――主題歌「Good-bye days」は映画のために書き下ろしをされたのかと思いますが、楽曲の制作はいつ頃に行われたのですか?

YUI:最初に台本を頂いて、台本を何回も読んでから曲を書いたんですね。詞は撮影に入ってから、撮影と同時進行で書いていきましたね。

――今までに作ってきた曲と何か違いはありましたか?

YUI:やっぱり台本があって曲を書いているので。小説を読んだりするのが好きなんですけど、空気感を音に出すというか、音に表現するという感じで、映画のことを想って作った曲です。

――映画に出演されたことで、その後の自分にプラスになったことはありますか?

YUI:映画はたくさんのスタッフの方との出会いがあったり、たくさんの人が一つのことに向かっていくので、1ヵ月半の間でも、そうやって関わることができたのはすごいことだなと思って。そうできる経験じゃないと思うので、たくさんのことを学んだし。自分を置いておいて何かを大切にしようとして必死にもがいたり、葛藤したり模索したりすることも経験できたし、たくさんのものをもらいました。人間的にこれからも影響は出てくるんじゃないかなと思います。

――現在、全国試写会ツアーを回られてますが、各地で反応が違ったりなどはありますか?

YUI:やっぱりそれぞれ街の雰囲気が出ますよね。名古屋だと結構ゆったりというか静かな感じで、大阪だと元気というか反応が返ってきて、笑ってたりするので意外に面白い映画なんじゃないかな(笑)。

――ツアーといえば、その前に初の全国ワンマンツアーがありましたが、終えてみて、いかがでしたか?

YUI:全力で突っ走ったので大変だったというのはあるんですけど、それよりもたくさんの人に直接会うことができて嬉しいなって単純に思いましたし、来てくれた人みんなを笑顔にできたらいいなと思ってたので、やり遂げられたのかなと思ったり。バンドメンバーやスタッフの方ともまた音楽活動を一緒にできたらいいなと思ったり。ライブの良さはもっともっと知れると思うので、またツアーをやりたいですね。

――MCも標準語ではなく博多弁だったり、客席とのコミュニケーションの取り方や、会場の空気作りなどにも意識されていたのですか?

YUI:やっぱり見に来てくれた人が楽しんでもらえるのが一番なので、それが私たちバンドメンバーも楽しいかな。

――バンドで演奏する曲と、アコギ一本で一人で演奏する曲と、何か違いはありましたか?

YUI:大体はバンドでやったんですけど、ストリートの感じというのもあるので、アコースティックで弾き語りというのが私の原点だから。「TOKYO」という曲は上京する時の気持ちを書いてる曲で、これはアコースティックで聴いてもらいたいな、と思いました。

――各地ごとに良さがあるとは思いますが、印象に残っている場所はありますか?

YUI:毎回私は何かしらのイタズラをしちゃったので、一つ一つを覚えているんですけど…全部かな。福岡は初日ですごく緊張したけど楽しかったなぁ。大阪はいつもの通りお客さんが話し掛けてきてくれたから面白かったし。仙台もまんまライブハウスみたいな所でやらせてもらって、音とかもすごく面白かった。そこからミカン箱が登場して、後ろのお客さんが見えないっていうことで。「HELP」という曲の説明をする時に、スタッフの方がビンケースみたいなのを持ってきて前に置いて、それに立ってお立ち台みたいになって(笑)、北海道もやったりして、一つ一つ想い出に残ってますね。

――まだ行ったことの無い場所もたくさんありますよね。

YUI:たっくさんありますね。50箇所とか、大変そうですね(笑)。

――SHIBUYA AXではお客さんがいっぱいだったので、次のワンマンツアーはもっと大きい会場じゃないと見られないのかな、と思いました。

YUI:でも、あれ位でもっとたくさんライブができたらいいなって思うから。「あれ位で」と言ってもかなりデカイので(笑)。実はお客さんとの距離ももっと近いといいなと思っていて。でも、ホールでゆっくり家族で見てもらえるようなライブもしたいなと思っているし。アコースティックだとホールでも気持ちがいいと思うし、バンドでもいいと思うし。ライブのアンケートに「いやぁ〜立つのがしんどかった、47歳のおじさんはきつかったよ」みたいなのがあって、お祖母ちゃんとかも来てくれたら嬉しいので、家族でそういう時間を作ってホールで一緒に見ましょう、みたいなのもいいと思うし。ライブの楽しみ方はたくさんあると思います。

――8月には2年連続でROCK IN JAPAN FESTIVALへの出演が決定してますが、今後の予定を教えて下さい。

YUI:ROCK IN JAPANが大きなイベントなので今から楽しみなのと、曲作りの方もどんどんやっていて順調に進んでますね。あとは「何が決まってくるのかな?」みたいな(笑)。でも、まずはやっぱり試写会ツアーがあって、すごい楽しみですね。

――あまり先のことばかりを考えず、目の前の一つ一つを大事にされている感じがしますね。

YUI:まぁ、「明日の晩ごはんは何だろう?」みたいな。それくらい先のことなら考えるんですけど(笑)。普通に、ゆるりと生きて、みたいな。

 8月には2年連続となるROCK IN JAPAN FESTIVALの出演が決定。福岡の路上で一人アコースティックギター片手に自らの歌を歌ってきた彼女が、東京で様々な音楽に触れファーストアルバムを制作し、全国ワンマンツアーで多くのファンとの触れ合いを経験した。そして今回、映画出演という新たなチャレンジの中で得た何かを、きっと多くの人の前で見せてくれることだろう。

取材・文:原 宏治


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