清武英利さんの契約情報暴露で、スカウトマンたちの怒り噴出!〜朝日vs巨人戦争の飛び火、そして思い出した「まじめなスカウト」木庭教さんのこと
■以下、読売新聞より要約。
独断で記者会見を強行し、機密事項を暴露したなどとして、読売巨人軍から解任された元球団代表・清武英利氏の著書(今月16日発売)を巡り、野球界から批判が噴き出している。 巨人軍以外の球団が大学の有力選手と結んだ契約の詳細が明らかにされており、スカウトらからは「アマの選手たちとの信頼関係が崩れてしまい、今後の獲得活動にも大きな支障が出る」と怒りの声が上がった。
■これに対し、各球団のスカウトたちは怒り噴出だという。
「冗談じゃない、という気持ち。あのような暴露が許されるのだろうか。人材発掘のためには、競争の中で最も激しい情報戦を行っている。球団トップが、スカウトが集めた重要な情報を外に出すことが許されるなら、我々はアマや関係者の信用を失ってしまう。契約の詳細は重要なトップシークレットのため、球団内での電話も控えるくらい情報漏れには注意を払っていた」
「いい選手を獲得するために各球団は知恵を絞って企業努力をしている。そういうものが表ざたになると、まじめに活動しているスカウトまで色眼鏡で見られることになる」等々。
■読売の記事だから、多少割り引いて読む必要はあるだろう。ただ「まじめに活動しているスカウト」という文を読んで、(冒頭の記事とは関係ないけれど)ボクは広島などでスカウトをされていた木庭教さんのことを思い出した。木庭さんこそ札束攻勢とは無縁な、まさに「まじめな名スカウト」だったんじゃなかろうかと。
だいぶ以前、 『スカウト』(後藤正治著、講談社刊)を読んだ。この物語(ノンフィクション)の主人公が木庭さんだった。
同書に紹介された木庭さんの風貌は、「まじめさ」を十分に醸している。
以下、青文字の箇所は『スカウト』より引用した。
「木庭は小柄な人である。白っぽい半そでのポロシャツに、白いソフト帽、肩から黒い大きなショルダーバッグを下げている。それが、この季節のいつもの出で立ちである。顔から首筋、それに半袖から出た腕は、擦り込んだように日焼けしている」
また、いわゆる札束攻勢に手を染めたことは一度もない「まじめな」スカウトだった。
「裏工作もまた、彼の好みではなかった。彼のスカウトとしての手腕は、(人間性を含めた)選手たちの力量を測る眼力が、相対的に高いということだった」
札束攻勢に頼らず、己の眼力で選手を見る---これは広島という金銭力に乏しい球団事情が多少なりとも影響していたに違いない。でも、それでも、ボクが憧れるスカウト像は、木庭さんなのだ。
■いまの時代、プロ球団のスカウトに求められる要素は「どうやって選手を見つけるか」ではなく「(裏金を含めて)優良選手をどうやって入団に結びつけるか」に変遷していることはボクも理解している。でも、そのような状態で、ファンから見た「面白い野球」が持続可能なんだろうか。
スカウト自身の眼力で選手を発掘して、あっと驚くような(無名の)選手がいきなりグラウンドに姿を見せる・・・例えば、終戦直後の大下弘さんみたいな。
う〜ん、そんなことは無理だろうな。ただの懐古趣味なんだろう、きっと