遠隔操作ウイルス事件で逮捕された片山祐輔容疑者(30)は、殺人予告で実刑判決を受けた過去を恨んで、事件を起こしたと報じられている。それまでに何があったのか。

子猫を抱き締めると、満面の笑みで見つめ…。片山祐輔容疑者については、逮捕前にマスコミ各社が撮った猫カフェでのシーンが話題になった。

背景に、「回避性人格障害」がある?

片山容疑者は、猫に対しては、かなり強い執着があったようだ。

実は、レコード会社が商品に使ったキャラ「のまネコ」を巡って、2005年に2ちゃんねるで社員の殺害予告をして、逮捕されたことがある。このキャラが2ちゃんのアスキーアートに似ており、商売に使うことに批判が出たとき、片山容疑者もそれに加勢したのだ。

裁判ウォッチャーの阿曽山大噴火さんは、日刊スポーツサイトのコラムで、この公判などの傍聴記を書いている。

それによると、片山容疑者は当時、自分の書き込みで掲示板が盛り上がるのを見て、「誤った満足感」に浸っていた。

中学時代から殴られたり蹴られたりするいじめを受け、大学でも、「ノリが変だ」などと言われ、片山容疑者は、友だちもできなかった。就職活動もうまくいかず、自分は社会に必要のない人間だと思うようになった。そして、それだからかえって、人からの反応を得たかったというのだ。

その背景について、片山容疑者の弁護士は、自己否定されることに過敏で人との交流を避ける「回避性人格障害」があると公判で主張した。つまり、現実に得られない喝采をネット上で受けることで、自分はまともな人間だと自己満足したかったということらしい。この障害は、いじめなどがきっかけになるともされている。

警察やマスコミへの批判の方が強く

遠隔操作の事件では、犯人から警察への恨みが表明されている。

自分が正義感に駆られてレコード会社を糾弾するなどしたのに、なぜ刑罰を受けなければならないのか――。

もし片山祐輔容疑者が起こした事件なら、こんな無念な思いがあった可能性はあるかもしれない。

報道によると、片山容疑者は小学校の卒業文集で、「本当にやろうと思ったことは粘り強い」と書いていた。勤め先のIT関連会社の社長も、「マニアックで思い込みが強い」と明かしており、それが江の島の猫の首輪にマイクロSDカードをつけて自己顕示するほどの行動に駆り立てたのだろうか。

ただ、本人は、今回の事件については、まったく身に覚えがないと否認している。

ネット上では、遠隔操作ウイルス事件で4人も誤認逮捕した警察や、今回も逮捕前後から様々な情報を流すマスコミへの批判の方が強い。「警察さんサイドが無能だったにすぎん」「下手な殺人犯より追求されてるな」「また冤罪だったらどうするんだろ?」といった疑問がくすぶり続けている。