キミの自転車にこの「TSマーク」(赤色のシール)はついているか? 自転車屋さんで整備を受けると年1000円で貼付できるぞ

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 8月10日、福岡市博多区で2008年に自転車と衝突したオートバイの男性が転倒し、反対車線の乗用車にはねられて死亡した事故で、自転車と乗用車の運転手が男性の遺族と1000万円を支払う内容で福岡地裁で和解していたことがわかった。

 標識無視など自転車のマナーの悪さが死亡事故を誘発したとして、自転車の運転手にも大きな責任が認められたこの裁判。このように、自転車の事故でも多額の賠償金が求められるケースもある。なかでも有名なのが、2002年9月に横浜で起こった事故。女子高生が夜間に携帯電話を操作しながら無灯火で運転、歩行者に衝突し、後遺症を負わせたことから、横浜地裁は2005年11月、女子高生側に約5000万円の支払いを命じた。つまり、多額の賠償金問題は自転車ユーザーにとっても無関係ではないのだ。

 もちろん、基本的な交通ルールを守るのは当然だが、それでも、不慮の事故を起こしてしまうことはあり得る。万一を考えた自転車保険にはどのようなものがあるのだろう。NPO自転車活用推進研究会の理事を務めるTBSプロデューサーの疋田智氏は、自転車ユーザーにおすすめの保険として、「JCA自転車総合保険」を挙げる。

「この保険は、JCA(日本サイクリング協会)の賛助会員として登録することで、自動的に付帯する保険です。年会費は4千円(平成23年度)で、賠償責任補償5千万円、死亡&後遺障害補償は213万円。追加保険料を支払うことで、補償を手厚くすることも可能です」

 さらにお手軽なものだと「TSマーク」というものもあるという。賠償責任補償2千万円、死亡&後遺障害補償は100万円で、近所の自転車屋さんに行って点検を受けるだけで登録可能。1年間有効で費用は整備代金として1千円のみ。

 ただし注意すべきは、こうした保険が無謀運転をもカバーしてくれるものではないということ。損害保険会社の業界団体、日本損害保険協会の広報室はこう話す。

「実際には個々の事例によりケース・バイ・ケースとなりますが、自転車ユーザーにあまりにも重大な過失があると判断された場合、保険金が下りない可能性もあります」

 自転車ユーザーの増加と比例して増える自転車事故。交通ルールを守った上で、念の為にこうした保険にも加入しておいた方が安心だろう。

(撮影/村上庄吾)


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