今回のビジネス女子マナーは、金融関連会社勤務の松田みか子さん(仮名・28歳)からの相談です。

「新卒で入社してきて以来、指導していた5歳下の後輩がいます。彼女との関係について、相談があります。入社したばかりのころは、すごくなついてくれていて、かわいいと思っていたんです。でもだんだん生意気になってきて、歯向かうようになり、作業の修正を頼んだりすると“納得できません”とか言うように……。彼女のほうが学歴がいいせいでしょうか。彼女は六大学に名を連ねる有名私学の商学部を卒業していて、私は女子大の英文科卒です。先日は、“書類を整理してください”と意見をしてきました。私のやり方やまとめかたが、気に入らないと言われました。言い方に尊敬の態度がないところが、いちばん腹が立ちます。どう対応したらいいのでしょうか」

生意気な後輩に、精神的ダメージを受けている働く女性も多いですよね。「こっちは先輩なんだから、敬って欲しい」と思うのも当然のこと? どういう態度で接すればいいのでしょうか。鈴木真理子さんに聞いてみましょう。

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生意気な態度の後輩の原因は先輩にある?

5歳下の後輩とは、ずいぶんと年齢差がありますね。1年前の入社時に、手塩にかけて指導した恩を忘れて、生意気な態度を取られてしまう……。そりゃあ、誰のおかげで大きくなれたと思ってるの!と立腹する気持ち、わかります。

でも、こういうケースは、意外とよくあることかもしれません。むしろ、「後輩なんだから絶対服従せよ」って言うほうが不自然です。

相談者さんは学歴のことを気にされていますが、それだけが原因とは思えません。

お手紙を拝見して、「もしかしたら相談者さん自身が、自分の仕事ぶりに自信が持てていないのでは?」と感じました。たとえば業務がわからないまま、後輩に教えたことはないですか?後輩さんからの質問に答えられなかったことは?あるいは、後輩さんに近いうちに抜かれるのでは、と不安になったりはしていませんか?

そのせいで声が小さくなったり、オドオドしてしまったり、指示するとき遠慮しすぎたり……というようになってはいないでしょうか。そうだとしたら、あなたのそういう態度を見て、その後輩さんは「先輩って仕事ができないかも」と見透かしているのかもしれません。

生意気な態度をポジティブに受け取ってみよう

本人に「あなた、生意気よ」と言ったところで、態度を改めさせることはできないでしょう。「先輩なんだから、もっと堂々と自信をもって、リーダーシップも発揮してよ」と、後輩はよい意味で、あなたに発破をかけていると思ったらいかがでしょうか。

実は、相談を聞きながら「あるある」と思った私。実は私も会社員のころ、相談者さんとまったく同じ状況だったからです。

自分は普通の女子大卒で、後輩には国公立大をはじめ有名校を卒業した人がたくさんいました。総合職だけなく、一般職でも高学歴な後輩がゴロゴロいたわけです。彼女たちは、とにかく賢い。仕事の覚えも早いし、指示された通りだけでなく「それってこうしたら生産性が高いですよ」などと、提案もしてきます。

男性の上司は、それを素直に褒めて受け入れるけれど、先輩格の自分はプライドを傷つけられたようで正直面白くないと思ったこともありました。

でもね、今思うと完璧な先輩なんていないし〜って、開き直ればよかったんです。後輩の個性や伸びしろの大きさを受け入れるべきでした。先輩の度量が狭いと、これまたバカにされる原因になってしまうかもと、今はわかるのです。

「書類を整理してください」。うんうん、そう言われること、誰だってありますよ。年齢を重ねると、誰も注意してくれなくなるので、むしろありがたいことかもって発想を転換してみてはどうでしょうか。

いっそのこと、「そうね、このままじゃ汚いものね。整理するので手伝ってくれる?」と、後輩を巻き込んじゃいましょう。後輩さんは先輩を立てることをせず、チームワークが苦手な印象を受けました。そこを補強するのは、あなたの仕事だと思います。

そして、もし自分の苦手分野だったら、後輩に「わからないから教えてくれる?」って聞いてみること。「●●卒だからすごいよね」とヨイショする必要はないし、「私なんて……」と卑下する必要もありません。

後輩はもう新人でないのだから、上から目線は禁物です。「お互いに仕事で成果を出そうね」という、対等な目線で接してあげてください。近い将来、お互いに大切なパートナーになれるよう願っています。

 

入社1年で態度を豹変させる後輩に、「一人前になったつもりか!」とムカッとする働く女性も多いです。



■賢人のまとめ
もしかしたら、あなたが自分の仕事ぶりに自信がも持てていないのでは?それが態度に出ていて、後輩さんが「先輩って仕事ができないかも」って見透かしている気もします。学歴うんぬんで「私なんて……」と卑下する必要はありませんが、後輩はもう新人でないのだから、上から目線は禁物。「お互いに仕事で成果を出そうね」という、対等な目線で接しましょう。

■プロフィール

女子マナーの賢人 鈴木真理子

三井海上(現・三井住友海上)退職後、“伝える”“話す”“書く”能力を磨き、ビジネスコミュニケーションのインストラクターとして独立。セミナー、企業研修などで3万人以上に指導を行う。著書は『ズルいほど幸せな女になる40のワザ』(宝島社)のほか、近著『仕事のミスが激減する「手帳」「メモ」「ノート」術』(明日香出版社)、『絶対にミスをしない人の仕事のワザ』は7万部を超えるヒットとなる。 

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