「北海道大学合格高校ランキング」私立大と一部の国公立大は大学公表のデータ。合格者数を公表していない国公立大については高校発表のデータを使用、大学通信とサンデー毎日の共同調査。(協力/大学通信)

写真拡大

■3年連続志願者増から減少へ

今春の北海道大の志願者数は1万139人で前年より305人減少した。昨年まで3年連続で志願者が増え続けてきた反動と見られる。北海道大の一般入試は入学時に学部を決めず、1年次の総合教育部での教養教育を経て2年次に学部を選択する「総合入試」と「学部別入試」ある。

総合入試には文系と理系があり、今春の文系の志願者は394人で前年を61人下回った。前年に100人以上志願者が増えた反動と見られる。前期の学部別入試の志願状況は、文学部316人(69人減)、教育学部51人(13人減)、法学部340人(73人増)、経済学部310人(52人減)と法学部以外で志願者が減少した。法学部は司法試験の合格率の低さなどから受験生の人気がない学部系統で志願者の減少が続いてきたが、底を打ったようだ。

理系学部の前期は、理学部、工学部、農学部、薬学部が総合入試のみで募集され、その他の学部は学部別入試と併用される。総合入試理系の志願者は3064人で123人減。理系人気は高いが文系同様、志願者が増え続けてきた反動が見られる。学部別志願者は獣医学部116人(11人増)、水産学部380人(50人増)、医学部・医学科337人(9人減)、医学部・保健学科415人(12人減)と人気が高い医療系が減少している。

高校別の合格者数を見ると、札幌南が昨年より5人増の118人で3年ぶりに1位となった。医学部(医学科)合格者ではトップを続けており、今春は19人中14人が現役生だった。同校は難関大の現役合格率が高い学校として知られる。同校関係者は言う。

「近年、学校の授業を大事にする生徒が増え、入試直前の講習会までほぼ全員が参加するようになりました。教師と生徒の信頼関係が難関大現役合格の要因です」

北海道大以外にも東京大10人、京都大12人、東北大18人、大阪大6人など道外の難関大にも数多くの合格者がいる。

昨年1位だった札幌北は昨年より10人減の116人で2位。ランキング上位の学校は合格者が減少傾向で、前年と比較すると3位の札幌東が12人減、4位の札幌西が30人減となっている。もっとも札幌南を含めたこの4校が北海道大合格実績で抜きんでていることに変わりはなく、札幌西と5位の札幌旭丘では40人近い合格者数の差がある。

■道内私立校の巻き返しが始まった

北海道は公立の進学実績が高く、6位以下は札幌開成、旭川東、帯広柏葉、岩見沢東、札幌第一となり、上位10校中、札幌第一を除く9校が公立高だ。ただ、近年は私立校の合格実績の伸びも著しく、ベスト20に入る学校は12年の1校から昨年は3校になり、今春は札幌第一、北嶺、札幌光星、立命館慶祥、札幌日本大学と道内の私立校が5校に増えた。いずれも前年の合格者数を上回っている。

道内の私立校で注目されるのは、11位の北嶺。卒業生が115人と小規模ながら26人の合格者を出し、その内、9人が医学部(医学科)だ。同校は東京大18人、慶應義塾大16人、早稲田大24人など首都圏の難関大にも高い合格実績を残している。同校関係者はこう話す。

「生徒の視野を広げるために、東大や一橋大など東京の難関大訪問を行っています。その際、各分野で働く難関大を卒業したOBと座談会を行っています。金融や商社など幅広い分野で活躍するOBと接することで職業感が広がることが、首都圏の難関大合格者増につながりました」

受験生の地元志向が強まる中、北海道大は合格者数ベスト20位中、14位に新潟、15位に愛知の東海が入る全国型の大学だ。旧帝大の東北大や名古屋大、大阪大、九州大と比べると、総合格者に対する地元高校の割合が低い。北海道大関係者は言う。

「北の大地に憧れる受験生は昔から多く、地元志向が言われる中でも日本全国から学生が集まってきます」

札幌北や札幌東など、道内の実績校で合格者を減らす学校が目立つ一方、道外の北海道大に10人以上合格者がいた15校の内、合格者が減っているのは2校のみだ。前出の新潟と東海はともに前年の合格者数を8人上回り、ベスト20位外では埼玉の川越が4人→13人、大阪の高槻が2人→10人など合格者が大幅に増えている学校もある。景気の回復とともにこうした流れが強まると、道内の進学校の合格者数は更に減少する可能性もありそうだ。

(大学通信 井沢秀=文 宇佐見利明=撮影)