夢、潰える…。常盤木学園、決勝進出ならず<全日本女子サッカー選手権>
全日本女子サッカー選手権第5日は26日、西が丘サッカー場(東京都)にて準決勝2試合が行われた。3回戦で今季のなでしこリーグ覇者、日テレ・ベレーザを倒し、高校チームとしては史上初のベスト4に入った常盤木学園高校は、INAC神戸レオネッサと対戦。格上を相手に粘りのサッカーで前半を無失点で折り返すも、後半力尽き0−5で敗退した。
もう1試合は、浦和レッズレディースがアルビレックス新潟レディースを3−1で下し、昨年に続き決勝に進んだ。
決勝は来年1月1日、国立競技場(東京都)で行われる。
■第32回全日本女子サッカー選手権 準決勝
常盤木学園高校(チャレンジEAST)0−5 INAC神戸レオネッサ(なでしこ)
得点(INAC)米津49,75分、田中66,81分、坂井74分
アルビレックス新潟レディース(なでしこ)1−3 浦和レッズレディース(なでしこ)
得点(浦和)北本10分、堂園27分、岩倉84分(新潟)菅澤74分
2回戦、チャレンジリーグWESTのクラブチーム、ジュブリーレ鹿児島を6−0と一蹴。3回戦は本大会4連覇、11度目の優勝を狙う女王、ベレーザの多彩な攻撃を封じ込めた。PKにもつれ込み、これを撃破。快進撃を続けた常盤木学園は、「元日国立」まであと1勝にせまった。
大金星、大番狂わせと言われ、常盤木学園・阿部由晴監督(48)も「ここまできたのは他力本願ですから」と笑って話すが、決してそうではない。
彼女たちは今季、チャレンジリーグ(なでしこの下部リーグ)に参戦し、クラブ、大学チームを相手に12勝1敗2分。リーグEASTで優勝を果たした。また、チームの中心選手、FWの京川舞(2年)、仲田歩夢(2年)は、今夏のU−17女子ワールドカップ準優勝メンバー。他にも代表クラスの選手が揃っている。
しかし、その京川は前節で足を痛めベンチスタート。チームは攻撃の軸を失うが、ベレーザ戦と同様に守備的布陣をひく。前半10分までは互角に渡り合うものの、徐々にパス回しに長けたINACに押し込まれ始める。30分を越えると全員が自陣に戻り守備に奔走したが、連動したブロックと高い守備意識で10本のシュートを防ぎきり、前半を0−0で終える。
攻めあぐねたINACには焦りも見られた。キャプテンのMF那須麻衣子(26)は前半を振り返り「相手に(守備的に)引かれてしまって運動量が少なかった。多少焦りはあったが、1点取れば、と自信はあった」と話す。
常盤木学園は筋書き通り。後半からは「出たくてしょうがなかった」と話す京川を投入。守ってワンチャンスを狙うが、どこまでINACの猛攻を凌げるか。前節から中2日の試合。どこまで身体的、精神的に保つのかが焦点となる。
49分、ゴール前の混戦からついに失点。0−1となっても集中力を維持していたが、66分、「警戒していたINACの左サイド」(阿部監督)ではなく、右サイドから日本代表のFW川澄奈穂美(25)に自陣深くえぐられると、クロスをあげられ、鮮やかにヘディングシュートを決められた。
このゴールがショックを与えた。見た目にも運動量が落ち、ボールが持てなくなり連続失点。それでも「何点取られても1点取りたかった」(仲田)と少ないチャンスに攻め上がるが、結果はシュート3本(前半1後半2)。INACのゴールネットを揺らすことはできなかった。
0−5。終了のホイッスルが鳴った後、常盤木学園の選手は皆、泣いていた。「ベスト4まできたことは嬉しいけど、やっぱり悔しかった」と仲田は話す。
大差で敗れたが、果敢に挑んだことは確か。涙をこぼしピッチを去る彼女たちの背中にスタンドからは大きな拍手が贈られた。
(取材・文=小崎仁久)
もう1試合は、浦和レッズレディースがアルビレックス新潟レディースを3−1で下し、昨年に続き決勝に進んだ。
■第32回全日本女子サッカー選手権 準決勝
常盤木学園高校(チャレンジEAST)0−5 INAC神戸レオネッサ(なでしこ)
得点(INAC)米津49,75分、田中66,81分、坂井74分
アルビレックス新潟レディース(なでしこ)1−3 浦和レッズレディース(なでしこ)
得点(浦和)北本10分、堂園27分、岩倉84分(新潟)菅澤74分
2回戦、チャレンジリーグWESTのクラブチーム、ジュブリーレ鹿児島を6−0と一蹴。3回戦は本大会4連覇、11度目の優勝を狙う女王、ベレーザの多彩な攻撃を封じ込めた。PKにもつれ込み、これを撃破。快進撃を続けた常盤木学園は、「元日国立」まであと1勝にせまった。
大金星、大番狂わせと言われ、常盤木学園・阿部由晴監督(48)も「ここまできたのは他力本願ですから」と笑って話すが、決してそうではない。
彼女たちは今季、チャレンジリーグ(なでしこの下部リーグ)に参戦し、クラブ、大学チームを相手に12勝1敗2分。リーグEASTで優勝を果たした。また、チームの中心選手、FWの京川舞(2年)、仲田歩夢(2年)は、今夏のU−17女子ワールドカップ準優勝メンバー。他にも代表クラスの選手が揃っている。
しかし、その京川は前節で足を痛めベンチスタート。チームは攻撃の軸を失うが、ベレーザ戦と同様に守備的布陣をひく。前半10分までは互角に渡り合うものの、徐々にパス回しに長けたINACに押し込まれ始める。30分を越えると全員が自陣に戻り守備に奔走したが、連動したブロックと高い守備意識で10本のシュートを防ぎきり、前半を0−0で終える。
攻めあぐねたINACには焦りも見られた。キャプテンのMF那須麻衣子(26)は前半を振り返り「相手に(守備的に)引かれてしまって運動量が少なかった。多少焦りはあったが、1点取れば、と自信はあった」と話す。
常盤木学園は筋書き通り。後半からは「出たくてしょうがなかった」と話す京川を投入。守ってワンチャンスを狙うが、どこまでINACの猛攻を凌げるか。前節から中2日の試合。どこまで身体的、精神的に保つのかが焦点となる。
49分、ゴール前の混戦からついに失点。0−1となっても集中力を維持していたが、66分、「警戒していたINACの左サイド」(阿部監督)ではなく、右サイドから日本代表のFW川澄奈穂美(25)に自陣深くえぐられると、クロスをあげられ、鮮やかにヘディングシュートを決められた。
このゴールがショックを与えた。見た目にも運動量が落ち、ボールが持てなくなり連続失点。それでも「何点取られても1点取りたかった」(仲田)と少ないチャンスに攻め上がるが、結果はシュート3本(前半1後半2)。INACのゴールネットを揺らすことはできなかった。
0−5。終了のホイッスルが鳴った後、常盤木学園の選手は皆、泣いていた。「ベスト4まできたことは嬉しいけど、やっぱり悔しかった」と仲田は話す。
大差で敗れたが、果敢に挑んだことは確か。涙をこぼしピッチを去る彼女たちの背中にスタンドからは大きな拍手が贈られた。
(取材・文=小崎仁久)