先月末に発生した富士五湖群発地震の数日前、富士山の東側斜面で蒸気が噴き出していた?

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 昨年3月の東日本大震災を境に「富士山平成大噴火」が懸念されている。

 地震、特に巨大地震と火山活動の活発化に関連があるのは過去の例から見ても明白で、最後に富士山が噴火した1707年の「宝永大噴火」の際には、その49日前にM8以上と推測される宝永地震が起こっている。

 そして今回の東日本大震災では、そのわずか4日後にM6.4の静岡県東部地震が発生。そして先月28日には、富士山北東約30kmを震源とするM5.5の地震が発生し、数日間にわたり群発地震が起き続けた。

 これらは噴火の前兆ともいえる現象だが、実際に噴火の初期現象といえる「噴気」がすでに起こっている可能性が高い。実は、その証拠ともいえる1枚の写真がある。それは、有名な女性占術研究家、マギーさんのブログに掲載された写真だ。1月25日の午前中に彼女が撮影した富士山は、その山腹から勢いよく「蒸気」が上がっているのである。このときの状況を、マギーさんが語る。

「この10年間ほど、私は仕事で週に1、2回は東京と名古屋を往復し、いつも新幹線の車内から美しい富士山を観察し続けてきました。この日は、午前8時40分東京駅発の新幹線に乗り、前日の雪で白くなった富士山をいつものように眺めていました。すると、小田原を過ぎたあたりで雲ひとつない富士山の東側斜面の一点から突然、ポッと白い柱のようなものが噴き出し、見る見るうちにモクモクと大空へ伸びていったんです。これはただ事ではないと直感し、慌ててデジカメを取り出しました。しかし、シャッターを押す前に山あいに入って富士山が見えなくなってしまい、そこを抜けて三島駅を過ぎたあたりでようやく何枚かの写真を撮りました。このときの写真をブログに掲載したのですが、予想外の反響が起きて、正直びっくりしているんです」

 実はこの富士山東側斜面は、いわくつきの場所なのである。2003年9月にも、今回の噴気場所から標高差で約750m下の2合目付近で直径5〜15mの陥没孔が4つ出現、翌年4月まで40〜100度の高温蒸気が噴出し続けたことがあった。その場所は自衛隊演習地内だったので一般の目には触れなかったが、現場へ通い取材を繰り返したジャーナリストの有賀訓氏はこう語る。

「最初は白い熱蒸気が轟々と音を立てて10m近く噴き上がり、やがて硫黄臭い無色の噴気に変わりました。山梨県は、樹木伐採業者が不法に埋めた木材が腐敗し発酵したために起きた現象と説明しました。しかし、冬の標高1500mの山の中で発酵など起きるはずがありません。7ヵ月間も高温の噴気が起きたのは、火山活動が原因と見るべきでしょう」

 今回、マギーさんが撮影した写真では、瞬く間に白い煙が高度1000mにまで噴き上がっており、明らかに9年前とは規模が違う。今、富士山の東側斜面で何が起きているのだろうか。

(撮影/五十嵐和博)

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