前園真聖氏が現役時代のピリピリ感を垣間見せた著書「本格ドリブラー養成講座」
最近はバラエティ番組の出演が増え、スイーツ好きで女子力の高い一面やペットがミニブタというユニークさなども知られるようになった前園真聖氏。テレビでは芸能人にいじられ、ちょっと口を尖らせながら戸惑う姿が映し出されている。
だが、現役時代の前園氏の姿を知っていると、あまりの変わりぶりに驚くはずだ。1992年、高校卒業と同時にプロリーグ開幕直前の横浜フリューゲルスに加入。率いていた加茂周監督は日産自動車で三冠を達成するなどの実績を持つ名将だが、前園氏は指示を無視することもしばしばであった。
前園氏は「前線に残れと言われていたが、無視して中盤に降りたこともある」と当時を振り返る。監督を相手にも引かない気の強い男なのだ。
フリューゲルスではチームメイトのブラジル代表選手とも試合中に口論になったこともある。中田英寿氏、城彰二氏らがいた五輪代表チームでは、強烈なパーソナリティでキャプテンも務めた。スピードに乗ったドリブルで強引にカットインし、豪快なシュートを決めるなど才能溢れる選手であったことは間違いない。
そんな気の強さばかりが前面に出ていた当時の前園氏のメディア対応は、お世辞にも親切丁寧だったとは言えなかった。どちらかというとぶっきらぼう。正直ではあるものの言葉数は少ない。何か裏に意味が込められているのではないかと記者の邪推を誘うような言葉遣いだった。
その前園氏が現在では、トークショーのイベントに出ると、自分から終了後にサイン会を申し出て主催者を感激させるなど、随所に気配りを見せている。泥酔事件の謹慎期間が前園氏を変えたという話もあるが、実際は現役を終えた直後から前園氏を取り巻いていたピリピリとした空気が消え、本来の性格が顔を覗かせていたのだ。
もっとも、サッカーが絡むと前園氏のドキリとするような言葉はまだ健在のようだ。5月に発売となる「本格ドリブラー養成講座」(東邦出版)には、時折当時の前園氏が発していたような言葉が散見される。
「最初のプレーは前に行くことを選択する。これは今決心してください」
「(劣勢な場面でのプレーの選択について)試合に勝つためにも、そしてチームメイトのためにも、ここは自分の足を賭けて行かなきゃダメなのです」
「ほら、周りにもいるでしょう? そのゴールが決められるのなら、さっきのアレを決めておけよ、という選手が。そして難しいゴールを決めてハイライトを浴びますが、それで満足しているような選手では、そこで終わりです」
優しい口調の中に、厳しい言葉がさらりと入り込んでいる。まだまだサッカーに関する前園氏の厳しさは失われていないということだろう。表紙の帯と、その下の写真が前園氏の二面性をよく表現しているのではないか。本屋で見かけたらぜひ帯をめくってもうひとつつの顔を見てほしい。
だが、現役時代の前園氏の姿を知っていると、あまりの変わりぶりに驚くはずだ。1992年、高校卒業と同時にプロリーグ開幕直前の横浜フリューゲルスに加入。率いていた加茂周監督は日産自動車で三冠を達成するなどの実績を持つ名将だが、前園氏は指示を無視することもしばしばであった。
フリューゲルスではチームメイトのブラジル代表選手とも試合中に口論になったこともある。中田英寿氏、城彰二氏らがいた五輪代表チームでは、強烈なパーソナリティでキャプテンも務めた。スピードに乗ったドリブルで強引にカットインし、豪快なシュートを決めるなど才能溢れる選手であったことは間違いない。
そんな気の強さばかりが前面に出ていた当時の前園氏のメディア対応は、お世辞にも親切丁寧だったとは言えなかった。どちらかというとぶっきらぼう。正直ではあるものの言葉数は少ない。何か裏に意味が込められているのではないかと記者の邪推を誘うような言葉遣いだった。
その前園氏が現在では、トークショーのイベントに出ると、自分から終了後にサイン会を申し出て主催者を感激させるなど、随所に気配りを見せている。泥酔事件の謹慎期間が前園氏を変えたという話もあるが、実際は現役を終えた直後から前園氏を取り巻いていたピリピリとした空気が消え、本来の性格が顔を覗かせていたのだ。
もっとも、サッカーが絡むと前園氏のドキリとするような言葉はまだ健在のようだ。5月に発売となる「本格ドリブラー養成講座」(東邦出版)には、時折当時の前園氏が発していたような言葉が散見される。
「最初のプレーは前に行くことを選択する。これは今決心してください」
「(劣勢な場面でのプレーの選択について)試合に勝つためにも、そしてチームメイトのためにも、ここは自分の足を賭けて行かなきゃダメなのです」
「ほら、周りにもいるでしょう? そのゴールが決められるのなら、さっきのアレを決めておけよ、という選手が。そして難しいゴールを決めてハイライトを浴びますが、それで満足しているような選手では、そこで終わりです」
優しい口調の中に、厳しい言葉がさらりと入り込んでいる。まだまだサッカーに関する前園氏の厳しさは失われていないということだろう。表紙の帯と、その下の写真が前園氏の二面性をよく表現しているのではないか。本屋で見かけたらぜひ帯をめくってもうひとつつの顔を見てほしい。