あれ?尿がやけに泡立つ… これは一体…

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執筆者:南部 洋子(看護師)
監修医:坂本 忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ)

尿の泡立ち は、誰でも何となく経験していることでしょう。ただ特に男性の場合、泡が立つのがわかりやすく、気になる人が多いようですね。
では、なぜ尿の泡立ちが起こるのか、深刻な病気など関係はあるのか? さっそく調べてみましょう。

尿の泡立ち 正常な尿でも、泡は立つんです


尿に蛋白や糖がたくさん混ざっていると尿の粘り気が増加して、尿が泡立つという現象が起きます。一方、正常な尿であっても「ウロビリノーゲン」という物質が含まれていて、界面活性作用を成分として持っているので、泡を作る効果があります。
ですから、正常の尿でも泡立つという現象が起こる可能性はあるのです。

尿の泡立ち 尿の成分って?


尿の成分の90%は水分で、残りの10%は固形成分です。固形成分に多く含まれているのは尿素で、他に塩分、クレアチニン、尿酸、カリウム、マグネシウム、アンモニアなどが含まれています。
肝臓でビリルビンが代謝され、最終的な代謝物である黄色のウロビリンが排出されたときやビタミンB2が排出されたときは、尿は黄色になります。ビタミン剤を飲み過ぎても黄色に着色されます。

尿の泡立ち すぐ消える泡と、なかなか消えない泡がある


キメの細かいクリーミーで、ビールの泡のような泡が立ち、それがなかなか消えない場合は、尿タンパクの影響の場合があります。
排泄直後の尿は、空気をふくんで泡立つことも多いのですが、大抵はすぐに消えます。すぐに消える程度であれば問題ありません。
また、尿は濃くなると排尿中に泡立ちます。脱水や水分摂取の不足、発熱などでも尿が濃くなり、泡立ちます。

病的な泡立つ尿!


常に泡が立つ尿が出る、季節や運動などとは無関係に尿が泡立つ、尿の泡がなかなか消えない、泡が盛り上がるといった場合は、病的な尿であることが考えられます。

・尿の泡立ちの原因


尿の泡立ちがなかなか消えない主な原因は、「蛋白」が含まれていることです。
腎臓は、血液をろ過して体内の水分量を調整、老廃物などを尿として排泄する働きがあります。腎臓の機能が低下すると、老廃物をろ過することができなくなり、そのため、血液中の蛋白が尿に混ざって出てくるのです。

・尿の泡立ちと関連した疾患の具体例


腎臓の機能が低下すると、蛋白が尿に混ざって出てきます。ネフローゼ症候群、腎炎、尿路感染症などが考えられます。腎臓以外にも尿道、膀胱などにも原因がある可能性があります。

肝臓機能に問題があると、蛋白尿が出やすくなり、尿が泡立ちます。脂肪肝や黄疸の出始めに尿が泡立つこともあります。
また、糖尿病でも尿の中に糖が排泄されるようになり、尿糖が増加すると尿の粘稠度が高くなり、尿の泡立ちが目立つようになります。

健康な人でも、泡立つ!


激しい運動後や疲れているときには、尿蛋白がでることがあります。また、ストレスがあったり、睡眠不足や疲労などが溜まる、不規則な生活などがあると、腎臓の機能が低下して尿蛋白が出やすくなります。
尿に多量の泡や細かい泡がでて消えない場合は、一般内科(腎臓内科) または泌尿器科に受診してみましょう。
尿が泡立つことは即、病気というより黄色信号だと思ってください。日常生活を見直す必要がありますね。

<執筆者プロフィール>
南部洋子(なんぶようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師 株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦
人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー