以前、こちらの記事で紹介した、オランダ・アムステルダムへの新スタジアム建設構想。3月に記者会見が行われてから、しばらく音沙汰がなかったこのプロジェクトですが、このたび本格的に始動することになりました。来週木曜、オランダ王立野球・ソフトボール協会(KNBSB)のロバート・エーンホーンTD(テクニカルディレクター)がニューヨークに渡り、MLBインターナショナル(MLBの国際普及部門)にスタジアム建設の覚書を手渡すことになったそうです。

 これが行われるのは、リンク先の記事にもある通り、この3万人収容(予定)のスタジアムが3年後の2014年に、MLB初のヨーロッパでの公式戦誘致を目論んでいるから。もちろん、そのためだけに作られるわけではなく、普段は同市のホーフドループ地区に本拠地を置く、ヴァッセン・パイオニアーズのホームスタジアムとして使用される予定です。このスタジアムが完成すれば、ホーフドループはハーレムに続いて、オランダにおける野球の根拠地となるのはもちろん、ヨーロッパ野球史上初めて、10000人以上収容の野球場が誕生することになります。

 来年、協会創設100周年を迎えるKNBSB。来年は、ヨーロッパ選手権本大会のホスト国となることも決まっています。ハーレムベースボールウィークやワールドポートトーナメントといった、自前の大会の開催や、IBAFワールドカップで3度開催国となったことなどから、今やオランダはイタリアとともに、ヨーロッパ全体における野球の総本山を形成するにまで至りました。もちろん2年前のWBCでの、ドミニカ共和国相手の2度の大番狂わせも、今だ非常に鮮烈な記憶として残っています。それゆえ、今回の新スタジアム建設に際しても、協会側は非常に力を入れている模様(もっとも、当初覚書の手渡しが、 7月のMLBオールスター期間中になるはずだった予定から、スケジュールとしては遅れていますが)です。

 アムステルダム市のスポーツ振興課長であるエリック・ファンデルバーグ氏、同じくホーフドループのスポーツ関係責任者であるミヒール・べズイエン氏とともに、ニューヨークに向かうエーンホーン氏は「我々は、3月の記者会見にも同席した、MLBのクライブ・ラッセル氏(ヨーロッパ・アフリカ・中東地域普及責任者)にも臨席してもらいたいと思っているし、もちろんニューヨークから、前向きないい返事が来ることを一番に望んでいる」と語りました。常に球界として成長し、進化することを追い求め、2014年のMLB公式戦開催も心待ちにしているという同氏。これからの進展が楽しみですね。