電子黒板になる液晶モニター「FlexScan T2381W-PPとFlexScan T1781-PP」(EIZO)

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黒板の掃除は日直の仕事。先生が書き残した字はちゃんと消しておく。黒板消しについたチョークはしっかりはたく……といった作業を小学校から高校生までやってきたと思う。だが、いまは何でもデジタルの時代。もうそんなことは必要なくなるかも。黒板もデジタル画面(電子黒板)に置き換わりつつあるからだ。
実は、電子黒板システムといった大げさな設備がなくとも、PCと液晶モニターさえあれば同等の効果を安価で実現できてしまうのをご存じだろうか。

とその前に、教育現場の電子黒板の利用状況ってどうなっているのか。ディスプレイの製造、販売メーカーであるEIZOに聞いてみた。
「先生方の理想は、どの教室でも電子黒板を使った授業が行えることですが、実際は、予算不足ですべての教室に導入できていないのが現状です。また、時間割が決められている学校では、大きな電子黒板装置を授業の度に移動させてセッティングするのは現実的に難しいという声も聞かれます」

それならというわけで、PC向けタッチパネル液晶モニターを有効活用するというアイディアが浮かび、出来上ったのが「FlexScan T2381W-PP」と「FlexScan T1781-PP」(EIZO)。既存のPCに付属の手書きソフト「PenPlusプロ for EIZO」をインストールし、あとは各学校に導入されている大型テレビへ同じ画面を表示(ミラーリング表示)するだけ。これで大画面に手書き入力表示が可能になる。

これのいいところは、導入済みのPC、大型テレビをそのまま使えること。また、操作はすべて手元のタッチパネル液晶モニターで行うので、従来の黒板とちがい、生徒を正面にして板書できる。確かに、先生が背中を向けて一生懸命に板書しているとき、授業をサボっていたりする生徒がいるものだが、これならなかなかそうはいかなそうだ。そして、誰でも使いやすいタッチパネルなので、現場(教員)の負荷が少ない。

たとえば、スマホでふだんタッチ操作をしている人なら誰でも簡単に操作できるくらいのレベルなのか。
「“誰でも”は言い過ぎですが、電子黒板やタブレットの導入が進む以前から教育現場にPCの導入が進んでいますので、これまでICT教育(情報通信技術を活用した教育)を行ってきた教員であれば、タッチパネルモニターはまったく違和感なく使用できるかと。マウスやキーボードの操作に不慣れな教員にとっては、直接手でも入力できるタッチパネルの方が、より使いやすいケースが多いと思います」
たしかに、年配の先生など、ふだんPCやスマホを使わない人にもいいかも…。

電子黒板がある学校は、全国の公立学校で約75%(平成25年3月1日現在、文部科学省調べ)と伸びているが、最高で95.0%、最低で52.7%と、各県での普及率に格差が生じている。現場からも「生徒数に対し、導入機器自体が足りていない、もっと導入機器を活用したいがコンテンツがない」といった意見があるとのこと。
通常の黒板が学校から消えてしまうのは、まだ先になりそうだ。
(羽石竜示)