夏らしい、暑い日が続いている。8月のど真ん中に試合があるJリーグは、毎年この時期になると試合のクオリティ低下が叫ばれる。その原因は夏の暑さにあり、シーズンを動かすことも考えるべきでは、という意見も多くなるね。

暑さがプレーに影響を及ぼすかという点においては、もちろん一理ある。暑いより涼しいほうがプレーの展開は速くなり、選手の疲労度にも影響があるだろう。けれどJリーグのレベル低下の原因を「暑さ」の一言で片付けるのは違うだろう。

この気候は日本サッカーが避けて通れない一つの環境だ。ではそうした環境の中でいかにプレーするか。つまり試合の運び方という点において、まだまだ稚拙なのだ。日本のサッカーは、皆ロボットのようによく走ると言われる。移籍してきたブラジル人選手は、「3点リードしているのに、なんで最初と同じように走るんだ」というようなことを僕に言ってくるよ。抑揚の付け方、緩急の差がないんだね。その果てが、2013年コンフェデ杯でのイタリア戦での逆転負けだ。

これは日本のスポーツ、いや日本社会の弊害と言うこともできる。押し付けられた育つ日本の子供たちは、個々人で考え、選手同士で話し合い、自分たちで解決しようという動きが取れない。ペース配分、試合の緩急を考えて足を止める時間を作ろうものなら、先生にサボっていると怒鳴られると思ってしまうんじゃないかな。ブラジルW杯で僕たちが見せつけられたのは、状況や相手によってやり方を変え、狡猾に勝利を奪い取る強国の姿だ。

試合運びやゲームの緩急というものに、もうちょっと目を向けなければいけないね。暑い8月こそそれを考えるチャンスだよ。