埼玉西武ライオンズ東北楽天ゴールデンイーグルスの第19回戦は、4対2でライオンズが勝利した。

 ライオンズは初回、中島裕之のタイムリーヒットで1点を先制すると、2回には原拓也がタイムリー2ベースヒットを放ち、2点を追加した。
 投げては、先発の岸孝之が8回2失点で、6勝目をあげた。

 先発投手の球数制限が徹底されている米メジャーリーグでも、長いイニングを投げられる先発投手は重宝されている。先発投手がマウンドに立ち続けられれば、それだけブルペンの負担を軽減できる。

 そんな投手は、イニング・イーター(イニングを「食べる」投手)と呼ばれる。最近の例ではシカゴ・ホワイトソックスマーク・バーリーが有名で、2004年、2005年と2年連続でアメリカンリーグ最多投球回を記録。2004年5月11日の対ボルティモア・オリオールズ戦から、2005年7月26日の対カンザスシティ・ロイヤルズ戦にかけては、49試合連続6イニング以上登板という記録を打ちた。

 ゴールデンイーグルスの田中将大も、わが国を代表するイニング・イーター。対ライオンズ第19回戦が始まる前まで、22試合に登板し、消化したイニングは183回と1/3と、北海道日本ハムファイターズのエース、ダルビッシュ有に次ぎ、パリーグ2位10完投で、1試合の平均投球回数は8回1/3だ。

 この試合でも、4失点で今季5敗目を喫したが、8回完投。初回1点、2回に2点を失った他、再三に渡りピンチを招くも、最後までマウンドに君臨し続けた。2点ビハインドで迎えた8回も、自ら続投を志願した。
 結局11三振を奪い、5年目で初めてシーズン200奪三振に到達したが、味方の援護が無く敗戦投手になったものの、田中からかは球界を代表するエースの風格すら漂っていた。

 そんな田中には、星野仙一ゴールデンイーグルス監督は絶大な信頼を寄せている。序盤に3失点し、中盤以降もピンチの連続だった田中だったが、ブルペンで中継投手陣が投球練習を始めたのは、試合の後半。一方、ライオンズでは先発の岸が3回、味方の援護の直後に2失点すると、ブルペンがにわかに慌ただしくなった。

 ルーキーイヤーの2007年に新人王争いを演じたライバルに投げ勝った岸だったが、ブルペンの様子は田中に軍配が上がるだろう。

 かくして今季の投球回数を191回1/3に伸ばした田中だったが、敗れたチームは、自力でのクライマックス・シリーズ進出の可能性が消滅。パリーグ4位だが、5位ライオンズとの差は1ゲームに縮んだ。
 今季の完食、いや完投を11にした田中だが、そのお味はさぞ苦かったことだろう。