3日に行われたブラジルW杯アジア3次予選対北朝鮮戦は、ご存知のとおり1―0の辛勝だったね。苦しみながらも、ロスタイム、それも最後の最後でゴールネットを揺らしての勝利は、確かに劇的だった。勝ち点3という結果をしっかり残せたことはよかったし、エンターテイメント性のある結末により、世間の注目がより集まるようにもなるだろう。

だからといって、その試合内容を簡単に水に流すわけにはいかない。率直に言えば、良くなかった。北朝鮮の戦い方は予想どおり、引いて守ってカウンターを狙うというものだった。アジアでの戦いでは、日本にとって何度も対峙したことのある類の戦い方だ。

そうした相手に対して、日本は3―0で快勝した韓国戦の印象が強かったのか、特に前半はきれいにやろうとし過ぎた感がある。パスをまわすばかりでシュートを打つ意識が低く、自分たちのスタイルという殻を破らないと、ゴールを脅かすことはできない。その点、後半は長谷部のミドルシュートなど、意識が変わったように思える。

相手が一人少なくなったことも大きいが、追い込まれた中でようやくゴールを生むことができた。あれが入ったからこそ、相手GKのファインプレーや、ポスト直撃のシュートも、酒のツマミになることができた。あのまま引き分けていたらまずい酒だったね。

アウェイのウズベキスタン戦も苦しい試合になるだろう。W杯予選で楽な試合はない。日本代表は強くなったという意識は捨てて、もう一度謙虚に、気を引き締めて戦ってもらいたい。いつもいつも劇的な勝利では、胃に悪いからね。