オールスター・ゲームのロースターが発表された。今後、辞退選手に代わる選出もあるだろうが、基本的に残る枠は各リーグ1つずつ。ファイナル投票によって選ばれる「34番目の男」だけとなった。

 その候補は以下のとおり。

■ア・リーグ
 ジョナサン・ブロクストン(カンザスシティ・ロイヤルズ)
 ダルビッシュ有(テキサス・レンジャーズ)
 アーネスト・フリエリ(ロサンゼルス・エンジェルス)
 ジェイソン・ハンメル(ボルティモア・オリオールズ)
 ジェイク・ピービー(シカゴ・ホワイトソックス)

■ナ・リーグ
 マイケル・ボーン(アトランタ・ブレーブス)
 デビッド・フリーズ(セントルイス・カージナルス)
 ブライス・ハーパー(ワシントン・ナショナルズ)
 アーロン・ヒル(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)
 チッパー・ジョーンズ(アトランタ・ブレーブス)

 ア・リーグは5人とも投手、ナ・リーグは全員が野手だ。

 ア・リーグで選ばれるのは、日本からの票を集めるダルビッシュだろう。過去のファイナル投票でも、松井秀喜と岡島秀樹が選出されている。

 候補の5人中、WARではピービーがトップで、2点台の防御率も残しているが、ファン投票だけに6勝5敗という「結果」はアピールに欠ける。4月に月間最優秀投手を受賞したようなわけにはいかない。

 ピービー自身、日本人選手が有利とのコメントを残している。ただ、そのコメントの続きにもあったが、ピービーはシカゴのチームにいる。ホワイトソックスの選手はこれまでファイナル投票で3度選出されている。これは30チーム中最多タイの回数だ。

 スティーブン・ストラスバーグ(ワシントン・ナショナルズ)はピービーのファンだったという。2人がオールスター・ゲームで投げ合う姿を見たい気もする。

 残る候補のうち、ブロクストンは復活と地元開催という2つの「売り」があるが、復活ならピービーもそうだし、開催地とはいえカンザスシティでは票田としてシカゴに及ばない。

 ハンメルとフリエリの2人は無名すぎる。旬という点ではフリエリは抜群なのだが。5月初めにサンディエゴ・パドレスから移籍したフリエリの活躍は、エンジェルスのブルペンのみならずチーム全体でも前半戦のMVPにふさわしい。

 一方、ナ・リーグはハーパーとチッパーの新旧対決になりそうだ。

 ハーパーは「殿堂入り(するであろう)選手は、現役最終年にオールスター・ゲームに出るべき。投票するならチップに入れるね」とコメントしている。チッパーの成績自体も、カル・リプケンJr.の最終年のようなひどいものではない。2001年のリプケンの前半戦OPSは.594。オールスター・ゲーム選出はファン投票だった。

 だが、ブレーブスからはボーンも候補に挙がっており、票が割れる可能性もある。これまで、同一チームから2人がファイナル投票の候補者に挙がり、2人のうちどちらかが最多得票となった例はない。

 だからと言って、チッパーよりもハーパーを出場させたいという意図が働いているわけではないだろう。ボーンが候補から外せない働きをしているのだ。WARはリーグで五指に入っている。

 残る2人、昨年のポストシーズンでヒーローになったフリーズと、今シーズン2度のサイクルヒットを達成しているヒルは、今回の投票においては員数合わせといった感がする。

 自分なら、チッパーとハーパーのどちらを選ぶか。いろいろ考えてみたが、結論は出なかった。

 もしかしたら、日本からダルビッシュに投票する人たちが、ナ・リーグの投票結果も左右するするかもしれない。そうなると、日本での知名度の点で勝る、チッパーの方が有利になりそうだ。腐っても(腐ってはいないが)鯛、ということで。