いよいよきょう5月22日放送の「笑点 歌丸ラスト大喜利スペシャル」(日本テレビ系、夕方5時半〜)をもって、番組開始から50年間レギュラー出演し続け、この10年は司会を務めてきた桂歌丸が番組を勇退、新たな司会者が発表される。


はたして「笑点」の次の司会者は誰なのか。これについてはすでにあちこちで下馬評があがっている。エキレビ!でも、井上マサキさんとイラストの小西りえこさんが何人か候補を予想していた。井上さんの記事は、現在の大喜利メンバーでは最年少の林家たい平(51歳)よりも年下、「U-50」に絞っての予想(本人いわく「妄想」)だったが、それに対して私は大御所を中心に候補をあげながら、どの程度現実性があるか考えてみたい。

「本流」「本家」「インテリ系」「喜劇系」……新司会者に選ばれるのはどの系統?


「笑点」の司会は、ワンポイントリリーフ、ピンチヒッター的な出演をのぞけば、1966年5月の放送開始以来、現在までに桂歌丸を含め5人が務めてきた。

初代司会者は、前身番組「金曜寄席」から引き続き務めた落語家の立川談志。このあと1969年11月からはタレントの前田武彦に代わったが、1年あまりでコメディアンの三波伸介(初代)に交替する。三波は10年以上にわたり司会を務め、お茶の間に親しまれながらも、1982年12月に52歳で急逝してしまう。翌83年の正月特番で俳優・タレントの愛川欽也が大喜利レギュラーの林家こん平と司会を務めたのを挟み、翌週より三遊亭圓楽(五代目)が新たに司会の座に就く。番組開始当初のレギュラーの一人だった先代圓楽だが、高座に専念するため「笑点」からしばらく離れており、これがじつに14年ぶりの復帰となった(この間、1977年には弟子の楽太郎=現・圓楽がレギュラー陣に入っている)。以後、2006年に病気で降板するまで23年間、司会を務めた。

次期司会者としては、現在の大喜利メンバーからの昇格が最有力との見方が強い。歌丸が前任の圓楽に懇願されて司会に就いたという経緯からすれば、まあ妥当だろう。いわば「本流」というわけだ。これに対して、ここでは前出の歴代司会者を参考にいくつかの系統に分類したうえ、何人か予想をあげてみたい。

まず初代司会者である立川談志と流れを汲む者を、便宜上「本家」と呼ぼう(ラーメンみたいだけど)。これに対して二代目司会の前田武彦は放送作家出身で、1970年前後には同じく元放送作家のタレント・大橋巨泉とともにテレビ界で人気を二分していた存在だ。この系譜は「インテリ系」とでも名づけたい。三代目の三波伸介も、前田武彦と同じく落語の外部からの起用だが、演芸畑出身という点では落語家と共通する。三波の系譜は「喜劇系」としよう。

イチオシは来年80歳のタフマン


まず私のイチオシとして、「喜劇系」から伊東四朗をあげたい。三代目司会者の三波伸介とは、戸塚睦夫とともにかつて「てんぷくトリオ」を組んでいた仲間だ。その意味で正統だし、また日本テレビではかつて「伊東家の食卓」でヒットを飛ばしており、局への貢献度も高い。それだけに下馬評に名前があがっていたのは当然といえる。じつは落語のほうも玄人はだしで、大名跡を継いだ某落語家よりもうまいとの噂も聞く。

ちなみに本人は、文化放送のラジオ番組「伊東四朗 吉田照美 親父・熱愛」でこの説を否定していたものの、まんざらでもなさそうだった。そのとき共演者の吉田照美が、「実際に決まっていても、発表前には否定するしかないでしょうから」とフォローしていたことだし、まだまだ望みはあると思いたい。

あえてネックをあげるとするなら、来年80歳を迎える年齢だろうか。もっとも、トリオを組んでいた仲間2人を早くに亡くしているせいか、毎日ウォーキングを欠かさず、健康には人一倍気を使っているようなので、この点はあまり心配ないかも。記憶力が衰えないよう、これまた毎日、日本の47都道府県、東京23区、アメリカ50州の地名を続けて暗誦しているというのにも感服する。

ちなみに三波伸介の名は、2009年に彼の息子でやはりコメディアンの三波伸一が襲名している。二代目が「笑点」司会も継承というウルトラCもひょっとしたらあったりして!?

現・圓楽とは学生時代からの友人


やはり次期司会者ではないかとの噂がささやかれる一人に、高田文夫がいる。私の分類でいえば、放送作家という点では「インテリ系」であり、立川談志に師事して立川藤志楼(とうしろう)の名を与えられ、真打にもなっているから「本家」ということにもなる。

高田といえば往年の「ビートたけしのオールナイトニッポン」や「北野ファンクラブ」でたけしをバウバウと手を叩いて持ち上げ、人を乗せることにかけて右に出る者はいない。落語の素養とあわせ、まさに「笑点」の司会に打ってつけといえる。

いま一つ注目すべきは、いまの圓楽とは、彼が青山学院大学、高田が日本大学在学中から知った仲だという事実。高田が日大の同輩であるのちの古今亭右朝(故人)とともに学生ながら上野の寄席・本牧亭で二人会を開いたときには、圓楽が協力して前売券をさばいてくれたという(『高田文夫のコントもかけば恥もかく』)。ほかにも「笑点」出演者との関係でいえば、春風亭昇太は、高田がパーソナリティーを務めるニッポン放送の「ラジオビバリー昼ズ」で長らくレギュラーを務めている。

高田のネックはやはり近年、大病を患ったことだろうか。長年、週日は毎日担当していた「ラジオビバリー昼ズ」も、2012年に不整脈で長期離脱して復帰して以降、基本的に月・金のみの出演になってしまった。そこへ来て伝統ある番組の司会は体に負担がかからないか、やや懸念が残る(って、勝手に名前をあげたくせに何だかすみません……)。

「日本のお昼の顔」司会抜擢の芽は?


「インテリ系」からはタモリをあげたい。歌丸の勇退発表以前、「笑っていいとも!」の終了が噂されるようになったあたりから次期司会者として名前があがっており、『タモリと戦後ニッポン』の著者としてはやはり言及しないわけにはいくまい。

まったくの素人からテレビにデビューし、果ては日本のお昼の顔を30年以上も務めた異色の経歴。そんな出自ゆえ、タモリが伝統を背負う落語家にはある種の尊敬の念を抱いていることは、笑福亭鶴瓶との関係を見ていてもよくわかる。もし「笑点」の司会になったのなら、大喜利メンバーに対して絶妙の距離の取り方で切り回すのではないか。とりわけ「仕事がない」キャラの三遊亭好楽はタモリ好みのような気がする。ユースケ・サンタマリアのように大いにいじってくれることを期待したい。

仮にこれで「笑点」司会となれば、タモリにとって「夕刊タモリ!こちらデス」(テレビ朝日)以来の日曜夕方のレギュラーということになるだろうか。もっとも、タモリは「今夜は最高!」が1989年に終わって以来、日本テレビでは四半世紀以上もレギュラー番組を持っていない。これについては、「今夜は最高!」後期、裏で始まったとんねるずの番組が人気を集めたこともあり、タモリでは数字がとれないとスポンサーが懸念を示したのに対し、彼の所属事務所が憤り、以後、タモリの日テレ出演はNGになったとも伝えられる。そう考えると、同局の看板番組で司会を務めるかどうか、微妙ではある。さらにいえば、「笑点」は基本的に土曜日に収録されているはずだが、「タモリ倶楽部」の収録もたしか土曜ではなかったか。そのへんのブッキングも気になるところ。

それにしても、タモリと並ぶ「ビッグ3」でいえば、明石家さんまは周知のとおり元は落語家だし、ビートたけしもかつて落語立川流に入門したことがあり、落語との接点はむしろタモリ以外の2人のほうが多いし、日本テレビとの関係も深い。それにもかかわらず、たけしやさんまではなく、なぜタモリの名前があがるのか。そのこと自体が、世間一般におけるタモリの期待のされ方がうかがえて興味深い。

女性司会者はキャラをつくれば化けるか


最後に、大御所ではないが、大穴として女優の仲間由紀恵をぜひあげておきたい。いやまあ、先週放送の「笑点」50周年記念の特番に彼女がゲストに出ているのを見て、ふとひらめいたもので、安易といえば安易な発想ではあるが。

しかし、ここ最近の仲間は、舞台「放浪記」の主演を故・森光子から、フジテレビ「ミュージックフェア」の女性司会者の座を鈴木杏樹からそれぞれ引き継ぎ、さらにドラマ「相棒」の水谷豊の新相棒になるのではとも噂されている。この流れからすると、「笑点」の次期司会になってもけっしておかしくないのではないか。

まあ、仮に彼女が「笑点」の新司会者になったとして、そのままでは面白くはなかろう。できることなら、何かキャラになりきってほしい。「喜久さんの考えてることは、すべてまるっとお見通しだ!」とか「山田(呼び捨て)、腹黒の座布団、全部取っていっておしまい」とか、そんなふうに大喜利メンバーと接したてくれたら面白いんだけど。

……と、私がひねくれているせいか、やはり意外性を求めてしまう。ともあれ、新司会者の人選を見ることで、制作側がこの番組の将来をどう考えているかがあきらかになることは間違いない。きょうの「笑点」特番を座して待つことにしよう。
(近藤正高)