スーダン南部で新しい救急方法が注目されている。バイクの横にサイドカーが装備されている「救急バイク」だ。スーダン南部で死亡率が高いといわれている妊婦を守るために開発されたという。

スーダン南部に住む女性の約6分の1は、妊娠中、出産中に死亡するといわれている。また国連によると、スーダン南部の15歳の女性は、学校を卒業する確立より、出産で亡くなる確率のほうが高いというデータもあるほど、妊娠、出産での死亡率は高い。さらに90%の市民が1日1USドル以下で生活をしているので、病院までの輸送費が払えないという。

スーダン南部は、22年続いた南北市民戦争で最も被害を受けた地域だ。戦争は4年前に終結したものの、基本的な設備は依然不足しており、起伏の激しい道には未だに戦車や軍用トラックが横たわっているという。陣痛に苦しむ妊婦を救急車で病院まで運ぶには、それらの障害で時間がかかりすぎて助からないケースが多い。つまり、クリニックなどの医療施設へのアクセスが良ければ、死なずに済むということだ。

そんな中考案されたの「救急バイク」だ。救急車と比べて走行困難な道も走りやすく、輸送する費用もほとんどかからない救急バイクは、医療施設も乏しく整備された道もない地域では効果的だ。

救急バイクのサイドカーには患者が座ることも、横たわることも可能で、サイドカーの後部にはヘルスワーカーが座ることも出来、運転中も患者をサポートできる。また、患者は腰と足の両方にシートベルトを装着、サスペンションも付いているので、走行困難な道でも患者の安全は確保されている。

現在5台のバイクが試験的に活動しているが、結果によっては今後さらに補充されることとなる。マラウイでも、救急バイクのおかげで約2倍の妊婦が医療施設で出産でき、緊急切開での出産が半分に減ったという実績を作っている。

世界中で、救急バイクが当たり前のように街中を走る日も、遠くはないのかもしれない。

(編集部:近藤仁美/From South Africa)

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