オープンしたばかりの上海ジャッキー・チェン記念館に行ってきた

写真拡大 (全5枚)

つい先日、還暦を迎えた、アジアが誇るスーパーアクションスター、ジャッキー・チェン。
日本でも過去の映画がDVDシリーズ化されたり、本日(12日)には『アメトーーク』(テレビ朝日)でジャッキー・チェン芸人が放送されるなど、再び盛り上がりを見せている。
そんなジャッキー・チェンの功績や資料を集めた記念館が、2014年5月に世界で初めて上海に開館した。

1972年生まれの私はジャッキー・チェン世代ど真ん中。たびたびテレビで放送される石丸博也氏吹替えの「酔拳」を見ては、体育館で水筒の水を飲みつつふらふらと友人に攻撃を仕掛けていたし、友人が三人集まれば、一番太っている子がサモ・ハン・キン・ポー役、そんなに目立たない子はユン・ピョウ役、そして人気者の子はジャッキー役となり、プロジェクトAよろしく自転車で狭い路地を走り回って怒られたりもした。

そんな私が上海に住んでいるこの時期に、ジャッキー・チェン記念館が上海にオープンするなんて神のいたずら。
これは行くしかないでしょ、ということで、オープン間もない「成龍電影芸術館(ジャッキー・チェン映画芸術館)」に早速行ってきた。ちなみにご存じの方も多いと思うが「成龍」はジャッキー・チェンの中国語名で「チェンロン」と読む。

場所は日本人も多く住むエリア、地下鉄「婁山関路」駅を出て徒歩10分。右手に特徴的な外観のマッチ箱博物館を横目に歩くと、工場をリノベーションしたという建物が見えてくる。

▲目印のマッチ箱博物館。キッチュで可愛い

▲巨大ジャッキーが笑顔でお出迎え

入場料金は158元(約2500円)。チケットを購入し、入場ゲートをくぐると、真っ暗な小部屋で映像のジャッキーが話しかけてくる。
中国語の「ダージャーハオ(みなさんこんにちは)」から始まり、世界各国の言葉で挨拶してくれるジャッキー。もちろん日本語の「コンニチハ」もある。最後は上海方言である上海語の「ダーガーホ」で締めるところも憎い演出だ。
ジャッキーの言葉に誘導されて館内へ。土曜日の14時頃に行ったのだが、比較的空いている。見たところ私の他に観客は10人くらい。みなひょろっとしたアジア人男性で、ジャッキー映画で言えば食堂で乱闘が始まりおろおろする店員タイプ。たぶん今乱闘になったらこの人たちには勝てそうだ。
空いているので館内展示はゆっくり見られたが、残念ながら写真撮影は禁止。ここからは、文字でできるかぎりレポートしていきたい。

▲入場券とパンフレット

▲トイレまでジャッキーだらけ

展示はまずはジャッキーの生い立ち紹介ゾーンから始まる。
ご両親の紹介から、七小福時代へ。七小福とはジャッキー・チェンが幼少期に通った京劇学校で選抜された才能あふれるカンフー少年少女たちのこと。そこには、ジャッキーの他にサモ・ハン・キン・ポーやユン・ピョウも参加していた。小さい頃のジャッキー達、かなりかわいい。

続いてカンフー映画ゾーン。壁から酔拳、蛇拳、蟷螂拳などの形の手がニョキニョキと出ていて少しシュールだ。
さらにおかしいのが、各カンフー映画の名シーンが各100ページほどのパラパラ漫画形式連続写真で展示されていること。多くの人がすでにパラパラしたらしく、角がだいぶ折れ曲がっている。
これだけお金をかけた展示郡の中でなぜここだけパラパラ漫画なのか、まったくもって謎である。

さらに進むと各国VIP芸能人からの直筆メッセージゾーンへ。
オバマ大統領など多くの世界的有名人からのメッセージが並ぶ中、我らが日本のスターは、というと高倉健、山口百恵、倖田來未、大塚愛、宮沢りえという今ひとつ一貫性に欠けるラインナップ。先日「以前、ジャッキーと交際していた」と告白した水沢アキのメッセージがあったらすごいと思ったがそれはなかった。

次はジャッキーならではの展示、ジャッキー怪我の歴史ゾーン。
ジャッキーがこれまで撮影中に負ってきた怪我が延々書いてあるのを見ると改めてすごいのひとこと。いつもギリギリのアクションを見せるジャッキー映画の裏にはこのような苦労があったことを、まざまざと見せつけられる。一見普通に見える「プロジェクトA」のポスターの裏に回ると「このポスターのここ鼻折れてるんですよ、あと頸骨も損傷しているんです」という図解展示があるのはかなり衝撃的だった。

そして最後は世界中のジャッキーファンからの贈り物ゾーン。
ジャッキーへの似顔絵手紙や、手作りのプレゼントがところ狭しとならぶこのコーナー。手紙には世界中の言葉でメッセージが書かれているが、中でも日本語のメッセージが一番多い。日本人のジャッキー好きとイラスト・手芸能力の高さを改めて感じることが出来た。

▲恐ろしげな生き物とたたかうジャッキー

なかなかのボリュームで展示内容も充実したジャッキー・チェン記念館。ジャッキー世代なら充分に行く価値ありだ。
個人的には、少林寺木人拳の木人と戦えるコーナーがあるともっと良かったかも。いや、記念館で怪我人を出してはいけない。

余談だが、私がもう少し若くて痩せていた頃、人からユン・ピョウに似ているとよく言われた。
もしや入口で「あれ? もしかしてユン・ピョウさんですか?」と呼び止められたりするのでは、と思ったが、全くそんなことはなかった。スタッフは若過ぎて、ユン・ピョウを知らなかったと解釈することにしたい。
(前川ヤスタカ)