最後まで単独突破を試みる本田の姿勢には頼もしさを感じた<br>(Photo by Tsutomu KISHIMOTO)

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まずは採点から。

GK 川島 6.5 終了間際、ウェボのシュートをナイスセーブ。

DF 駒野 6.5 長友より高い位置をキープ。前方の松井をサポートした。
DF 闘莉王 6 地味に静かに落ち着いてプレイした。
DF 中澤 6 精一杯のプレイ。
DF 長友 6.5 攻撃参加出来ず。しかしエトーをゴールから遠い位置でプレイさせることには貢献した。

MF 阿部 6 相手に押し込まれた後半、もう少し、ボールを前に運びたかった。
MF 長谷部 6 後半37分、惜しいミドルシュートを放ったが、後半のポジショニングは全体的に深目。高い位置でボールに絡みたかった。
MF 遠藤 6.5 ボールを落ち着かせることはできた。彼にボールが渡るとひと安心。そんなシーンは度々あったが、阿部、長谷部同様、プレイエリアは低目。ゴールチャンスの演出には、あまり貢献出来なかった。

FW 大久保 6 身体は切れているし、意欲も十分感じられたが、左ウイングというポジションとの適正に疑問を感じざるを得ない、日本の攻撃が、右サイドに偏る大きな原因だ。
FW 本田 8 センターFW兼トップ下。ぼくがかねてから推奨していた「9番兼10番」の大役を見事にこなした。何より感激したのは、終盤、苦しい時に、単独突破を試みる姿勢。従来の日本人選手にはない頼もしさを感じた。
FW 松井 7.5 大活躍。後半24分、岡崎と交代でベンチに下がったが、それまでのプレイは文句なし。右ウイングのポジションで、巧みにボールをキープ。良い感じで時間を作ることに成功した。影のマンオブザマッチ。

交代選手
FW 岡崎 5.5 ディフェンスには貢献。後半37分のポスト直撃弾は決めたかった。
FW 矢野 6 岡崎以上にディフェンスに貢献。以外にも存在感を発揮した。
FW 稲本 -- 採点不能

岡田監督 6 メンバー交代は妥当。ただ、左ウイングの先発は、大久保より、玉田の方が良いと思う。左右のバランスは、この方が取れるはずだ。もっとも、正直言って、このサッカーを僕は嫌いではない。どういう経緯で、この結論に達したのか。興味深い。

日本は考えられる限りにおいて最高の戦いをした。

片やカメルーンは考えられる限りにおいて最低の戦いをした。

日本が大方の予想を覆す、まさかの勝利を納めた原因だ。

僕の予想も外れたわけだが、そこがサッカーの面白いところだ。番狂わせの主役を演じた側、つまり、まさかの勝利を演じた側には、喜びの種類の中で最上級に値する痛快さを味わう特典を受けることもできる。

しかし、そうした幸せのまっただ中にいる人たちに、冷水を浴びせようとするわけではないが、グループリーグ突破の確率は、まだ決して高くない。オランダ、デンマークのチームから勝ち点3を奪い、通算2勝1敗にする可能性を30%以上とする人は、かなり強気だ。勝ち点1を奪う可能性さえ40%以下だと僕はみている。

オランダはやっぱり強い。

デンマークは、賢い好チームだ。

両チームの対戦を見て感じたことだが、特にインパクトを感じたのは後者にの戦いぶりだ。デンマークはカメルーンのようなドジはまず踏まない。明らかにカメルーンより、日本が戦いにくいサッカーをする。もし、この難関を突破しベスト16入りすることができたら、それこそ画期的。大事件に相当する。

日本が大事件を引き起こすためには、欲を出さないこと。守らずに前に出て行くことだ。オランダには3度パンチを浴びたら、少なくとも2度は打ち返すこと。攻撃大好きのオランダが、守備をする時間が増えるほど、試合は面白くなる。僕はそう思うのだ。