開業セレモニーで握手するFRの柳井会長とジーユーの中嶋社長、ダイエーの西見社長=左から(撮影:吉川忠行)

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ユニクロ」を展開するファーストリテイリング(FR)<9983>は13日午前、低価格衣料の新ブランド「g.u.(ジーユー)」の第1号店を業務提携しているダイエー<8263>の南行徳店(千葉県市川市)に開店した。
 
 「自由(ジユウ)に服を着る」とのメッセージに由来するというジーユーは、20代後半から30代前半の若い家族が主な顧客層で、200坪のほどの店内には子ども服から大人のカジュアル服まで流行を取り入れたという商品群が並ぶ。中心価格帯は、カットソーで690〜890円、パンツで1890円、セーターで1490〜1890円など「ユニクロ」より3〜4割ほど安く設定した。

 東京近郊の住宅地にあるダイエー南行徳店2階に入った新店舗では午前10時の開店と同時に、子どもを連れた若い母親で売り場はごった返し、一時は50人ほどの行列ができた。開業セールとして100枚限定で売り出したカシミアタッチカーディガン(990円)は、開店後15分ほどで売り切れた。
 
 FRは1月、食料品に注力し、衣料品では外部テナント誘致をする路線で経営再建に取り組むダイエーと業務提携を締結。4月、ダイエーからFRに転じて商品企画担当の取締役や、買収した仏ブランド社長などを務めた中嶋修一氏を社長に据えて100%子会社ジーユーを設立し、高付加価値路線に転換する「ユニクロ」と差別化した新ブランドの立ち上げを進めてきた。年内に首都圏で25店舗体制にする計画で、うち13店舗をダイエー店内に開く。07年内には50店舗体制にし、初年度は売上高100億円を目指す。

 開業直前のセレモニーには、FRの柳井正会長兼社長と、先週末に就任したばかりのダイエーの西見徹社長が出席。西見氏は「新ブランドでダイエー店舗が活性化され、お客様が頻繁に来店してもらえることを期待している。事業拡大の大きな力添えになることを信じている」と期待を示すと、柳井氏は「今後のFRの成長の大きな柱にしていきたい。(米国の)GE、GMと同じように『ジーユー』も大会社になってもらいたい」と新業態の船出を祝った。

 一方、同日の朝刊各紙では、ダイエーの経営再建を支援する事業パートナー候補としてイオン<8267>を正式決定することが報じられた。西見氏は社長就任会見で「衣料品で独自商品を出していくことも可能」と路線転換をにじませる発言もしている上、パートナー最有力のイオンは衣料品で独自ブランドを展開していることから、ダイエー内に重点的に出店する「ジーユー」の先行きには不透明感も見えてくる。

 柳井氏は記者団に対し、「我々が市場を独占するわけではない」と話し、ダイエーの新体制については「体制は変わったが、お互い協力していくことには変わりはない」と強調した。【了】

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