インタビュー:YUI「薫にとって、音楽は生きる支え」
シンガーソングライターYUI、初の映画出演にして主演作となる「タイヨウのうた」が本日公開された。物語は、太陽の光にあたれないXP(色素性乾皮症)という病気を抱えた、YUI演じる雨音薫が夜のストリートで歌うシーンからスタートする。両親と親友という狭くも温かい人間関係の中で16年の人生を過ごしてきた彼女が、サーフィンに夢中な塚本高史演じる藤代孝治との出逢いによって体験する新たな世界。そして無情にも薫を蝕んでいく病の影。残された時間を前に、薫と彼女を支える人達との感情の触れ合いが、夏の鎌倉を舞台に描かれる。
――初の映画出演にして主演作となりましたが、撮影を終えて、初めて完成した作品を観た時はどんな気分でしたか?
YUI:普通に映画館で映画を観るような感じで観たかったんですけど、やっぱり撮影現場とかをすごく思い出しましたね。撮影から何ヶ月も離れてはいるものの、まだフラットになり切れていない感じで、1ヶ月半ですけど濃い時間を過ごしたので、まだ映画を撮影しているような感じで観ちゃいましたね。ただ、終わった後に「薫は愛されて幸せだったな、良かったな」という言葉が浮かんだんですよ。そして最後は感動しました。――XP(色素性乾皮症)という難しい役柄でしたが、演じる際に苦労したことや、気を遣ったことはありましたか?
YUI:太陽に当たれない病を抱えた女の子ということで、撮影に入る前はすごく戸惑って、病気のことを全然知らなかったので、ホームページとか、お母さんの書いた言葉とかを読んだりして知っていったんですけど、やっぱりずっと戸惑っていましたね。でも撮影に入って行く内に、雨音薫にとっては生まれ持って一緒に育ってきたもので、きっと小さい頃には「なんで太陽に当たったらダメなんだろう、外に出られないんだろう」とすごく思っただろうけど、16歳になった時にはそういうのもすごく受け止めようとしていて、全然前向きに生きているので、家族もそれを支えているという感じで。だからもう撮影に入ってからは病気というよりも、すごく前向きに明るく無邪気に、純粋に真っ直ぐ生きているイメージが強かったですね。――雨音薫という16歳の女の子と、実際のYUIさんとでは、似ている部分などありますか?
YUI:好きなことに集中したら周りが見えなくなるみたいな(笑)、そういう所がちょっと似ているのかなと思います。性格はちょっと分からないですけど、私は薫を「可愛いなぁ」と思いましたね。性格以外だとやっぱり音楽が大切な存在で、雨音薫にとっては生き甲斐であり、生きる支えである、という所は、私YUIとも近いと思います。――共演者の方について、印象深いことなどありましたか?
YUI:塚本さんが一番シーンも多かったので、一緒に過ごしていたと思うんですけど、みんな面白いことを言ってくれたり(笑)、すごく明るくて楽しい現場で、和気あいあいとしてました。撮影は去年の9月から10月半ばだったので、実はちょっと寒かったかな。夏の設定なので半袖だったんですけど、多分、岸谷さんとか麻木さんとかも寒かったと思いますよ。海が近いから風も強いし。――YUIさんのFavorite Placeに「新宮の海」と書かれていましたが、物語の舞台となった鎌倉も海に面した街ですよね。福岡出身のYUIさんから見て鎌倉はどんな街でしたか?
YUI:鎌倉はすごく素敵な街だなと思いました。住んでいる人も和やかな感じと言うか、風景に近くて、ゆっくり時間が流れていると言うか。――海は好きですか?
YUI:海は大好きです!地元が海にすごく近かったので、たまに海に行きたいなって思いますね。海に行くと「あぁ、故郷だなぁ」じゃないですけど。――撮影の待ち時間は何をしていたのですか?
YUI:小説を読んでいましたね。撮影の合間に鎌倉の本屋さんで買って、それを読み終えました。――普段の音楽の制作現場と、映画の撮影現場とでは、違っている部分や、または似ている部分などありましたか?
YUI:映画の撮影現場だと、ロケバスに待機して天気待ちとか、照明やカメラなどスタッフの方が100人位いるんですよ。そういうのは違うかなぁ。――音楽だと、ライブの照明やPAの方とか、結局一人ではなくチームで作っているというのは近いのかも知れませんね。
YUI:そうですね。