ヤフーが、プライバシーポリシーを全面的に改定する。
これまでヤフーは、1つのプライバシーポリシーをすべてのサービスに適用していた。
しかし、これからは個々のサービスごとに個別のポリシーで運用することになる。

◎プライバシーポリシーとは?
プライバシーポリシーは、ウェブサイトやサービスなどを運営する上で、収集した個人情報やプライバシー情報を、サイト運営側およびサービス提供側がどういう考えの元に扱うのか定めた規範のこと。
個人情報保護方針と呼ばれることもあるし、利用規約の一部として記載されている場合もある。

個人情報保護法において「利用目的」「第三者提供」「保有個人データに関する事項」などに関する規制がある。
事業者は、ユーザーから個人情報を収集したり、それを利用したりする際、個人情報保護を推進するうえでの考え方や方針(いわゆる、プライバシーポリシー、プライバシーステートメントなど)を策定・公表することが推奨されている。

現在では、多くのウェブサイト・サービスがプライバシーポリシーを公表している。

サービスを利用するには、もちろんサービスにもよるが、多くの場合、名前や年齢、ときには連絡先などを入力し、会員登録をする。
サイトにアクセスするだけでも、アクセス先のサイトでは
・IPアドレスや使用するデバイス、OS、ブラウザ
・どのページを見たか
・どこへ遷移したか
など、さまざまな情報を取得可能だ。
こうした個人情報やプライバシーに関する情報をどう扱うのかをユーザー側に提示しておくということなのだ。

◎ビッグデータとしての活用とプライバシーポリシー
当初、プライバシーポリシーは、
個人情報・プライバシー情報保護の観点から事業者が定めておくというものだった。

しかし、次第に、
個人情報・プライバシー情報の二次利用の観点から注目されるようになる。

これは、プライバシーに関する情報(ユーザーの行動履歴)が広告・マーケティング分野に活用され始めたからだ。
どこにどんな嗜好のユーザーがどれくらいいる、などの情報は、ターゲティング広告にとって重要な情報となる。

また、ECサイトの各種ポイントカードとの連携も多く見られるようになった。
2015年、ヤフーがカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と連携し、会員に関する情報の相互提供を始めたことは、まだ記憶に新しい。

今回のヤフーのプライバシーポリシーの改定は、こうした動きをより加速するものだ。
ヤフーはさまざまなサービスを運営するポータルサイトなので、サイト全体に適用するプライバシーポリシーでは、柔軟なデータ活用が難しいということなのだ。

6月23日以降に適用される体制では、サービス全体に適用される共通ポリシーとサービスごとにユーザーの同意を得て適用する個別ルールの2本建てとなる(個別のルールは、共通ポリシーに優先する)。

利用者側からすると、サービスごとにデータの使い方を提示されたうえで利用する(そのデータが活用されるイメージを持ったうえで)ということで、従来よりもわかりやすくなる。
データ活用の透明性を高めることにつながるわけだ。
さらに、
ヤフーでは「Yahoo! JAPANプライバシーガイド」を公開し、具体的にどのように個人情報を取り扱うのかについて明らかにしている。

こうした動きは、ウェアラブル・ヘルスケアデバイスの普及、IoTによりITの分野が拡大するときのことを見すえてのことなのだろう。
将来的には、もっと細分化され、かつ柔軟に適用されるものになっていくのではないだろうか。


大内孝子