河村隆一

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 歌手の河村隆一が12日、都内で行われた映画『命をつなぐバイオリン』の舞台あいさつに登壇、第2次大戦を題材にした本作に絡め、緊張が続く現在のアジア情勢について自身の思いを明かした。

 本作は、ナチス・ドイツの侵攻によって揺れる、第2次世界大戦下のソ連ウクライナを舞台に、強制収容所送りから逃れようとする、バイオリンとピアノの才能に恵まれたユダヤ人の少年少女を描くヒューマンドラマ。河村は「映画を観て、かたくなに何かを信じるのも危ないと思った。(ナチスの人々も)自分が信じるものと正反対の意見に耳を貸す勇気があれば、もう少し救いがあったんだろうなと思います」と感想を述べる。

 そこから河村は、尖閣諸島や竹島などをめぐって緊張が続く、現在のアジア情勢に言及。「自国の領土のことはすごく大事で、どの国もきちんと主張すべき。だけど衝突する前に、何年かかってもいいから、まず専門家同士で話し合いを」と語り、「日本、韓国、中国は本来仲良しの国。これから一緒になってアジアを盛り上げなければいけないのに、進入した、されたと言って簡単にヒステリックになっては、衝突するしかない。報道を見て冷や冷やします」と心情を明かした。

 アジア諸国でコンサートを行い、民間レベルでは音楽を通じて十分わかり合えるという河村は、それだけに今の情勢が歯がゆいといい「戦争が始まると音楽もしにくくなる」とコメント。「良識のある大人として、問題をもっと明確にして、これからもっと議論を重ねていってほしい」と意見を述べると共に、「こういう(『命をつなぐバイオリン』のような)作品を通じて、戦争はしてはいけないと語り継がれていかなければならない」と戦争反対のメッセージを客席に送った。

 この日のイベントは、3月14日に迫るホワイトデーに関連して行われたもの。ホワイトデーへの思いを聞かれた河村は「大人は(ホワイトデーのお返しは)3倍返しだとか、安直な方に走り勝ちだけど、結局は気持ちの交換。そんなに高い物をあげる必要はないのでは」とアドバイスを送っていた。(取材・文 名鹿祥史)

映画『命をつなぐバイオリン』はヒューマントラスト有楽町にて公開中(全国順次公開)