韓国の柳明桓(ユ・ミョンファン)外交長官が、ベトナム・ハノイで開かれたアセアン地域安保フォーラム(ARF)に参加中の24日、現地で行われた記者会見で「北朝鮮がよければ、北朝鮮に行きなさい」と発言したことで物議をかもしている。

 問題の発言は、北朝鮮の挑発を憂慮(ゆうりょ)する記者の質問に答えた際に飛び出たものだ。韓国メディアは、「柳長官が民主党を支持する若者たちを非難した」として反発を強める民主党の声を紹介したほか、ネット上で論争になっていることも次々と伝えた。

 メディアによると、哨戒艦「天安」沈没事件以降、韓国の若者たちの間で「ハンナラ党を選べば戦争、民主党を選べば平和だ」という主張が多くみられたという。柳長官は「民主主義の良いところは全部享受しながら、北朝鮮を擁護するのはなぜだ」と疑問をぶつけ、「このような精神状態では国を維持できない」と強く批判した。

 柳長官はまた、若者たちが民主党を支持するのは「親北行為だ」と、過激な表現を使用。民主主義を主張し、独裁政権を押し倒すことには賛成しながら、「北朝鮮の独裁に対しては一言も言えない」と非難した。

 外交通商部の金英善報道官は急きょ声明を発表、「天安艦事件以降、政府の調査結果に不信感を表した若い世代に対する苦言だった」と釈明、事態の鎮火に乗り出した。しかし、民主党からは「反民主的暴言だ」として、柳長官の解任を求めており、大きな波紋が予想される。(編集担当:永井武)



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