なかには自社製造のしっとりした餡がたっぷり

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■ 創業大正11年以来、ずっとかわらない味「かさの家」

【写真を見る】「抹茶セット(梅ヶ枝餅付き)」(650円)

太宰府天満宮の参道沿い、梅ヶ枝餅の老舗として多くのファンが訪れる「かさの家」「茶房・ぎゃらりーかさの家」。創業大正11年、旅人を宿泊させ、食事を提供する旅籠(はたご)として始まり、同時に梅ヶ枝餅を販売。

参拝とともに周辺の名所を巡る“さいふ詣り”の旅人に喜ばれていた時代から、変わらぬ味と製法で、現在も太宰府天満宮参道に4店舗を構える。もち米とうるち米をブレンドした生地で上品で、ほのかな甘さのつぶあんを包み、香ばしく焼き上げた梅ヶ枝餅は、長年愛され続ける一品だ。

もっちりとした薄い生地をパリッと焼き上げ、中にはふっくらと炊き上げた十勝産の小豆が入る。つぶあんは、縁起がいいとされる献上願塩(天草の塩)が使用されており、甘味を引き出している。香ばしさとモチモチした食感が特徴。

1番人気は、しっかりとたてられた濃いめの抹茶と梅ヶ枝餅の組み合わせの「抹茶セット」(650円)。四季を感じる贅沢な空間で味わえば、より一層おいしく感じられる。「茶房・ギャラリーかさの家」では、ドリンクとのセットから注文可能。

その場で食べるのがおすすめだが、持ち帰りの場合は、オーブンで温めれば、パリッとした食感がよみがえる。

[かさの家]福岡県太宰府市宰府2‐7‐24(太宰府天満宮参道) / 092-9222-1010 / 9:00〜18:00 / 無休

■ “夫婦餅”がインスタ映え!赤く美しい小豆がたまらない「茶房 きくち」

太宰府天満宮から参道へ入って7軒目、66年以上変わらない素材へのこだわりと、厳選のあんで常連客も多い「茶房 きくち」。以前から太宰府で親しまれていた「重ね餅」を“夫婦餅”として復活させて話題になった店だ。

梅ヶ枝餅2つとあんこで1セットの「夫婦餅」(280円)は、あんこを梅ヶ枝餅で挟みミルフィーユのようにして味わう。

かわいい見た目にSNS映えも抜群。自分で作れる楽しみもある。あっさりとした深入り煎茶ともベストマッチで、抹茶とのセットも好評だ。ドリンクセットで100円引き。

定番の「梅ヶ枝餅」(120円)のシンプルながら奥深いおいしさも魅力。あんには、北海道産の高級小豆「雅」のなかでも、さらに厳選した小豆を使用する。美しい赤色の小豆を丁寧にアク抜きし、じっくり炊き上げ、とろっとした食感に仕上げたつぶあんが特徴だ。皮は手焼きで、表と裏を何度もひっくり返しながらしっかり焼き上げられ、焼きたてはパリッとして香ばしい。

[茶房 きくち]福岡県太宰府市宰府2-7-28 / 092-923-3792 / 8:30〜17:30、土曜・日曜・祝日8:30〜18:00 / 木曜休み

■ 美しい焼き色にこだわる梅ヶ枝餅の店「そば 梅ヶ枝餅 やす武」

焼き色にこだわった美しい梅ヶ枝餅と、打ちたて、茹でたての蕎麦が味わえることで有名な「そば 梅ヶ枝餅 やす武」。1948年創業以来、もち米と小豆、美しい焼き上がりにこだわった梅ヶ枝餅を求め、多くの常連客が訪れる。

「梅ヶ枝餅」(120円)は、パリっと焼き目が香ばしい皮と口当たりホクホクのあんこが特徴。厳選した十勝産の大粒小豆を、雑味を抜くために水をたっぷり使って茹で上げ、間髪入れず強火で練り上げているのだとか。コクのある大粒のザラメ砂糖、甘さを引き出す赤穂の天塩がアクセントになっている。

毎朝手打ちする風味豊かな蕎麦も好評。手でこね、均一な厚みに延し、勢いよく同じ幅に切られたこだわりの蕎麦と、しっかりした力強い出汁がよく合う。蕎麦の種類も豊富で、昔なじみの常連客も多い。雑煮もファンが多いメニューの1つで、天ぷら+蕎麦という日本らしいメニューは海外からの観光客に特に人気が高い。

[そば 梅ヶ枝餅 やす武]福岡県太宰府市宰府2-7-16 / 092-922-5079 / 10:00〜17:30(LO16:45)※梅ヶ枝餅の販売は8:30〜18:00まで※季節により閉店時間が変わる場合あり / 不定休

■ 庭園を眺めながら至福のひと時を「寿庵 寺田屋」

四季折々の風情を楽しめる美しい庭を眺めながら梅ヶ枝餅をいただける「寺田屋」は、飛梅漬や合格梅などの梅商品が数多くそろうことでも有名な店。甘さ控えめの梅ヶ枝餅はもちろん、各種商品にもファンが多く、おみやげにも喜ばれている。

なんといっても美しい庭園が実に見事。その美しさは、店内の奥まで入って、庭の存在に気付いた客から感嘆の声があがるほど。人通りの多い参道沿いとは思えない、喧騒から離れた空間に心もゆったり。丁寧にたてられたお抹茶と梅ヶ枝餅を一緒にいただけば、至福のひとときを過ごすことができる。秋の紅葉もオススメだ。

創業85年、昔ながらの製法を守りながら、上品な味を意識した梅ヶ枝餅(1個120円)は、手焼きで何度も開閉を繰り返して焼くことで香ばしく仕上げる。餅も厚みがあり、外はパリッ、中はもちもち。あんことのバランスもすばらしく、心地よい食感が味わえる。抹茶だけではなく、珈琲や紅茶とのセットで楽しめるのも嬉しい。

[寿庵 寺田屋]福岡県太宰府市宰府4-6-15 / 092-922-4064 / 9:00〜17:30 / 不定休

■ 知る人ぞ知る秘密の空間「工芸と土産の店 小野筑紫堂」

太宰府天満宮の参道沿いで、平成16年度太宰府市景観賞を受賞した日本庭園をもつ同店。小野家は平安以来の歴史があり、旧社家町で唯一残っている由緒ある家柄。

「工芸と土産の店 小野筑紫堂」は戦後の創業で、現在はたくさんの工芸品やみやげ品が置かれ、その一角で梅ヶ枝餅を販売している。一見、売り場が目を引くが、奥にはゆったり過ごせる喫茶スペースもあり、四季折々の美しさ、特に2月の鶯宿梅にはファンも多い庭を眺めながら、焼きたての梅ヶ枝餅を味わうことができる。知る人ぞ知る癒しの空間だ。

人気は「抹茶セット」(600円)。お抹茶と味わう梅ヶ枝餅もまた格別。夏には福岡農業高校が製造協力した「太宰府梅サイダー」(250円)を楽しめるほか、甘酒(400円)、くず湯(450円)、ゆず茶(350円)、ぜんざい(600円)などもあり、どれも心と身体を満たしてくれるものばかりだ。

焼きたての梅ヶ枝餅は、薄めの生地とほどよい甘さのあんがベストマッチ。生地は外側だけではなく、全体的にパリッと香ばしく、つぶあんがしっかり主張している。

つぶあんの元となる小豆は、和菓子店でも使われるという北海道産の「雅」を使用。昔ながらの甘さを控えた配分で小豆本来の味をしっかりと感じることができる。つぶ感を残しつつ、しっとりと仕上げた食感もたまらない。

[工芸と土産の店 小野筑紫堂]福岡県太宰府市宰府2-7-22 / 092-922-4210 / 9:00〜17:30 / 不定休

【九州ウォーカー編集部/取材・文=安藤エリカ、撮影=鍋田広一(パンフィールド)】(九州ウォーカー・九州ウォーカー編集部)