レッドソックスのテリー・フランコーナ監督が絶大なる信頼をおいている岡島秀樹投手が、今年ボストンで4年目のシーズンを迎える(2月27日付ボストン・グローブ)。

 3年もボストンにいるのに、岡島はこの町の名所巡りをしたことがない。「ほとんどなにも見ていないんですよ。ぼくはボストンに野球をするために来たので、観光客じゃないですから」と岡島はいう。「きれいな町だと聞いているので、今年は休日があったら出かけてみようかと思います」

 よく行くレストランは?と訊かれても、岡島はすぐには思いつかないようで、しばらく考えたすえに「たいていうちで食べます。奥さんの料理が一番です」と答えた。

 だが、レッドソックスにはどうでもいいことだ。岡島はもっとも信頼のおけるセットアップマンで、それが一番重要なのだから。「1年目にはまさかここまでやれるとは思わなかった。今では、彼に頼りすぎかもしれない」とフランコーナ監督。

 岡島の直球は145km/hを超えることは滅多にないが、コーナーをつく制球力のよさと、恐れずに内角を突く投球、そして大きく曲がるカーブとチェンジアップが武器だ。

 リリースのときに顔を真下に向ける変則フォームを「お手本にはさせられないが、制球力は抜群で、あれでもちゃんと思い通りのところに決まるのだからすごい」と監督はいう。

 今でこそ中継ぎの中心的存在だが、1年目の春季キャンプではそれほどの投手ではないと見られ、監督もどう使ったらよいのかわからなかったという。また、メジャーデビューとなった対カンサスシティー戦の初球をホームランされ、上層部の不安はさらに増した。しかし、その後は20イニング以上も無失点に抑え、信頼を勝ち取った。

 春季キャンプでの岡島の目標は、右打者対策だ。昨シーズンの岡島に対する右打者の打率は.309で、38本のヒットのうち12本が長打だった。「左打者と右打者の差を埋めたい」とジョン・ファレル投手コーチはいう。

 12月に34歳になった岡島だが、左のリリーフ投手は比較的長く現役を続けられるので、当分野球を辞めるつもりはないという。家族も米国で9ヶ月を過ごすことを苦にしていないから「今のところは、ここでやるつもり」という。

「世界最高のリーグでやっている。できたら、ここで現役を終えたい。日本に帰ってプレーすることは考えていません」