エンゼルスの大谷翔平【写真:Getty Images】

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内角球を逆方向へ、低め変化球をすくって…バットコントロールで放ったマルチ

 米大リーグのエンゼルス・大谷翔平投手は13日(日本時間14日)、敵地ロイヤルズ戦に「7番・DH」でスタメン。4打数2安打で今季3度目のマルチ安打をマークした。「打者・大谷」としては鮮烈な3戦連発でインパクトを残したパワーに注目が集まっていたが、この試合で示したのは巧みなワザ。「大谷シフト」が敷かれるなか、内角球を逆方向への二塁打を放つなど、芸術的なバットコントロールを見せつけた。

 大谷はパワーだけじゃない。この日、ファンを魅了したのは天性のバットコントロールだった。

 2回1死走者なしの第1打席。カウント2-2から右腕ハメルは92マイル(約148キロ)の速球を内角に投げ込んだ。懐の厳しいコース。しかし、大谷は長い両腕を器用に折りたたみ、バットをボールに当てた。そして、打球が詰まらないように最後は左手を離し、右手一本で振り抜き、逆方向の左翼線に運んだ。

 メジャー初の二塁打をもたらしたワザは、第4打席でも見えた。3-4と1点を追う8回無死一塁、カウント2-2から右腕グリムが投じたのは低めのカーブだった。ストライクからボールになろうかという落差の大きい1球に対し、大谷はすくうようにバットにボールを乗せ、今度は中前へ。逆転勝ちを呼んだ。

 いずれも共通しているのは2ストライクと追い込まれ、コンパクトなスイングに徹し、つなぐ意識を持っていたことだろう。第1打席では引っ張りを警戒し、三遊間に配置した三塁手をはじめ、内野手を右方向にずらした「大谷シフト」を敷かれたが、ものともしなかった。

 大谷といえば、日本ハム時代から打撃練習が始まれば、サク越えを連発。自チームはもちろん、相手チームの選手まで視線を奪うほどのパワーは代名詞でもあった。メジャー挑戦後も3戦連発を放ち、豪快さが目立っていたが、非凡な飛距離を支えているのは天性とも思えるバットコントロールだ。それをメジャーでも発揮したことは、価値があるといえる。

 打率.367、OPS(出塁率+長打率)1.191と圧巻の数字を残している。パワーだけじゃない新たな一面を残し、さらなる躍進を予感させた。(THE ANSWER編集部)