【全文掲載】全国どの自治体でもサッカー専用スタジアム建設は100%実現可能〔1/2〕
陸上スタジアムであるビッグアーチの観戦環境は劣悪だと広島サポーターにも不評。試合当日の周辺の渋滞状況も尋常ではない。そういった問題点について他議員たちの理解を促した。日頃から議会内でも、議員の机にこっそりサンフレッチェのミニカレンダーを置いておくなど、サンフレッチェのホーム戦やイベントの周知を怠らない。石橋氏の議会での影響力はもはや絶大だ。そうして今冬、広島市はサッカー専用スタジアム建設の「検討」について予算をつけると言及した。過去20年まったくなかった、広島の大きな一歩を勝ち取ったのだ。
広島のように、当初、行政の首長の理解を得られない自治体は未だに多いだろうし、財政状況に余力のある自治体など全国のどこにもない。サポーターがサッカー専用スタジアム建設を声高に叫べば、うちにはお金なんてない、と一蹴されるのがお決まりのパターンだ。それでも石橋氏は「どの自治体でも突破できる」と断言する。
「絶対にできます。スタジアムを建てたいけれど広島市も財政が苦しい状況でした。そんな中で、私などは議員にさせてもらって、(行政や議会の理解を得ようとするのと同時に)ビルゲイツ・ファンデーションに英文で手紙も書きました。今でもお金のある企業様には連絡をさせてもらって『広島市にサッカー専用スタジアムをつくりたいんです。もし実際にスタジアム建設が進み出したときには手を挙げてもらいませんでしょうか』というような発信を続けて連絡を取り合わせてもらっているんです。海外にも投機マネーといった資金援助をしている団体があるんですよ。そういったところのすべての門を叩いて、それでもできないと言っているかどうか。サッカー専用スタジアムには、それほどの情熱を持って活動するだけの価値があります。だって、市民を幸せにできる空間であり、街の財産になり得るものですから。その実現を信じるだけの気持ちや体力、情熱があれば必ずできると思いますよ」
あなたが住んでいる自治体が「財源不足」といった発言を繰り返しているのならば、それはまだまだスタート地点。全国すべての都道府県が、それぞれに複数のサッカー専用スタジアムを持つといった日本の未来も決して夢物語ではない。
■鈴木康浩プロフィール
1978年生まれ、栃木県宇都宮市出身。作家事務所を経て独立。現在はJ2栃木SCを中心に様々なカテゴリーのサッカーを取材。「週刊サッカーマガジン」「ジュニアサッカーを応援しよう!」などに寄稿している。
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