日本代表の新監督がようやく決まった。情報が錯綜する中、やってきたのはイタリア人のアルベルト・ザッケローニだった。
ザッケローニは95年から98年までウディネーゼを率いてセリエA3位に導き、ミラン時代にはスクデットも獲得している。ミラン、インテル、ユヴェントスと、イタリアの3大クラブを率いた実績は、確かにこれまでの日本代表監督と比べればダントツの経歴で、世界的に名の知れた監督であることは間違いない。
もちろん、僕も期待している。特に持ち前の両サイドを広く使ったサッカーを日本に持ち込むことは、ポジティブな変化を想像できるね。

ただ、同時に不安もある。名将、知将とは言われるものの、ウディネーゼの躍進もミランでの優勝も、凝り固めた一つの形がうまくはまったゆえのもので、その後は目立った成績を残せていない。むしろ近年は失敗の連続だ。
イタリア本国でも斜陽の監督と言われているように、選手と同様に監督にも旬があることを思えば、ザッケローニは旬ではないかもしれないね。

さらに、ザッケローニにとってはこれが海外での初采配になる。それも西洋文化とは大きく異なる、日本での監督生活だ。本人はもちろん、イタリア人スタッフたちがうまく日本社会になじめるかどうかも、日本代表にとって大きなポイントになるだろう。代表監督に限らず、日本になじめず去っていった選手、監督を挙げればキリがないからね。

また、協会が追い込まれた末の決着だったということも言及しておくべきだ。無職だったザッケローニサイドからの強い売り込みがあったという話も聞く。原技術委員長が帰国しているタイミングでの決定だったから、向こうに残っていたエージェントが、強い売り込みに乗せられたのではないか、という憶測もしたくなるよ。

ともあれ、2つの親善試合に臨む選手たちにとって、新しい監督が観戦するというのは、モチベーションアップの材料になるだろう。イベント的要素の強い2試合だけど、ザッケローニが日本のサッカーを観てどう感じるのかは興味深いね。(了)