広東省で2歳の女児が1台のワゴン車に2度もひかれて逃げられ、さらに別のトラックにもはねられた挙句、18人の通行人に無視され続けた事故について、中国人ブロガー「顔落」さんが感想を書いている。

 女児は最終的にゴミ拾いのおばさんに助けられたが、事故後、このおばさんに対し「売名行為の自作自演でやったんだろう」という見当違いな批判もあったと報じられている。

 ブロガーは「ニュースを知って辛くなった。傍観者たちの冷淡で麻痺した感覚はひどかった。でも、私もただのニュースの傍観者でしかない。何と言ったらよいのだろうか」とひどくショックを受けた様子。

 そんな時、ブロガーはたまたま「微博(中国版ツイッター)」で、有名人の書いたあるコメントを見かけた。「自分の民族を強烈に卑下したくなった。18人もいたのに。この無力感や劣等感は、天宮一号を18機打ち上げても立ち直れないほどだ」というもの。天宮一号は、中国が9月29日に打ち上げた宇宙ステーション建設のための実験機。ブロガーはこのコメントに共感し、リツイート(転送)した。

 だが翌日、そのコメントはネットポリスから「マイナスイメージを形成する」などの理由で非難を受けてしまったという。国家プロジェクトの天宮一号を引き合いに出したのが良くなかったようだ。

 これに対しブロガーは、「コメントを大げさに問題視する理由が理解できない」、「おかしなことが起きたら、それに対する不満や批判が出るのは当たり前ではないか」と反論。ネットポリスに対して恐れることなく、正論を主張した。

 文末では、「ニュースを見て最初は激しく憤ったが、今ではむしろ自問自答している。この民族は今こそ自問と反省を行うべきではないだろうか。『無関心はいけない』などのスローガンで終わらせてはいけない」と記し、中国社会を覆う道徳崩壊に対し、強い危機感を示していた。(編集担当:西山正)