春が旬の野菜は栄養価が高く、季節感も満点。緑黄色が多いので、お弁当の彩りにも最適です。

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代謝が落ちた体を、旬の野菜で活性化! 春野菜をおいしく食べる調理のコツと、おいしくて健康的なベジタブル弁当のレシピを、記事の中から抜粋してご紹介します。

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冬の間に代謝が落ち、すっかり体が重くなってしまったという人も多いはず。体をすっきりさせるためにも、ぜひ取り入れたいのが春野菜です。この季節に収穫される山菜や野菜は味わい深いだけでなく、ビタミンやカルシウム、繊維質も豊富。さらに独特の苦みは、代謝が落ちた体から毒素を排出してくれる働きがあり、デトックス効果もバツグンです。
 お弁当に使うときは、じっくり蒸し煮にして野菜の甘みを引き出したり、油を使ってコクを出すのがコツ。クセを上手にやわらげて、季節に適応する体づくりを応援しましょう。

■春野菜をおいしく食べる調理のコツ

1. 厚手の鍋で蒸し煮にすると野菜の甘みが濃厚に
少量の水を加え、弱火でじっくり加熱すると、野菜の甘みを十分に引き出せる。鍋は、ふたがしっかりしまり、無水調理ができる厚手のものが理想的。

2. 天日塩で素材のうま味を引き出す
野菜を蒸し煮にするときは、少量の塩を加えることでさらに甘みがアップする。精製塩、岩塩より、海水の甘みやうま味が含まれている天然塩がおすすめ。

3. 細かく刻むと野菜のクセが抜けて食べやすい
みじん切り、せん切りなど、細かく切るとクセがほどよく抜け、ほかの食材とも合わせやすい。短時間で火が通り、味がしみやすいので忙しい朝も助かる。

4. アクの強いたけのこや山菜は下処理をていねいに
この季節に収穫される野菜の中でも、たけのこや一部の山菜はアクが強いので、調理前に下処理をすることが大切。特にわらびは体に害を及ぼす成分を含んでいるので、重曹水などに漬け、ひと晩かけてアク抜きを。

◆たけのこのゆで方◆
皮ごと穂先を切り落とし、皮に切り目を縦に入れる。米ぬかひとつかみと赤唐辛子1本とともに鍋に入れ、ひたひたの水を加えて、火にかける。沸騰したら弱火にし、40〜50分(大きさによる)ほどゆでる。

◆ふきのゆで方◆
ふきは塩をまぶして板ずりし、洗う。鍋に湯を沸かしてふきを入れ、軟らかくなるまで4〜5分ほどゆでて水にとる。

■お弁当におすすめの春野菜

<新にんじん>
粘膜を保護し、活性酸素から体を守るβ-カロテンが豊富。皮付近に栄養が多いので皮ごとすりおろしても。

<春キャベツ>
ビタミンUには胃腸の粘膜や肝臓の代謝を活発にし、老廃物を排出する働きが。免疫力を高めるビタミンCも。

<たけのこ>
食物繊維のほか、体内の余分な塩分を排出するカリウム、疲労回復に役立つアスパラギン酸などが含まれている。

<新じゃがいも>
炭水化物でもカロリーは低め。特に豊富なビタミンCは、水に溶けにくいのでゆでても栄養分が失われにくい。

<絹さやえんどう>
ビタミンB1、タンパク質のほか、体の成長に必要な必須アミノ酸のリジンも含有。成長期の子供は多くとりたい。

<ふき>
食物繊維が多く、低カロリー。苦みやアクのもとになるポリフェノール類が多く含まれ、抗酸化作用もある。

<グリーンピース>
食物繊維の量は豆の中でトップクラス。風邪の予防に欠かせないビタミンC、ビタミンB群も含む。

<菜の花>
ビタミンC、ビタミンB群、カルシウムなど多くの栄養素を含む優良野菜。葉酸や鉄も含むので女性は積極的に摂取を。

<スナップえんどう>
ビタミン類、カルシウムなど多くの栄養をバランスよく含む。さやごと食べることで食物繊維も摂取。

<たらの芽>
山菜の王様とも呼ばれるほど、栄養豊富でうま味たっぷり。タンパク質は大豆に匹敵する含有量。

<こごみ>
ビタミンB群、Cほか、E、Kなど多くのビタミン類を含む。ビタミンB群に含まれる葉酸は貧血予防に効果的。

■野菜の苦手な子供に……「彩り春巻き弁当」の作り方

春巻きやコロッケなど、子供が好きなおかずにすれば肉や魚がなくても大満足! 子供が好きな春巻きをメーンにし、野菜をたっぷり使ってバランスよく。副菜やおにぎりで味に変化をつけると飽きない。

子供に野菜をたくさん食べさせたいときは、味つけや料理にひと工夫が必要。ポイントは、子供が食べ慣れた味や、好きなおかずをメーンにすることです。左のお弁当のように揚げものにしたり、カレー粉など香辛料をきかせてクセをやわらげると、苦手な野菜も自然と克服できるように。
 野菜だけでなく、わかめやひじきといった海藻も春が旬。ミネラル摂取のためにも、あわせて取り入れたいですね。

 

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1. グリーンピースのおにぎり
グリーンピースが苦手な子供も多いが、少量の水と塩でじっくり蒸し煮にするとクセが抜ける。おにぎりにすれば小食の子も食べやすい。

【材料(作りやすい分量)】
グリーンピース(生、さやから出す)……1/2カップ、塩……少々、赤じそふりかけ・ご飯……各適量
【作り方】
1. 厚手の鍋にグリーンピース、水1/3〜1/2カップ、塩を入れ、ふたをして弱火にかける。軟らかくなるまで蒸し煮にし、ふたを取り水分を完全にとばす。
2. ご飯を半分に分け、ひとつは(1)を混ぜて握る。残りは握って赤じそふりかけをかける。

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2. 春野菜のミニ春巻き
スナップえんどう、たけのこ、新にんじんなど栄養価の高い野菜をきんぴら風に炒めて、春巻きの具に。たれなしで、おいしく食べられる。

【材料(2人分)】
新にんじん(4cm長さの細切り)……1/5本(30g)、たけのこ(4cm長さの細切り)……30g、スナップえんどう(筋を取り、4cm長さの斜め細切り)……10本(30g)、えのきたけ(4cm長さに切る)……1/3袋(30g)、わかめ(戻して4cm長さの細切り)……20g、赤唐辛子(輪切り)……少々、ごま油……小さじ2
A[しょうゆ……小さじ1強、みりん……小さじ1、白すりごま……小さじ1、塩……少々] ミニ春巻きの皮(15 × 15cm)……6枚、水溶き小麦粉……適量、揚げ油(菜種油など)……適量
【作り方】
1. フライパンにごま油を熱して、野菜、わかめ、赤唐辛子を順に入れ、中火で炒める。Aを加えて調味し、取り出して冷ます。ミニ春巻きの皮で包み、端に水溶き小麦粉をつけて閉じる。
2. フライパンに揚げ油を熱し、(1)を入れて揚げる。

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3. 春キャベツといちごのサラダ
メープルシロップ入りの甘いドレッシングで、軟らかい春キャベツをマリネに。彩りのいちごを加えることで、免疫力を高めるビタミンCも摂取。

【材料(2人分)】
春キャベツ(細切り、塩少々で軽くもむ)……50g、いちご(大きさによって4〜6等分)……2〜4個
A[りんご酢(または米酢)……小さじ1、メープルシロップ(またははちみつ)……小さじ1、サラダ油……小さじ2、塩・こしょう……各少々]
【作り方】
合わせたAに春キャベツ、いちごを加えてあえる(お弁当に入れるときは、ペーパータオルで水けをとる)。

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4. 新にんじんのカレー風味グラッセ
通常より甘みが強い新にんじんを、厚手鍋でじっくり蒸し煮にすると、さらに甘みが引き立つ。にんじん嫌いでもおいしく食べられるように。

【材料(2人分)】
新にんじん(皮ごと1cm幅の輪切り)……2/3本(100g)、塩……少々
A[メープルシロップ……小さじ1、オリーブ油……小さじ1/2、カレー粉……少々、塩・しょうゆ……各少々]
【作り方】
厚手の鍋に新にんじん、水1/3〜1/2カップ、塩を入れ、ふたをして弱火にかける。にんじんが軟らかくなるまで蒸し煮してAを加え、水分がなくなるまで煮る。

■カロリーが気になるお父さんに……「野菜そぼろ弁当」の作り方

胃腸が疲れぎみのお父さんには、肉を控えたヘルシー弁当を。野菜の苦み成分と食物繊維で体がスッキリ元気になります! 野菜おかずでカロリーを控え不足しがちな食物繊維やビタミンを補って。

ローカロリーの春野菜弁当は、肥満や生活習慣病が気になる夫にも持たせたいもの。新にんじん、菜の花、山菜などビタミン豊富な緑黄色野菜や、疲労回復に役立ち、食物繊維が多いたけのこなどを取り入れ、代謝を上げるお弁当を心がけましょう。
 また飲酒や食べすぎ、加齢などが原因で体の消化機能も低下しがち。肉の代わりに消化のよい大豆製品を使うなど、胃に負担をかけない素材選びも大切です。

 

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1. 新にんじんと高野豆腐のそぼろごはん
そぼろは作りおきすると便利! ひき肉の代わりに高野豆腐を使ったそぼろは、高タンパク低カロリー。ご飯以外にもコロッケに混ぜたり、あんかけにしたりと、幅広く応用できる。

【材料(2人分)】
新にんじん(みじん切り)……1本(150g)、しいたけ(みじん切り)……3枚(50g)、高野豆腐(戻してみじん切り)……1枚(15g)、ごま油……大さじ1
A[しょうゆ……大さじ1と1/2、麦みそ……大さじ1/2、白すりごま……大さじ1/2、塩……少々]
ご飯……適量
【作り方】
フライパンにごま油を熱し、新にんじんを中火でじっくり少し色づくくらいまで炒める。しいたけ、高野豆腐を加えてさらに炒め、Aで調味してご飯にのせる。

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2. たけのことしいたけのから揚げ風
たけのことしいたけを叩きつぶして混ぜ、から揚げ風に。肉は入っていないのに、たけのことしいたけの繊維で、肉のような食べごたえがある。

【材料(2人分)】
ゆでたけのこ……100g、生しいたけ……3枚
A[しょうゆ……大さじ1、五香粉……小さじ1/2、しょうがの搾り汁……小さじ1/2、小麦粉……大さじ2(水分をみて加減)]
揚げ油(またはサラダ油など)……適量
【作り方】
1. ゆでたけのこはペーパータオルで水けを取り、しいたけはざっと切ってともにビニール袋に入れ、すりこぎなどで袋の上から細かく叩きつぶす。
2. (1)にAを混ぜ合わせて10等分し、小さくまとめる。
3. フライパンに揚げ油を熱し、2を揚げる。お弁当に詰めるとき、あれば木の芽(分量外)をのせてもよい。

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3. 菜の花とたらの芽のしょうが風味ごまあえ
苦みのある菜の花には、毒素を排出する働きが。甘めのごまあえが好みならメープルシロップを加えても。

【材料(2人分)】
菜の花……3本、たらの芽……2〜3本、しょうゆ……少々
A[白すりごま……大さじ1、だし汁(または水)……小さじ2、しょうゆ……小さじ1、しょうがの搾り汁……小さじ1/2]
【作り方】
1. 菜の花、たらの芽は沸騰した湯でさっとゆでて冷水に取る。水けを切って手に取り、しょうゆを少しかけて絞る。
2. ボウルにAを混ぜ合わせ、食べやすく切った(1)を加えてあえる。

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4. 春キャベツと桜の花の塩漬けの即席漬け
軟らかくて甘い春キャベツを、塩漬けの桜の花で味つけした春らしい漬けもの。桜色の花びらを少し添えると、お弁当全体もあでやかな印象に。

【材料(2人分)】
春キャベツ(ざく切り)……1/8個(100g)、桜の花の塩漬け……6〜10枚
【作り方】
ボウルに春キャベツ、塩がついたままの桜の花(塩辛くなりやすいので加減しながら好みの量を加える)を混ぜ合わせ、キャベツを塩もみする。水けが出たら絞る。

 

 


教える人:カノウユミコ
東京・祐天寺の精進懐石料理店「菜懐石 仙」オーナーシェフ。野菜の風味を生かしたベジタリアン料理をさまざまに提案。家庭で簡単に楽しめる精進料理教室を開催するなど、多方面で活躍。著書に『菜菜ランチ』(柴田書店)など。

(佐藤由香、坂本典子(シェルト*ゴ)=構成・スタイリング 上野敦=撮影
教える人:カノウユミコ(東京・祐天寺「菜懐石 仙」オーナーシェフ))