科学で解明できない謎をエンターテインメント『ムー』
今回のテーマは『月刊ムー』。科学では解明できない「謎」を追究し続けて28年。毎号ファンを楽しませる多彩なテーマはどうやって選ばれているのか。創刊からこれまでの昔懐かしいエピソードを求め、ムー編集部を訪問した。
月刊ムー
UFO、古代遺跡、超能力……。毎号さまざまな「世界の謎と不思議」を取り上げるムーが学研から創刊されたのは1979年。今年で28年目を迎え、発刊は通算325号となった(2007年11月現在)。読者の中には昔、クラスメートの誰かがこっそり学校に持ってきたムーをわくわくしながら読んだことのあるエンジニアも多いことだろう。現在の科学では解明できない「謎」をエンターテインメントとして紹介するムー編集部。さまざまな角度からの「仮説」を楽しんでもらおうという編集方針は、今でも多くのファンに支持されている。
今回は『月刊ムー』の副編集長を取材。宍戸氏は入社してからムー一筋で16年。『月刊ムー』の歴史の約半分に携わっていることになる。毎号話題を集めるテーマはどうやって選ばれているのか? 多くのファンに支えられ、28年にわたり続いている『月刊ムー』ならではの編集方針とは? 今でも熱烈な読者に支えられる『月刊ムー』の魅力を、昔懐かしいエピソードを交えて語っていただいた。
■このお仕事についたきっかけは?
最初は正直自分があの『月刊ムー』を担当するとは思っていませんでした(笑)。
就職活動のときは出版社ばかり受けていましてね。こちらの学研で内定が決まったときは「ああ、自分も参考書を作ったりするのかな」なんて思っていました。
でも、ふたを開けたら自分の配属された部署はなんと参考書ではなく『歴史群像』か『月刊ムー』。私は大学で歴史を勉強していたのでもちろん『歴史群像』を希望。さてどっちを担当する?という話になった際、もうひとりの彼に『歴史群像』を先にとられちゃいましてね(笑)。それで私は『月刊ムー』の配属になり、今に至ります。
私とムーとの出合いは中学校時代、先輩に借りて。みなさんもそうだと思いますが、最初は強烈な印象でした。そのときのムーは確か創刊20号で「太陽系第10番惑星(※1)」の特集でした。学校では教わらない新事実があるのか!?と思ってすごく驚いたのを覚えています。今、自分がムーの副編集長になっているのも驚きですけどね(笑)。
■ムーの編集方針は?
まず大事にしているのは「エンターテインメント」ですね。そして決して「ビリーバー(※2)にならない」ということ。『月刊ムー』が扱うテーマは証明できないがゆえに仮説を信じ込んで盲目になる危険性をはらんでいます。しかしムー編集部では「どんなにすごい話でもまず疑ってかかる」という姿勢を基本としています。
もうひとつは「仮説の面白さ」をいかに見せるか。ムーでは研究家による署名記事がほとんどですが、人によってさまざまな仮説が生まれます。研究家が違えば仮説も違う。読者の感想には「仮説が面白い」というものが多いのですが、ムーとしても正しいものはこうだ!と決めつけることなく、さまざまな仮説を読者の方に楽しんでいただきたいと考えています。
■これまで話題になったテーマは?
いろいろありますが、まず「ノストラダムス(※3)」でしょう。1999年ごろはテレビをはじめとしていろいろなメディアでも取り上げられていましたね。結果的に「はずれた」ことになってしまいましたが、あのときの盛り上がりはすごかった。
「UFO(※4)」も時代を問わず、注目され続けるテーマですね。実は今年はUFO60周年なんですよ。UFOが初めて公式に目撃されたのが1947年。有名なロズウェル事件(※5)もこの年です。UFOは60年たった今でもまだまだ謎が多い。
UFOに関しては最近、英仏の軍が公式にUFOの写真をネット上で公開するようになりました。公的機関がわからないものを科学的に解明していこうという動きとしては大変興味深いものです。
最近だとUMA(※6)やオーパーツ(※7)が注目されていますね。コンビニエンスストアなどでこういったテーマを扱った本が売れています。UMAもオーパーツも昔からあるテーマ。もしかしたら私のように小さいころ「不思議や謎」にわくわくした少年が、大人になって今度はビジネスとしてかかわっているのかもしれませんね(笑)。
■科学と謎、その関係は?
ムーで取り上げるテーマも28年の間に、科学の進歩とともに少しずつ変わってきています。以前謎だったことが解明されることもあれば、かえってさらに謎が深まることもある。
最近で注目したのは火星探査ですね。以前からムーでは「昔、火星には生命が存在した(※8)」という仮説を取り上げていましたが、最近の調査結果からどうやら火星の極には水が存在するらしいことがわかってきました。もしかしたら仮説が現実になるかもという意味で非常に期待しています。
火星といえば人面岩(※9)も有名ですね。公式にはNASAから「光の角度でたまたま人の顔のように見えただけ」という声明が出ていますが、マーズ・パスファインダー(※10)はなぜかその人面岩がある地区の写真を何枚も撮っている。編集部としては「なぜ公式な声明が出ているのに同じ場所を何度も撮る必要があるのか?」と想像をかきたてられます。
■宍戸さんが考える、ムーの魅力とは?
まずわからないことはすべて題材にしてみるという自由な姿勢ですね。不思議や謎はもちろん、号によっては最先端の科学技術を先取りして紹介することもあります。
謎の解明や仮説を楽しむのはわくわくします。白黒はっきりさせることは大切ですが、それだとロマンがなくなってしまうときもある。場合によってはグレーゾーンも必要。いろいろな仮説を総合するとこうなのでは?という、考える余地を残しているところもファンに支持されるムーの魅力のひとつなのではと感じています。
■今後の目標は? エンジニアへのメッセージ
いつもネタ探しに苦労しているムー編集部ですが(笑)、今後もいろいろな情報を集めて、みなさんに楽しんでいただける「謎と不思議」を追究していきたいと思います。
『月刊ムー』は科学で解明できない謎を日々追い続けていますが、「仮説を検証する」という点ではエンジニアのみなさんと少し共通点があるように思います。
昔読んでいたけど今はちょっと……という読者エンジニアの方々には、「科学技術同様、不思議も変化しています!」というメッセージをお送りしたいですね。不思議が作り出す仮説。ぜひお仕事の合間にでも、久々に手に取ってお仕事とは違う楽しみを感じていただければうれしいです。
読者インタビュー
さて、前半では『月刊ムー』副編集長から、創刊28年の歴史を通してファンを惹きつけるその魅力・編集方針を懐かしいキーワードとともにうかがった。後半では、ムーに夢中になったエンジニアをお招きし、当時のエピソードを交えてムーへの想いを語っていただいた。
■あなたのムー暦は?
初めてムーを手に取ったのは高校生のとき。書店で立ち読みでした。表紙のカラフルさと突拍子のない特集タイトルに惹かれて(笑)。もともと超常現象などの不思議なものに興味はあったんですが、当時そういったテーマを専門に扱った本はなくて。いったいどんな本なんだろう?と思いながら、最初は怖いもの見たさで読みました(笑)。それから社会人になった直後くらいまで購読していましたね。
そういえばこのころ、UFOをはじめとした超常現象ブームがありました。UFO研究家の矢追純一氏(※11)がよくテレビに出ていたり……。たしか12chではドッペルゲンガー(※12)などの不思議を映像で再現した海外シリーズ番組なんかもあって、私も夢中になっていました。
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UFO、古代遺跡、超能力……。毎号さまざまな「世界の謎と不思議」を取り上げるムーが学研から創刊されたのは1979年。今年で28年目を迎え、発刊は通算325号となった(2007年11月現在)。読者の中には昔、クラスメートの誰かがこっそり学校に持ってきたムーをわくわくしながら読んだことのあるエンジニアも多いことだろう。現在の科学では解明できない「謎」をエンターテインメントとして紹介するムー編集部。さまざまな角度からの「仮説」を楽しんでもらおうという編集方針は、今でも多くのファンに支持されている。
■このお仕事についたきっかけは?
最初は正直自分があの『月刊ムー』を担当するとは思っていませんでした(笑)。
就職活動のときは出版社ばかり受けていましてね。こちらの学研で内定が決まったときは「ああ、自分も参考書を作ったりするのかな」なんて思っていました。
でも、ふたを開けたら自分の配属された部署はなんと参考書ではなく『歴史群像』か『月刊ムー』。私は大学で歴史を勉強していたのでもちろん『歴史群像』を希望。さてどっちを担当する?という話になった際、もうひとりの彼に『歴史群像』を先にとられちゃいましてね(笑)。それで私は『月刊ムー』の配属になり、今に至ります。
私とムーとの出合いは中学校時代、先輩に借りて。みなさんもそうだと思いますが、最初は強烈な印象でした。そのときのムーは確か創刊20号で「太陽系第10番惑星(※1)」の特集でした。学校では教わらない新事実があるのか!?と思ってすごく驚いたのを覚えています。今、自分がムーの副編集長になっているのも驚きですけどね(笑)。
■ムーの編集方針は?
まず大事にしているのは「エンターテインメント」ですね。そして決して「ビリーバー(※2)にならない」ということ。『月刊ムー』が扱うテーマは証明できないがゆえに仮説を信じ込んで盲目になる危険性をはらんでいます。しかしムー編集部では「どんなにすごい話でもまず疑ってかかる」という姿勢を基本としています。
もうひとつは「仮説の面白さ」をいかに見せるか。ムーでは研究家による署名記事がほとんどですが、人によってさまざまな仮説が生まれます。研究家が違えば仮説も違う。読者の感想には「仮説が面白い」というものが多いのですが、ムーとしても正しいものはこうだ!と決めつけることなく、さまざまな仮説を読者の方に楽しんでいただきたいと考えています。
■これまで話題になったテーマは?
いろいろありますが、まず「ノストラダムス(※3)」でしょう。1999年ごろはテレビをはじめとしていろいろなメディアでも取り上げられていましたね。結果的に「はずれた」ことになってしまいましたが、あのときの盛り上がりはすごかった。
「UFO(※4)」も時代を問わず、注目され続けるテーマですね。実は今年はUFO60周年なんですよ。UFOが初めて公式に目撃されたのが1947年。有名なロズウェル事件(※5)もこの年です。UFOは60年たった今でもまだまだ謎が多い。
UFOに関しては最近、英仏の軍が公式にUFOの写真をネット上で公開するようになりました。公的機関がわからないものを科学的に解明していこうという動きとしては大変興味深いものです。
最近だとUMA(※6)やオーパーツ(※7)が注目されていますね。コンビニエンスストアなどでこういったテーマを扱った本が売れています。UMAもオーパーツも昔からあるテーマ。もしかしたら私のように小さいころ「不思議や謎」にわくわくした少年が、大人になって今度はビジネスとしてかかわっているのかもしれませんね(笑)。
■科学と謎、その関係は?
ムーで取り上げるテーマも28年の間に、科学の進歩とともに少しずつ変わってきています。以前謎だったことが解明されることもあれば、かえってさらに謎が深まることもある。
最近で注目したのは火星探査ですね。以前からムーでは「昔、火星には生命が存在した(※8)」という仮説を取り上げていましたが、最近の調査結果からどうやら火星の極には水が存在するらしいことがわかってきました。もしかしたら仮説が現実になるかもという意味で非常に期待しています。
火星といえば人面岩(※9)も有名ですね。公式にはNASAから「光の角度でたまたま人の顔のように見えただけ」という声明が出ていますが、マーズ・パスファインダー(※10)はなぜかその人面岩がある地区の写真を何枚も撮っている。編集部としては「なぜ公式な声明が出ているのに同じ場所を何度も撮る必要があるのか?」と想像をかきたてられます。
■宍戸さんが考える、ムーの魅力とは?
まずわからないことはすべて題材にしてみるという自由な姿勢ですね。不思議や謎はもちろん、号によっては最先端の科学技術を先取りして紹介することもあります。
謎の解明や仮説を楽しむのはわくわくします。白黒はっきりさせることは大切ですが、それだとロマンがなくなってしまうときもある。場合によってはグレーゾーンも必要。いろいろな仮説を総合するとこうなのでは?という、考える余地を残しているところもファンに支持されるムーの魅力のひとつなのではと感じています。
■今後の目標は? エンジニアへのメッセージ
いつもネタ探しに苦労しているムー編集部ですが(笑)、今後もいろいろな情報を集めて、みなさんに楽しんでいただける「謎と不思議」を追究していきたいと思います。
『月刊ムー』は科学で解明できない謎を日々追い続けていますが、「仮説を検証する」という点ではエンジニアのみなさんと少し共通点があるように思います。
昔読んでいたけど今はちょっと……という読者エンジニアの方々には、「科学技術同様、不思議も変化しています!」というメッセージをお送りしたいですね。不思議が作り出す仮説。ぜひお仕事の合間にでも、久々に手に取ってお仕事とは違う楽しみを感じていただければうれしいです。
読者インタビュー
さて、前半では『月刊ムー』副編集長から、創刊28年の歴史を通してファンを惹きつけるその魅力・編集方針を懐かしいキーワードとともにうかがった。後半では、ムーに夢中になったエンジニアをお招きし、当時のエピソードを交えてムーへの想いを語っていただいた。
■あなたのムー暦は?
初めてムーを手に取ったのは高校生のとき。書店で立ち読みでした。表紙のカラフルさと突拍子のない特集タイトルに惹かれて(笑)。もともと超常現象などの不思議なものに興味はあったんですが、当時そういったテーマを専門に扱った本はなくて。いったいどんな本なんだろう?と思いながら、最初は怖いもの見たさで読みました(笑)。それから社会人になった直後くらいまで購読していましたね。
そういえばこのころ、UFOをはじめとした超常現象ブームがありました。UFO研究家の矢追純一氏(※11)がよくテレビに出ていたり……。たしか12chではドッペルゲンガー(※12)などの不思議を映像で再現した海外シリーズ番組なんかもあって、私も夢中になっていました。
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