「今回はあくまで、インターネットを使った”選挙運動”が解禁されるのであって、ネット投票の解禁ではない。今までどおり、投票所まで足を運んでもらい、候補者の名前を書かせなくては勝てないのです。地盤・看板・カバンの3バンがない候補者が、ネット選挙解禁で勝てるようになるなんてうまい話はありません(笑)」

そう語るのは、ネットを駆使した選挙に精通する選挙プランナーの松田馨氏だ。その松田氏に、ネット選挙解禁を加味した今夏の参院選の議席予測をしてもらった。結果は、自公合わせて72議席の与党圧勝。ネット解禁を10年以上前から主張してきた民主党は、選挙後の議席がわずか23という惨敗の結果となった。

「そもそも、自民党=電通は、もっともネット選挙に精通している。前回の衆院選前も、各候補者がHP、ツイッター、フェイスブックを駆使していました。さらに現在、自民の政党支持率が40%近い状態を考慮すると、31ある1人区で自民党がほぼ全勝。野党が共闘しても勝つのが難しい状態です。野党分裂の現状では絶対に勝てません」(松田氏)

先の衆院選での惨敗も合わせ、民主党が2大政党の地位から落ちることは確実な情勢だ。衆院選で負け、さらに保守的になっている民主党には、参院選で開き直って新しいネット選挙で勝負をしようという動きもないと松田氏は見ている。

渡辺喜美代表が率いるみんなの党、橋下徹・石原慎太郎共同代表が率いる日本維新の会には、ネット選挙での追い風が吹いても微々たるものだという。ただ、これはあくまでも橋下共同代表が出馬しなかった場合の予想だ。

「維新は、橋下氏個人のツイッターでの発信力がバカ高いだけで、党として情報発信がうまいわけではない。ただし、橋下市長が全国比例で出馬し、これまで許されなかった選挙期間中にネットを駆使して発信すれば、100万票以上取る可能性は十分ある。ただそれでも、議席に換算すれば2、3議席の上積みだけ。人気のピークは過ぎていますから、それが限界です」(松田氏)

各党にネット選挙解禁への対策を聞くと、「橋下・石原両代表が持つ強力な発信力をウェブ上でも高めていく」(日本維新の会)、「具体的な内容はこれから精査していく」(民主党)との回答。よほどの対策を練らなければ、参院選での自公圧勝の流れは止められそうにない。

(週刊FLASH 3月19日号)