すらありますし。来季は、チーム全体と共に、彼のMVP奪還に期待するマドリディスタも少なくはないでしょう。個人的には、職人肌で大好きなフランス人SBトレムリナスの選出が嬉しいですね。
《次回へ続く》