プロサッカーチームは自分たちだけで勝てると思ってはダメだ。選手も自分のためだけに戦っていては、いいプレーができるはずもない。
  
 Jリーグが始まる前、日本サッカーリーグ時代はアマチュアだったけれど、意識はプロという選手もたくさんいた。レベルも決して低くない試合がたくさんあったけれど、なかなか観客席は埋まらなかった。
 
 ところがJリーグがスタートし、スタジアムが溢れるほどお客さんが詰めかけてくれたとき、ものすごいスピードでそれぞれの選手たちがうまくなっていった。
 
 歓声一つだけで選手は変わるんだよ。あんなに応援してくれる人たちのために、頑張ろうと考えるだけであと一歩が出るんだよ。Jリーグが始まったことで、その「気持ちが体を動かす」という事実を確認することができたと思う。
 
 だから僕は監督就任記者会見で「開幕戦でどれくらいのお客さんが来てくれるか観てみたい」と言ったんだ。僕たちにどれくらいの期待をかけてもらえているのか。それが選手に伝われば、きっと選手たちは持っている以上の力を発揮してくれる。
 
 FC岐阜のゲームだけじゃないよ。Jリーグの試合にたくさんのお客さんが詰めかけてくれれば、日本サッカーのレベルはどんどん上がっていくと思う。だから近くで試合があるときは、ぜひJリーグに足を運んでほしい。

 リーグ戦では「ドーハの悲劇」の時のチームメイト、カズや柱谷哲二、高木琢也と対戦する。本当に楽しみだし、どこにでも負けたくないけれど、特にあの時のメンバーには負けたくないね。どうかみなさん、声で力を貸してください。