政府がMS社製の「ワード」「エクセル」を排除?

写真拡大

   マイクロソフト(MS)製のアプリケーションソフト「ワード」「エクセル」を政府が原則購入しないとNHKが報じたことを受け、MS側が激怒している。政府は同局の報道を「事実誤認」などとしているが、NHK側も「取材に基づき放送したもの」としており、政府の「ホンネ」がNHK側に暴露されてしまった可能性もある。

ワードやエクセルが今後購入できなくなる?

   NHKは2007年7月1日、政府が7月2日から適用を始めた「情報システムに係る政府調達の基本指針」について、「『ワード』など 国は購入せず」と題し、

「最も広く使われているマイクロソフト社の文書や表計算のソフト『ワード』や『エクセル』は、現段階ではこうした規格に沿っていないため、業務に支障がある場合を除き原則として今後購入できなくなる」

と報じた。MS社製の「ワード」「エクセル」が国際規格やJIS規格に沿っていないため、政府の定めた指針によって、各省庁が今後「ワード」「エクセル」を購入できなくなるという内容だ。

   総務省は2007年7月2日に「情報システムに係る政府調達の基本指針」の適用を始めた、と発表した。この「基本指針」によれば、情報システムが特定業者に依存していることを問題視し、ソフトウェアの購入に際して特定業者を調達の際に指定しないことを主な「用件要求」として記載している。

   さらに、新たに購入するソフトウェアについては、国際規格やJIS規格などのオープンな標準に基づいた製品を優先する、ともしており、一見すると、NHKが報じたように、MS社製の「ワード」や「エクセル」といったソフトを今後原則購入できないようにするシステムを導入したかのように見える。
   これについて、総務省行政管理局はJ-CASTニュースの取材に対し、

「(NHKの報道は)事実誤認。入札の際に特定商標名を挙げるのをやめましょうという話。MSのソフトが(公官庁から)なくなるという可能性もあるが、そういった意図はない」

と答えている。

MS日本法人は「カンカン」

   しかし、MSとしては政府が「MS社製ソフトを排除する」などと表明したとなればその影響は必至。こうした報道に対して、MS日本法人は「カンカン」だ。同社広報は、

「弊社の特定製品を名指しして、排除するようなことを(政府が)言われたのであれば、非常に影響が大きく、遺憾だ。今、事実関係の確認を行っている」

としている。なお、同社は政府の「国際標準化優先」の方針については、「国際標準化を進めるしかない」としている。

   では、「マイクロソフト排除」とも取れる報道はなぜなされたのか。
   NHKはこの報道について「取材に基づき放送したものです」とJ-CASTニュースに対してコメントしており、報道内容については自信を持っているようだ。また、一部では、総務省が「事実誤認」とするのは、「ホンネ」を報道されたことに対する「居直り」との見方もあり、

「総務省の行政管理局長のコメントまで取っているのだから(NHKの)報道は事実だろう。『事実誤認』などというのは、単なる『建前』ではないか」(業界関係者)

といった声も上がっている。