結果は1-0でスウォンジーの勝ち。ホームでは結果を出しまくっているスウォンジー。首位のシティを相手にしても、予定通りに勝利することに成功している。終了間際のセットプレーのときに、ハートをゴール前に上がらせるほど勝ちにこだわったシティだったが、得点を奪うことはできなかった。

 ■駄文

 管理人がここまでスウォンジーすげーーとなっているのは、このメンバーでもボールを保持して攻撃を仕掛けることは可能だということを証明しているからである。このメンバーという表現には、ネガティブな意味が含まれているかもしれない。だが、スウォンジーのスタメンで名前がちょっとでも有名なのは、チェルシーに在籍していたシンクレアくらいだろう。

 そのメンバーでも、シティ、スパーズ、アーセナルを相手に堂々と自分たちがボールを保持して攻撃を仕掛けていくわけである。それでいて、結果も出してしまっているのだから、恐ろしい話だ。ちなみに、監督の名前はブレンダン・ロジャース。北アイルランド国籍。モウリーニョにヘッドハンティングされた過去を持っている。

 ちなみに、ビラス・ボアスもブレンダン・ロジャースもモウリーニョの元で働いていた過去を持っているが、モウリーニョの行なっていた、嘘っ!!!というほど現実的で破壊的なサッカーからは遠く離れたサッカーをこの二人が志向しているのが面白い。ただ、それはモウリーニョと相反するという意味ではなくて、それらのサッカーが実はとっても近い距離に存在していたのではないかなと考えている。

 そして、スウォンジーの仕掛けについて見ていく。しかし、特別な仕組みみたいなものは今のところ、発見できていない。

 ■バックパスが本当に多い
 


 CBの攻撃を作る能力が異常。双方ともかなりのレベルである。特に素晴らしいのが、前にスペースがあるときにそのまま運ぶドリブルで攻撃を組み立てられるところにある。なんとなく中盤の選手にボールを預けてしまうCBが多いが、彼らは意図のないプレーをしない。

 また図にも記載されているが、攻撃のポジショニングをリセットするために何度もバックパスを繰り返すのはちょっと面白い発想である。後方からボールを運んでいくことに絶対の自信をもっているのだろう。なお、GKのフォルムもそれなりに繋げる選手であることも大きい。

 ■SBとSHの役割について



 SBは両方とも攻撃参加することが多い。その場合はブリットンが後方に残って、守備の枚数に加わっている。SBの選手が中央に入ってくる場面は極僅か。SHの選手はサイドからのドリブルによる仕掛けと中央に侵入して、攻撃の起点になる動きが多い。

 SHの選手で特筆すべきはスペースの作り方である。いたって基本的なことなのだが、自分がボールを受けたいスペースを予め開けておく。それでそこにボールが供給できる状態になったら、素早くボールをひきだす動きをする。この動きの距離がちょっと長いので、シティの選手はファーストタッチを狙うような動きを見せられなかった。

 ■ブリットンとジョーアレンとシグルドソン

 ブリットンは後方でボールを落ち着けて、ボールを左右に散らす役割。ジョーアレンはブリットンの役割+バイタルエリアでの仕掛け。シグルドソンはバイタルエリアでの仕掛け+彼らのヘルプといった役割分担になっている。役割分担があるので、ブリットンは仕掛けるプレーが少ない変わりに、パスミスはほとんどしない。

 ジョーアレンとシグルドソンはスペースを見つけるのがとてもうまい。SHが中央にいたり、サイドにいたりするので、かなりポジショニングは状況によって異なる。恐らくパターンで決められていない。その中で、空いたスペースに迷いなく飛び出していく。

 前半はこの動きが頻繁に見られて、後半は全然見られなくなった。疲れたのか、シティとの対戦の中で勝ちに行くのか、守りに行くのかの判断が曖昧になったのかもしれない。どちらかは不明。で、この二人の状況判断の正しさ、ボールを落ち着けるのか、スペースに飛び出すのかは恐ろしいんだけど、何度か見られた場面を書いておく。



 ■ラストはグラハム

 グラハムはポストプレーでチームに貢献している。特にロングボールを受けて周りに繋ぐのが巧い。いくら繋ぐのが上手くてもロングボールを蹴るしかない状況に追い込まれることはある。また、ショートパスだけでは攻撃の流れに変化が起きない。そんなときはグラハムの出番である。空中戦に強いわけではないので、後方からのボールの質にかかっていることは否定できないが、しっかりボールをおさめてくれるので、かなりのキーマンになっている。

 ■まとめ

 守備はどうなっているという話。基本は前プレ。GKまで追いかけて相手にボールを落ち着かせない。ボールを運ばれたら、自陣に撤退して我慢。守備の使い分けも問題ない。カウンターも無理に急がない。カウンター合戦になるのを明らかに嫌がっている。

 なお、この試合のシティは前半にバリーを下げて、アグエロを投入し、攻撃の枚数を増やしてきた。どっちが攻撃力があるか対決になったが、攻撃をやり直さないシティの攻撃は単発で終わり、試合をコントロールするという発想がなかった。スウォンジーは攻撃の時間を長くすることで、守備の時間を減らす発想。無理に急がない。

 ただし、試合をわけたのは、またもサビッチのミスからであった。どうせならヤヤをCBにしたほうがいいような気がするのだけど。これで首位陥落だから、やってられないだろうなと。

 スウォンジーはウェールズ代表の選手が多い。ベルギー代表の若手もそうだが、ちょっと世界の進化のスピードが早くなっていないかと不安になる試合にもなってしまっている。