この世は右利き中心で回っている? 左利きをイラッとさせるものあれこれ

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人には右利きの人と左利きの人がいる。最近、テレビや実生活の中でも、左手で字を書いている人もよく見る。かくいう筆者の子どもも左利きで、小学校に入学した際には、同じクラスに3人も左利きの児童はいた。現在、左利きの割合は10%くらい。10人いれば1人は左利きというわけだ。

21世紀、ハイテク技術が進歩した今でも、右利きでも、左利きでも便利な社会にはなっていない。まだまだ左利きの人にとって、使いづらいものや不便な環境はたくさんあるようだ。

昔は、右利きに矯正された人も多かったそうだが、最近はそうした矯正はやらなくなってきたこともあり、左利きの人を見かける機会が増えているのかもしれない。

とはいえ、社会の多数派は、やはり右利き。
見渡すと世の中のいろいろなものも、やっぱり右利き用に作られているものが多い。
はさみや包丁にしてもそうだ。最近でこそ左利き用の道具も手に入りやすくなったが、まだまだ数は少ない。

●自動改札でもたもたしてしまう
右利きの人が、ふだん何も感じずに通っている駅の自動改札。実は自動改札でICカードをタッチする場所が右側固定だ。左利きの人はICカードを逆手の右手に持ち替えるか、左手を伸ばしてタッチするしかない。
不自然な体勢で通る人がいるなと思ったら、それは大抵、左利きの人だったりするのだ。左利きの人のために反対側にタッチ部のある自動化改札機を設置するというのは、コストや人の流れを考えると簡単ではないのだろう。しかし、現在の状況は左利きの人にとって、かなりイライラ度が高いはずだ。

●自動販売機でお金が入れにくい
これもまた普通に使っているものだが、よく作りを見て欲しい。
お金を入れる投入口は右側に設置されている。そして商品を選択するボタンは左側にある。自動販売機の正面に立った場合、右利きの人はスムーズにお金を入れることができるが、左利きの人は、逆手の右手を使うか、体をねじらないとお金を入れられない。しかも斜めから入れることになるから、お金も入りにくい。かといって投入口の正面に立って入れると、次にボタンを押すのに少し左に移動しないとならない。

●パソコンのマウスが使いづらい
最近、人間工学の観点から、疲れにくいと言われる形状のエルゴノミクスマウスなるものが販売されている。手を自然な形で動かせるからいいのだそうだが、これはもちろん右手と左手では形状が変わってくる。左利き用のエルゴノミクスマウスも販売されてはいるが、なんといってもその数が違う。
そして複数の人間で使用するパソコンの場合、左利き用のマウスを装着するというわけにもいかない。マウスの左右ボタンの設定だって、いちいち切り替えるのは面倒くさい。

●ゲームは右利き有利、左利きの人は操作しにくい
通常、ゲーム機では、右に各種ボタン、左に移動用のスティックなり十字キーなりが用意されている。これもやはり右手で操作することを考えて作られているのだ。Aボタンを連打!なんていう芸当は、左利きの人には、逆手で高速連打しろといわれているわけだからいきなり難易度が高くなる。3DSのように、タッチペンを使う機器では、ペンで操作しながら、十字キーを使うという場面も出てくる。左手でペンを握っていたのでは、到底できない操作なのだ。

●缶切りで缶が開けられない
右利きの人は「缶切り」を見ても、なにも疑問をもったことはないだろう。
しかし、左利きの人にとって、これは史上最悪に使いづらい。
試しに左手に持ってやってみて欲しい。缶切りは、缶の右に当てて手前に倒しながら缶のフタを切る。これを左手でやるのはほとんど不可能だと言っていい。
缶飲料などは、プルタブ方式が多いが、これも実は右手用。右手で開けたときに開けやすいような構造になっている。

●便利なはずのスープバーでスープが注げない
ファミレスなどでよくあるスープバー。備え付けお玉でスープをすくうようになっている。最近、片方がとがって注ぎやすくなっているお玉がよく使われている。こぼさずに簡単によそえるので便利だと思っていたら、左利きの子どもにすくえないから取ってきてくれと言われてしまった。
確かに左手に持った状態では、とがった方が奥側になってしまうので、コップに入れるのはかなり難しい。
便利だとおもっていたモノが、実際には左利きの人には不便になるということを実感してしまった。両方がとがったお玉を見たときには、これこそ正しい形だ!と思ったものだ。

そして今もっともハイテクで一般的な道具となったスマホはどうだろうか。
スマホの本体は、ボタン配置は左右で異なっている。しかし、右手専用かといえば、意外と言えば意外なのだが、そうでもない。
そもそもスマホを持つ手は、右手でも、左手でも持ち替えて使う人も多い。右利きの人でも、左利きの人でも、ほとんどのスマホで大きな差がなく持って使うことができる。

では操作画面はどうだろうか。基本操作やアプリの操作のメニューは左側に集中していることが多い。明らかに右利き用にデザインされている。
しかし、スマホの操作は、メニューを指でタッチする操作だけなので、意外に左利きの人でも扱いやすいようだ。これは、スマホが片手だけでなく、両手を使った操作も多くすることが要因なのかもしれない。
昔のダイヤル式の電話だったときは、左利きの人はものすごくやりづらかったと思うが、デジタル化、パネル化された今は、不便さはあるものの、昔ほどのストレスはないようだ。

とはいえ、ハイテク化された時代の今でも、まだ左利きの人が不便と感じる社会であることはかわりない。技術が進んできて、利き手に関係なく使えるモノがもっと増えてくることに期待したい。