中国戦略文化促進会常務副会長兼秘書長で、軍事問題専門家として活躍する中国人民解放軍の羅援少将は15日、ユーザーとのインターネット座談会に出席し、「日本の奇襲に備えよ」などと論じた。「敵が進めば我(われ)は退く」という人民解放軍の伝統的戦術はすでに変わったと主張した。中国新聞社が報じた。

 羅少将は、「釣魚島(尖閣諸島中最大の島である魚釣島の中国側呼称だが、尖閣諸島全体を指す名称として使われる場合も多い)問題についての主導権は徐々に、中国側に移っている」と主張。

 「みなさんについては、釣魚島の問題について、思い出してほしい」と呼びかけ「以前は日本の巡視船がわれわれの漁船に体当たりし、漁民を捕らえた。現在は、わが方の公務船が釣魚島(の周辺海域)に入っている」と論じた。 2010年に9月7日に発生した、中国漁船が尖閣諸島付近で違法操業し、取り締まりの日本の海上保安庁の巡視船に自船を故意に衝突させて逃走しようとして同漁船の船長が逮捕された事件については「日本側がぶつけた」と一方的に決め付けた。

 羅少将は、中国の公船などが尖閣諸島周辺の日本の領海侵入を繰り返すようになtったことを、「以前は『敵が進めば我は退く』だったが、現在は『敵が進めば我も進む』だ。最終的には『我は進む。敵には進ませない』になる」と表明した。

 「敵が進めば我は退く」は毛沢東らが提唱したゲリラ戦術の要諦で、中国では極めてよく知られている。自軍より強大な敵を疲弊(ひへい)させ、最後に勝利するための戦術・戦略だが、羅少将が中華人民共和国の「建国の父」とされる毛沢東の考えについて「現在は違う」とあえて表現したことからは、自分に対する大きな自信が見て取れる。

 羅少将は尖閣問題の推移について、「単純な公船船隊の公務執行から、軍民混成の公務執行にしてきた」、「1歩1歩着実に進め、用心深く行動し、釣魚島についての主導権を次第に奪い取っていく」と述べた。

 日本については「油断してはならない。日本は奇襲が得意だ。われわれは警戒心を高めねばならない。日本の非常措置を防がなければならない。日本はゲームのルールにもとづかない奇襲行動をする場合がある」と論評した。

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◆解説◆中国ではここ数日、尖閣問題をめぐって「日本との開戦」を念頭にした論調が急速に高まった。◆開戦やむなしの決断◆財界を含めた日本の官民への威嚇◆国内における当局への信望の引き上げ――などさまざまな理由が考えられるが、明らかではない。中国では権力争いが原因で、対日強硬論が台頭する場合もある。(編集担当:如月隼人)