『神様のたまご 下北沢センナリ劇場の事件簿』(稲羽 白菟) 「変わり続ける相変わらずの街へ――」という作者冒頭の献辞の通り、様々な変化を柔軟かつ鷹揚に受け入れ続けてきた下北沢の街は二〇二〇年、コロナ禍というかつてない大きな変化に直面した。小劇場、ライブハウス、飲食店……人と人との距離の近さこそが何より魅力だった街を変えたのは病魔のみならず、彼らの在り方を根底から問い直すような公的なガイドラ