中国人民日報系の環球時報や国営中国新聞社は11日付で、「フィリピンが日本の軍事化を支持、中国が歴史を恐れていることを忘れているとの指摘」とする記事を掲載した。フィリピンのデルロサリオ外相が「日本が平和憲法を改正して軍備を整え、軍事的に絶え間なく強硬になる中国に対抗することを支持する」と述べたことに、強い警戒を示した。(写真はデルロサリオ外相。「CNSPHOTO」提供。10月19日撮影)

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 中国人民日報系の環球時報や国営中国新聞社は11日付で、「フィリピンが日本の軍事化を支持、中国が歴史を恐れていることを忘れているとの指摘」とする記事を掲載した。フィリピンのデルロサリオ外相が「日本が平和憲法を改正して軍備を整え、軍事的に絶え間なく強硬になる中国に対抗することを支持する」と述べたことに、強い警戒を示した。(写真はデルロサリオ外相。「CNSPHOTO」提供。10月19日撮影)

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 英紙フィナンシャル・タイムズが10日付のインタビュー記事として、デルロサリオ外相の発言を紹介した。同紙は発言について「フィリピン外相の発言は中国政府を不安に陥れるかもしれない」、「南シナ海における中国の挑発がますます驚くべきものになっていることの、フィリピン側の反応だ」などと評した。

 アジア地区全体については「強硬な中国に対する恐怖が、あるいは戦争中の日本の野蛮な行動についての記憶を圧倒しはじめているのかもしれない」と論じた。

 ロイター通信は別のフィリピン外交官によるものとして「フィリピンはアジアのその他の国のように、日本の軍国主義の歴史を心配していない。なぜなら第二次世界大戦後の日本はみずから、民主的で責任ある国際社会のメンバーであることを証明したからだ」という談話を紹介した。

 環球時報は、「日本の魂胆は見え透いている。ASEAN(東南アジア諸国連合)の国々を中国に対抗させ、南シナ海の問題と釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)を関連づけようとしている」と主張。合わせて、日本国内で、安倍晋三自民党総裁や石原慎太郎維新の会代表などが唱える憲法修正、国防軍創設の動きが強まっていることに強い警戒を示した。

 記事は続けて、中国社会科学院日本外交研究室の呉懐中副主任の談話を紹介。呉副主任は、日本における憲法改正にはさまざまな手続きがあり容易ではないと紹介する一方で「ひとつの正常な国家が、壮大な軍事力を持とうとしても、それはさして非難すべきことではない。第一に、自国の国民が決めることだ」と指摘。

 ただしアジアの隣国にとって「日本は歴史問題について冷静な認識がないのに、強大な軍隊を持とうとしている。何をしようというか」ということは「大きな疑問符」と主張した。

 野田首相が「A級戦犯は戦争犯罪人ではない」と発言をしたり、安倍晋三が慰安婦問題を否定した状況を「かつての日本の政治家は、第二次世界大戦の問題を軽々しく論じなかった。しかし、新時代の政客は、再軍備を毎日のように口にする」、「アジアの国は、このような日本に安心していられない」と主張。

 呉副主任は、「日本の政客の具体的な挑発を抑制することはできないが、われわれには、(日本側の)挑発行為に代償を支払わせる能力をさらに高める正当な理由が十分にある」と主張した。(編集担当:如月隼人)