社会に出れば、いろいろな人と関わらなければなりません。できるだけ面倒な人間関係は避けたいと思っていても、いろいろな問題や悩みが起こるもの。今回の相談者は、コミュニケーションが苦手という音楽関係の仕事をする29歳の女性。相手に気持ちがうまく伝わらずに悩む彼女に、臨床心理カウンセラー/パーソナルコーチ松山真己さんが出した答えとは?

<悩み>
正直私は人とのコミュニケーションが苦手です。なるべく人と関わりたくないとも思っています。初対面の人とは何を話したらいいか分からないし、自分がどう見られているのかを考えると怖くて不安になります。職場の人や友達に対しても自分が発言したことが自分の想いとはちがった意味に捉えられることがあって、そんなつもりで言ったんじゃあないのに……と悲しくなるのです。どうしたらもっと楽にコミュニケーションがうまく取れるようになりますか?(29歳・音楽関係)

「相手の気持ちを考えすぎてうまくコミュニケーションが取れないのです……」

 松山先生からの“ココロの処方箋”はコチラ >>>

「人の人生の質は、その人のコミュニケーションの質による」
これはアンソニ-・ロビンズの言葉です。

なるほど……確かにコミュニケーションというのは、物質的、身体的、精神的、心理的な分野においても大きな影響を与えているもののように思えます。近年、やたら人工知能が搭載されたコミュニケーション機能を持つロボットが開発されているのも、こういった理由からなのかもしれません。人間にとってコミュニケーションをとるということは必要不可欠なんですね。

だけど実際、胸を張って自分はコミュニケーション能力が高いといえる人って、どれだけいるのでしょう? そもそも日本人は、コミュニケーション力が優れている方だとはいえないと思います。今まで学校で読み書きは習っても、自分らしく表現しながら話すという授業は無かったのですから当然です。

最近になり、幼児教育や企業研修に表現力が組み込まれたり、学校でもプレゼンテーションやディベートを実践として学ぶようになりましたが、これからというところですよね。 

コミュニケーションが難しいのは、自分が何を伝えたかったかということでは無く、相手が何をどう受け止めたかということがポイントになるというところです。

自分が頭の中で描いているもの、それに対する感情や感覚と相手が頭の中で描いているものとそれに対する感覚は、同じだとは限らないのです。これが情報の漏れや勘違い、誤解や思い込み、感覚のズレ等につながるわけです。

また、コミュニケーションは言語だけではありません。黙っていても相手側に勝手にイメージは付けられてしまいます。メラビアンの法則によると人の第一印象は93%が見た目や雰囲気(声のトーンやリズム、しぐさを含む)から判断されるのです。だからこそ、相手や周りに自分がどう思われているかって、気になりますよね。

では、どうすれば、楽にうまくコミュニケーションをとれるようになるのか?

そのスキルを3つご紹介します。

1.自分を知る

自分の長所、短所、価値観、ものの考え方や癖、行動の傾向などを認識して、自分の得意なこと、不得意なことを見定めましょう。長所と短所は公平に見ることが大切です。

自分をしっかりと分析できるということは、他者に対してもどういうタイプかを分析できるということに繋がります。また自分の弱点を認めることで、他者の弱点も受け入れやすくなり、それに合わせた対応も考えられるでしょう。

2、3のスキルについては後編で詳しくお伝えします。

■プロフィール

女子メンタルの賢人 松山真己

臨床心理カウンセラー/パーソナルコーチ
個人や企業へのカウンセリング、コミュニケーション教育、各種セミナーなど。
心の多面性を見つめながら「心の健康と美」を育んでいくカウンセリングには、経営者や専門家、アーティストなどのクライエントも多い。
また、TV雑誌等でのコメントや心理テストの作成分析などにも多く携わっている。
http://www.calix.jp ( 心の健康と美の研究所Calix/株式会社CIELO )