女の野蛮さにはこう立ち向かえ。今夜第7話「アリスの棘」に学ぶ女子の処世術
「復讐と恋愛においては、女は男よりも野蛮である」
そんなキャッチフレーズを掲げてスタートしたTBSドラマ「アリスの棘」。第六話はまさに、女の野蛮さがぎゅぎゅっと詰まった回だった。主人公・明日美(上野樹里)の父親は医療ミスではなく、殺されていた。その手口もほぼ明らかになった。ところが、復讐は遅々として進まない。そして今夜、今夜、女豹のようなあの人まで帰ってくる。
思わぬところで“女の野蛮さ”に出くわしてしまったら、どう対処すればいいのか。「アリスの棘」第六話をおさらいしつつ、探っていきたい。
■「明日美、ちょっと話があるんだ。悠真先生のことで……こないだの旅行のとき、ふたりでどこに行ってたの?」(星野美羽)
第6話で明日美と研修医の盤台悠真(中村蒼)がキスするところを目撃したナース・星野美羽(栗山千明)のセリフ。「証拠はあがってるぞ!」と言いたいのは山々だけれど、核心には触れず、遠回しに攻めるのが女子の王道だ。このセリフが出てきたら、証拠をつかまれていると思ってほぼ間違いない。事情を説明しないまま、この場を逃げ切りたいなら早々に「私も悠真先生が好きなの!」と土下座するか、宣戦布告するかの二択だっただろう。ボヤボヤしていると、「わたしね、告白しようと思ってるの。明日美も応援よろしくね!」と逃げ道を封じられる。
■「明日美ってさ、人だますの趣味? 悠真先生のこと、わたしが気づかないと思ってた?」(星野美羽)
一向に白状しない明日美に業をにやした美羽は、明日美の過去を調べ始める。出身大学に電話をかけ、「じつはそちらの卒業生の水野明日美という医師が問題を起こしておりまして、研修医時代の様子を確認したいのですが、お話を伺える方はいらっしゃいませんか」と問い合わせる。さりげなく悪意をまぎこませる妙手! 美羽の行動力を見るにつけ、明日美お得意の「15年間、父の復讐だけを考えてきた」宣言をすれば、味方に巻き込めそうなものなのに……と残念に思う。<敵の敵は味方>が発動したときの女の結束は朗らかな友情をはるかに凌駕する。
■「あなたが出ていかないなら、今すぐ盤台に電話する」(三浦直子)
明日美はベテラン看護師・三浦直子(山本未来)が父親の死に関わっていたらしいという証拠をつかみ、問い詰める。直子にはエレベーター事故で15年間昏睡状態に陥った夫がいる。その夫を長期入院させてもらえるという約束のもとに、盤台教授のためにある薬を用意したという過去があった。スマートフォンを取り出し、「今すぐ盤台に電話する」と脅す直子に、「あなたは盤台に知らせない」と明日美は一蹴。結果、直子は過去に犯した罪を告白し始める。“知らせないで”とお願いするよりも、“あなたはそんな人ではない”と自意識に訴えかけたほうが効果的なことがあるという好例。
■「そのときになってようやく取り返しのつかないことをしてしまったことに気づいた。怖かったのよ。夫を失うのが……」(三浦直子)
直子が盤台教授に指示された薬を用意した翌日、主人公の父親である小山内孝夫(眞島秀和)が吐血して倒れ、緊急オペの末、死亡する。直子は「どう使われるのかはこわくて聞けなかった」、つまり、薬の用途は知らなかったという。「取り返しのつかないことをしてしまった」と心底後悔しているのかと思いきや、「怖かったのよ。夫を失うのが……」と告白。え、そっち!? と、ずっこける。 いや、後悔もしてるけど、自分をとりまく世界を守る方が大事なんだもんというリアル。しんみりトークは適当に聞き流し、証拠は? と、ビジネスライクに話をすすめる明日美ちゃん、正解!
■「その時計、大切にしてください」(水野明日美)
小山内にもらった懐中時計に刻まれた「明日はきっと良い日になる」という言葉に支えられ、生きてきた直子。ひとしきり罪を犯した経緯を説明した後、「ずっと小山内先生のお嬢さんにあったら、言わなきゃと思ってた。ごめんなさい。大事なお父さんを本当にごめんなさい」と懺悔する。それに対して、明日美が返したセリフが「その時計、大事にしてください」だった。いまさら謝られてもなぁ……という腹立たしさを込めた、すり替え話法。許してもらったと気がラクになられても……と釈然としないときにも使える。
■「私は華やかな舞台にしか興味がないの」(伊達理沙)
第7話予告シーンに登場したのは、あの人! 第1話で腹に「T.OSANAI」のタトゥーを刻まれた女医・伊達理沙(藤原紀香)である。華やかなドレスに身を包み、オホホホと現れた。女たちの思惑をかいくぐり、明日美は復讐を遂げられるのか。それとも……! 今夜も目が離せません。
(島影真奈美)
*第一話へ
*第二話へ
*第三話へ
*第四話へ
*第五話へ
そんなキャッチフレーズを掲げてスタートしたTBSドラマ「アリスの棘」。第六話はまさに、女の野蛮さがぎゅぎゅっと詰まった回だった。主人公・明日美(上野樹里)の父親は医療ミスではなく、殺されていた。その手口もほぼ明らかになった。ところが、復讐は遅々として進まない。そして今夜、今夜、女豹のようなあの人まで帰ってくる。
■「明日美、ちょっと話があるんだ。悠真先生のことで……こないだの旅行のとき、ふたりでどこに行ってたの?」(星野美羽)
第6話で明日美と研修医の盤台悠真(中村蒼)がキスするところを目撃したナース・星野美羽(栗山千明)のセリフ。「証拠はあがってるぞ!」と言いたいのは山々だけれど、核心には触れず、遠回しに攻めるのが女子の王道だ。このセリフが出てきたら、証拠をつかまれていると思ってほぼ間違いない。事情を説明しないまま、この場を逃げ切りたいなら早々に「私も悠真先生が好きなの!」と土下座するか、宣戦布告するかの二択だっただろう。ボヤボヤしていると、「わたしね、告白しようと思ってるの。明日美も応援よろしくね!」と逃げ道を封じられる。
■「明日美ってさ、人だますの趣味? 悠真先生のこと、わたしが気づかないと思ってた?」(星野美羽)
一向に白状しない明日美に業をにやした美羽は、明日美の過去を調べ始める。出身大学に電話をかけ、「じつはそちらの卒業生の水野明日美という医師が問題を起こしておりまして、研修医時代の様子を確認したいのですが、お話を伺える方はいらっしゃいませんか」と問い合わせる。さりげなく悪意をまぎこませる妙手! 美羽の行動力を見るにつけ、明日美お得意の「15年間、父の復讐だけを考えてきた」宣言をすれば、味方に巻き込めそうなものなのに……と残念に思う。<敵の敵は味方>が発動したときの女の結束は朗らかな友情をはるかに凌駕する。
■「あなたが出ていかないなら、今すぐ盤台に電話する」(三浦直子)
明日美はベテラン看護師・三浦直子(山本未来)が父親の死に関わっていたらしいという証拠をつかみ、問い詰める。直子にはエレベーター事故で15年間昏睡状態に陥った夫がいる。その夫を長期入院させてもらえるという約束のもとに、盤台教授のためにある薬を用意したという過去があった。スマートフォンを取り出し、「今すぐ盤台に電話する」と脅す直子に、「あなたは盤台に知らせない」と明日美は一蹴。結果、直子は過去に犯した罪を告白し始める。“知らせないで”とお願いするよりも、“あなたはそんな人ではない”と自意識に訴えかけたほうが効果的なことがあるという好例。
■「そのときになってようやく取り返しのつかないことをしてしまったことに気づいた。怖かったのよ。夫を失うのが……」(三浦直子)
直子が盤台教授に指示された薬を用意した翌日、主人公の父親である小山内孝夫(眞島秀和)が吐血して倒れ、緊急オペの末、死亡する。直子は「どう使われるのかはこわくて聞けなかった」、つまり、薬の用途は知らなかったという。「取り返しのつかないことをしてしまった」と心底後悔しているのかと思いきや、「怖かったのよ。夫を失うのが……」と告白。え、そっち!? と、ずっこける。 いや、後悔もしてるけど、自分をとりまく世界を守る方が大事なんだもんというリアル。しんみりトークは適当に聞き流し、証拠は? と、ビジネスライクに話をすすめる明日美ちゃん、正解!
■「その時計、大切にしてください」(水野明日美)
小山内にもらった懐中時計に刻まれた「明日はきっと良い日になる」という言葉に支えられ、生きてきた直子。ひとしきり罪を犯した経緯を説明した後、「ずっと小山内先生のお嬢さんにあったら、言わなきゃと思ってた。ごめんなさい。大事なお父さんを本当にごめんなさい」と懺悔する。それに対して、明日美が返したセリフが「その時計、大事にしてください」だった。いまさら謝られてもなぁ……という腹立たしさを込めた、すり替え話法。許してもらったと気がラクになられても……と釈然としないときにも使える。
■「私は華やかな舞台にしか興味がないの」(伊達理沙)
第7話予告シーンに登場したのは、あの人! 第1話で腹に「T.OSANAI」のタトゥーを刻まれた女医・伊達理沙(藤原紀香)である。華やかなドレスに身を包み、オホホホと現れた。女たちの思惑をかいくぐり、明日美は復讐を遂げられるのか。それとも……! 今夜も目が離せません。
(島影真奈美)
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