U−20日本代表候補のトレーニングキャンプ終了とともに、同じ静岡県で行なわれているU−17日本代表候補のトレーニングキャンプへ向かった。僕が訪れた22日はキャンプ3日目で、静岡産業大学との練習試合が組まれていた。

 10月24日開幕のU−17ワールドカップが、このチームの大きな目標である。6月には開催国ナイジェリアを念頭に置いたシミュレーションとして、ブルキナファソへの遠征が決まっているという。ナイジェリアの世界大会に備えてブルキナファソで事前キャンプをするのは、準優勝したあの1999年と同じスケジュールだ。すでに30数名の選手が、渡航に必要な予防接種を受けている。

 今回の合宿には23人の選手が招集されている。昨秋のAFC U−16選手権(U−17ワールドカップのアジア予選)に出場した選手は、半分以下の10人しか招集されていない。「2年間やってきていますから、ある程度、どこに誰がいるのかは分かっている。まだ競争をしてもらっている段階。今後もメンバーは変わってくると思います」と、元日本代表DFの池内豊監督は話す。U−20日本代表候補合宿から合流した宇佐美貴史(G大阪)についても、「まだまだ(最終的に選ばれるかどうかは)分からないですよ。他にも伸びてくる子がいるかもしれないですし」と、全員が横一線であることを強調していた。メンバーを事前登録する9月まで、競争は続いていくという。

 静岡産業大学との練習試合では、4−4−2のフォーメーションでプレーしていた。中盤はダブルボランチのボックス型である。2トップがタテの関係になる場面もあったが、オーソドックスな4−4−2という印象だった(ちなみに、U−20代表候補も4−4−2でプレーしていた)。

 U−17でもU−20でも、強調されていたのは「攻守の切り替えの速さ」である。とりわけ印象的だったのは、「攻」から「守」への切り替えにおいて、最終ラインを安易に下げないということだ。日本代表と同じコンセプトである。4バックのセンターバックが後退しそうになると、池内監督は「チャレンジとカバーを繰り返せ!」と指示をしていた。

 チーム全体として小柄な印象を与えるのも、フル代表に共通するところがある。フィールドプレーヤーで180センチを超える選手は、FW宮市亮(中京大中京)ひとりだけだった。

 池内監督の説明が印象深い。

「大きい選手もいるんですよ。ただ、そういう子に頼らなくても日本人だってできるし、頼らない時期があってもいいはずだと。とくにこういうキャンプでは」

 果たして、練習試合の内容は指揮官の説明どおりのものだった。高さ不足を感じさせることはなく、5−1の勝利を飾ったのである。

 頼もしいなと感じたのは、「自分でやり切る」選手が多かったことだ。他に選択肢がないからシュートを打つのではなく、打つべきところで打っていたのは好印象だ。日本代表につきまとい、U−20代表候補でも感じたもどかしさを受けることはなかった。

 たった1試合ですべてを判断できないし、今回の合宿はベストメンバーではなかった。しかし、『プラチナ世代』と呼ばれる彼らの可能性を、ほんの少しでも垣間見ることができたような気がしている。

戸塚啓コラム - サッカー日本代表を徹底解剖