「血液型の本」が流行る理由【わたしが本を出した理由】第1話
シリーズ累計500万部突破の
『自分の説明書』シリーズ
今回からスタートするこの物語「わたしが本を出した理由」は、大学の演劇部時代の仲良し3人組、聡美(29)・タケシ(28)・あおい(26)が、日々の生活の中のふとしたきっかけから、あることに気付き、挑戦していく姿を描いた、サクセスストーリーです。
「ブログのネタが尽きて、もうブログが更新できないんだよぉ…」
と嘆くのは学生時代、どんなテーマも巧みに脚本にしてしまうことで、演劇部内でも一目置かれていたタケシ(28)。5年前、大学を卒業の頃、いち早くブログにも着目し、先輩の聡美(29)や後輩のあおい(26)に紹介したことで、卒業後もこうやってつながっているのだ。
「ある調査によると、ブログの更新が滞る理由の一番が、ネタ切れだって言いますからねぇ…」
同情する後輩のあおいも、演劇部時代は衣装や小道具全般を担当していて、運営中のファッションブログが人気急上昇中。
「ブログって永遠に続くと思うと、モチベーションや目的意識の維持が難しいんだよねぇ。日々、どんどん忙しくなるしねぇ」
タケシのさらなる一言で、ネガティブな空気が蔓延しそうになると、聡美先輩がいつものように、暗い空気をぶった斬る。
「二人とも何、暗い話してるのよ!? 奇跡のシナリオライターと伝説の小道具師の名が泣くわよ!」
スッキリしない後輩二人を奮い立たせるのは、いつものパターンだ。
「そういえば、聡美先輩のフォトエッセイブログ、好評ですよね! 更新も順調のようだし、その秘訣ってあるんですか?」
聡美の顔を覗き込む二人。
後輩思いの聡美(29)
私、ブログを本にしましたー☆」
と、おもむろに取り出した一冊の本。
確かに、聡美のブログのタイトルが書名だし、イメージ通りの装丁だ。そして、なにより…著者名が「○○ 聡美」…聡美の本名。
間違いない。この本は、聡美のブログが書籍化されたものだ。
「聡美先輩、やりますね!! でも、あのブログが本になるなんて…。出版社の知り合いなんていたんですか?」
相変わらず失礼なことを言うタケシに、余裕をもって聡美がこたえる。
「ううん。全然〜。出版社の知り合いどころか、出版しようなんて思ってもみなかったわ」
「じゃあ、なぜ…?」
ますます身を乗り出すタケシとあおい。
「まぁまぁ、落ち着いて。
『私が本を出した理由』を説明する前に、日本の出版事情について、話すわね。
そもそも日本で、1年間に本ってどのぐらい出ていると思う? 実に、80,595点(出版年鑑2008)! だいたい時間にして7分に1冊、新しい本が発行されている計算になるのよ。しかも、年々、増え続けていく傾向にあるようね」
「へぇ〜、そんなに膨大なんですね。これじゃ、僕たちが知らないうちに消えていく本だらけですね」
タケシも週に3冊は読みあさる、かなりの読書家だが、読者の触れることさえない書籍の多さに、ため息が出てしまう。