中央快速・青梅線に導入されるグリーン車のイメージ(画像:JR東日本)。

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中央快速・青梅線の電車にグリーン車が導入されることになりました。それによって両線はどう変わるのでしょうか。便利になるかもしれない点、不透明な点、懸念される点も見えてきます。

簡単ではない中央快速線へのグリーン車導入

 JR東日本は2015年2月4日、オレンジ帯の電車を使う東京〜大月間の中央快速線と、それと直通運転を行う立川〜青梅間の青梅線にグリーン車を導入することを発表しました。現在は10両編成で運転されている両線の列車に、グリーン車を2両増結。12両編成で運転する形です。

 ただサービス開始は5年以上先、2020年度が目指されています。現在使われている電車へ、単純にグリーン車を2両増結すればいいという簡単な話ではないからです。

 まず全てのホームを12両編成対応にする必要があります。10両編成の列車は全長約200mですが、12両編成では約240mになるため、それだけホームを延ばさねばなりません。横須賀線の田浦駅(神奈川県横須賀市)などホームの長さが足りない駅では、ホームからはみ出す車両はドアが開かないようにする場合もありますが、利用者が非常に多い中央快速線の駅では難しい話です。また車両基地や信号システムについても、12両編成対応にする必要があります。

グリーン車導入で早朝深夜も快速運転に?

 中央快速・青梅線にグリーン車が導入されると、どう変わるのでしょうか。

 ひとつは、車内にトイレが設置される可能性です。他路線で既に導入されている同様のグリーン車にはすべてトイレがあります。そのため中央快速・青梅線のグリーン車にもトイレが設置される見込みが高く、胃腸の調子が優れない日はグリーン車に乗ることにして、もしもの時に備える、といったことができるようになるかもしれません。

 また現在、早朝と深夜は中央快速線に使われるオレンジ帯の電車が、御茶ノ水駅以西で、総武緩行線の線路を通り、各駅に停車する形でも走ります。いまは中央快速線も総武緩行線も10両編成のため問題ありませんが、中央快速線の電車にグリーン車が連結され12両編成になると、総武緩行線のホームからはみ出てしまいます。

 よってグリーン車導入後、この体勢に変化が起きる可能性が高く、もしかすると早朝深夜も東京駅を発着するオレンジ帯の電車はすべて、日中と同じ形で快速運転を行うようになるかもしれません。

 ちなみに現在、こうした普通列車(快速を含む)のグリーン車は乗車距離50kmを境に料金が変わるようになっており、平日は50kmまでが770円、51キロ以上が980円です(グリーン券事前購入の場合)。東京駅から考えると、西八王子駅(49.8km)までが50km以内に収まります。

不透明な中央快速線グリーン車、懸念される点も

 しかし中央快速・青梅線にグリーン車を導入するにあたって懸念される点、不透明な点もあります。

 ひとつは車内清掃です。既に同様のグリーン車が導入されている東海道線や宇都宮線などの路線では基本的に、終点で折り返す際に車内清掃を行っています。しかし中央快速線の場合、朝ラッシュ時における東京駅での折り返し時間はわずか2分程度。乗客が出入りする時間も含めてですから、そこで清掃まで行うというのは非常に厳しいと考えられます。

 また料金が現在と同じと仮定した場合、中央線の特急「(スーパー)あずさ」「かいじ」は50kmまでの自由席特急料金が510円、100kmまで930円と、快速電車のグリーン車より安い状態になります。

 同様の逆転現象が起きていた常磐線では2015年3月から特急の自由席がなくなり、新体系が導入されます。50kmまで750円、100kmまで1000円(事前料金の場合、100円引きになる「えきねっとチケットレス割引」もあり)となって、料金はやや上がるものの着席のサービスが提供される、というシステムです。中央線の特急についても同様の形になるかもしれません。

 「乗り継ぎ」についても不透明な点があります。首都圏の普通列車グリーン車は同一方向の列車に限り乗り継ぎが可能で、たとえば東海道線の列車で小田原駅から横浜駅まで、横浜駅からは横須賀・総武快速線で成田空港駅まで行くという場合、「同一方向」となりグリーン券は1枚、980円でOKです(平日、事前料金)。しかし八王子駅から中央快速線のグリーン車に乗って、東京駅で成田空港行きに乗り継いだ場合、「同一方向」になるのであれば1枚のグリーン券でOKですが、そうでなければ2枚必要になります。現在、常磐線方面から高崎線方面へ上野駅でグリーン車を乗り継ぐ場合は、「同一方向」とは見なされていません。

 2020年度の導入が目標にされている中央快速線、青梅線のグリーン車。はたしてどのような形になるのでしょうか。